あらすじ
■日本と中国の本質を知り尽くした哲人政治家が、再生日本に向けた愛情と期待に満ちた激励の言葉。
[目次]
第一章 再生する日本
第二章 李登輝の台湾革命
第三章 中国の歴史と「二つの中国」
第四章 尖閣と日台中
第五章 指導者の条件
第六章 「武士道」と「奥の細道」
第七章 これからの世界と日本
<著者略歴>
李 登輝 (り とうき)
1923年台湾生まれ。元台湾総統。農業経済学者。米国コーネル大学農業経済学博士、拓殖大学名誉博士。台北市長などを歴任、蔣経国総統(当時)から48年副総統に指名される。88年蔣経国の死去にともない総統昇格。2000年総統退任。2007年第1回後藤新平賞受賞。『「武士道」解題―ノーブレス・オブリージュとは』(小学館文庫2006)、『李登輝実録一台湾民主化への蔣経国との対話』(産経新聞出版2006)、『新版 最高指導者の条件』(PHP研究所2013)ほか著書多数。2020年逝去。
※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『李登輝より日本へ 贈る言葉』(2020年11月20日 第5刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。
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Posted by ブクログ
「誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要」だとする論があるが、時と場合だが、多くの場合、この考え方は間違えている。死ぬ寸前の父が話す言葉と同じ文章を見つけたとしても、その意味や受け止めは異なる。この本は、李登輝が残した書という意味で一言一句に大きな意味がある。第二次世界大戦前に京都帝国大学にも通い、日本人として一時を生き、台湾の総統を務めた。そして、2020年7月逝去。激動の歴史を生き、国家間のプロパガンダに塗れた外交的詐術の中で、偽りないリアルを語れる数少ない政治家だったと思う。読む事が躊躇われていた一冊だ。
毅然として向かえ、リップンチェンシンを取り戻せ。知識や能力だけではない、信念や矜持を持つためには「精神的な修養」が大切だ。まさに、正しい意味での精神論であり、身の震える思いである。
Posted by ブクログ
台湾の李登輝(りとうき)元総統から日本人への熱いメッセージです。彼は自分で新渡戸稲造「武士道」の解説本を出版する等、日本人に愛着を持ってくれています。愛情あるメッセージが故に、的を得た事ばかりで、読んでいて恥ずかしい部分もありました。そして私は、どれだけ上辺だけの知識が多かったかを実感させられました。ちゃんと物事の真髄や意図を見極めた上で解釈しないと、自分の思いと逆の行動をしてしまったり、強い思いのある者に扇動されかねません。物事の真髄や意図を見極めるためには、広く深く学び続ける必要がありますね。そう考えると、色々と重く圧し掛かってきますが、日本精神を自己再教育させます。
本書は殆どの日本人にお奨めできる素晴らしいものです。ついつい莫大な引用文になってしまいましたが、それだけ心に感じる部分が多かったと言う事です。ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
教育の力。日本統治下の教育はとても素晴らしかったと。最後にも、やはり教育の重要性を説いている。台湾人の氏が、これだけ日本教育を褒めると、説得力ある。
台湾は、移民の国であると。そして、移民の文化が積み重なり、今の台湾が形成されていると。
中国の体制を批判。人民の声を聞かない指導者がいけないと。なぜこのような指導者がうまれるのか?やはり、教育の問題なのかな?
権力は借り物。いつでも捨てる覚悟を政治家は持つべきだと。
日本は、美との協調。自然を愛し、そして恐れることが文化として残っているのではないか。
日本人として、いかに矜恃をもつか、それは、皮相的なナショナリズムではだめで、内面から自然と出てくるものであろう。無理に持つ必要はないのかも。
Posted by ブクログ
博識、慧眼、そして親日の台湾元総督である故・李登輝。ニュースからは見えてこなかった、同氏の優れたリーダーシップが見えてくる一冊である。日本人論、中国人論として読んでも面白い(ちょっと日本びいきがすぎるところもあるが…)。過去から現在まで、日本と台湾の関係についてもよく分かる。
2014年発行の本ながら、今の香港の状況を予見していたのか、「『一国二制度』はあり得ない」と述べている。
一時期、台湾も過度に中国よりな時期があったが、香港の現状を見ていれば、さすがに一つの国になることにヤバさを感じているだろう。
今、これだけの見識や胆力を持った世界のリーダーが誰かと問われると、すぐには思いつかない。惜しい人物をなくしたものだ。