李登輝のレビュー一覧
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博識、慧眼、そして親日の台湾元総督である故・李登輝。ニュースからは見えてこなかった、同氏の優れたリーダーシップが見えてくる一冊である。日本人論、中国人論として読んでも面白い(ちょっと日本びいきがすぎるところもあるが…)。過去から現在まで、日本と台湾の関係についてもよく分かる。
2014年発行の本ながら、今の香港の状況を予見していたのか、「『一国二制度』はあり得ない」と述べている。
一時期、台湾も過度に中国よりな時期があったが、香港の現状を見ていれば、さすがに一つの国になることにヤバさを感じているだろう。
今、これだけの見識や胆力を持った世界のリーダーが誰かと問われると、すぐには思いつかな -
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ネタバレイギリス留学のとき、同じクラスだった香港出身の人は自らを「香港人だ」と名乗っていた。
マカオに行ったときに日本語でガイドをしてくれた頭ツルピカの張さんは笑いながら、俺はマカオ人で、カジノのおかげで税金が安くて病院はタダだと誇らしげだった。
また、上海行ったときに女の子に今までどこの国に行ったことがある?と聞かれて挙げていったとき、台湾と言ったら「台湾は中国でしょう」と笑っていた。
果たして、香港は、マカオは、台湾は中国の一部なのだろうか。いや、やはり何か違うのだ。
気質というか、鷹揚さというか、気風の良さというか。
上海のギラギラしてせこせこした中国人とは、やはりどこか違って、文化的 -
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ある取引先のトップがこの本について社内勉強会をしているとの話をお聞きし、単純な自分はたまたま古本屋で見つけ読んで見た。
第一に基礎知識の足りない自分には読んですべて理解するには時期尚早だったようです。
理解出来たのは李登輝さんのとてつもない教養の深さと哲人ぶり。親日家というのは、表面的なものではなく、もっと精神世界における繋がりであることが良くわかる。
随所に出てくる引用文献の数々。ゲーテの『ファウスト』やカントの『衣装哲学』等をまったく読んだことの無い自分の無知ぶりを改めて痛感する。
新渡戸稲造の武士道の原文は英語で書かれ、それを台湾出身の李登輝さんによって『現在の日本へもっと自信を持ち -
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死生観と運命感
日本の神道には、キリスト教のもつ現在という概念がない。なくても自らの姿を顧みる。絶対神による救済を求める必要がないということは、強靭で自立した精神が宿っているとも考えられる。
公明正大
広義とは、私利私欲を捨て、全体の全体の幸福のために尽くすことである。
権力を持つ指導者は、公私の別をはっきりし、部下の処遇については、私情に流されず、明快に評価しなければならない。
権力とは、困難な問題の解決や理想的計画を執行する道具に過ぎない。それを一時的に借りたに過ぎない。「私は権力でない」と常に戒める必要がある。
伝統がもたらす信念
指導者は新しい時代にあっても、伝統的な価値観を捨ててはな -
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ネタバレキリスト教、哲学、日本思想、儒教など広範な知識を持つ文化人であることに驚きました。また台湾は中国、韓国と異なり日本に好意的だと聞いていましたが、なるほどという感じでもあります。新渡戸稲造への心酔ぶりも日本人以上に日本的な部分を持っている著者を感じます。外国から今の日本が精神的バックボーンを失ってしまっていることに警鐘を鳴らしているわけですが、古い日本の良さを知っていた人が客観的な立場から発言しているだけに、余計に今の日本の政治家の理念のなさを痛感しました。(中曽根氏の立候補断念の際の言葉に通じるものがあります)一方、敬虔なクリスチャンである著者が現在の中国指導部の話になるといささか、興奮して悪