ジョン・コナリーのレビュー一覧

  • 失われたものたちの国

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    前作がかなりダークだったので覚悟して読み始めたが、前作にあった理不尽な怖さは感じなかった。前作が書かれて17年経っての続編。母を喪った子の話と、子を失ないかけている母。相似する部分もあれば対比されている部分もある。一方で、主人公を女性にすることで、現代の女性が抱える問題、例えばミソジニーについても取り上げられている。最後のドライアドの人称がwe/theyであることも、種族の代表であるという意味だけでなく、最近のLGBTQ的配慮なのかもしれないと感じた。前作と今作、それぞれに魅力のある本で、両方を読むことで面白さも増えるものだった。

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    2025年07月24日
  • 失われたものたちの本

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    色んな側面から考え、
    空想し、畏怖した。
    こりゃ人生の10冊に入る…

    人間のもつ勇敢さと醜さ、
    生と死、過去と未来、
    成長と衰弱、

    そういったものの蠢き、
    生命の持つエネルギー、
    対比のようで一直線上にあることを
    体感した一冊だった。と、思う。

    なかなかグロテスクな描写もあり、
    美しさは美しさだけで出来ている訳ではなく
    一筋縄ではいかない。
    どちらもあるから美しいとも言えそう。
    綺麗事や理想だけじゃないのが余計にリアルで心にくる。

    なんか、上手く言葉に出来ないんだよなぁ…
    なんだろうこの気持ちは。
    ただただ喰らっている。立ち尽くしている。
    自分にとってとても大切な部分が、この物語

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    2025年07月06日
  • 失われたものたちの本

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    第二次世界大戦直前のイギリスから、「赤ずきん」や「白雪姫」のような童話が邪悪な話に変化している世界に迷い込んだ主人公のデイヴィッド。元の世界に戻るために、王様に「失われたものたちの本」を見せてもらうために、木こりや騎士の助けを得て旅をする。不気味なねじくれ男につきまとわれるし、ともかく色々な物語が入っていて、それでもちゃんと冒険譚になっている。最初の部分は、なかなか読み進みにくかったのだけれど、途中からリズムが良くなった。ちょっと、グロテスクな部分もあるし、お伽噺を愛する人には勧められないかもしれない。

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    2025年07月02日
  • 失われたものたちの国

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    前作から15年の月日が経っていることを感じさせる一作だった。物語は作り手の変容や時代の変容と共にあるのだと同じ著者の本を読んでいくとつくづく感じさせられる。
    前作が母を失い、義母と馴染めない少年の成長譚で、今回は一人娘が事故で植物状態となったシングルマザーの心の回復の物語。主人公のセレスは失われたものたちの国で32歳の記憶も精神も保ったまま16の姿になって旅をする。前作がまだ幼く様々な事によって経験をつみ大人となっていくのと異なり、今回セレスはまず今までの経験を踏まえて様々な事に冷静に対処していく。ただ思春期の頃に戻ることでもう一度子供心も取り戻しつつ、大人としての生き方を再度見直していくこと

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    2025年06月28日
  • キャクストン私設図書館

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    この人の小説は独特のグロテクスな感じが好きだ。外れが無く面白い。
    ラブクラフトを彷彿させて楽しく読めた。

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    2025年03月04日
  • 失われたものたちの本

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    「果てしない物語」や、ナルニアのような物語かな?と思いつつ読み始めました。
    色々な童話のかけらが散りばめられた不思議な国で、主人公はさまざまなものと出逢いながら王様の元へ向かいます。
    その世界の秘密は? 謎の男の正体は?
    最初は様子を見ながらでしたが、途中から、物語の世界に入り込んでいました。私が物語を覗き見たというよりも、その世界を自分も体験したような感じ。
    こういう読後感は本当に久しぶりでした!
    ねじくれ男的な部分って、私の中にもあるよな、とか。物語を通り抜けて、私自身もディヴィッドと同じく、すこし成長したような感じ。読んだ後は寂しさよりも清々しさがある。
    いい物語に出会えたなぁ!

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    2025年02月07日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    ジブリ映画の「君たちはどう生きるか」の理解の助けになるかと、原作(原案?)の一つであるこの小説を読んでみた。

    この小説自体の面白さ、テーマ性の力強さに圧倒され、宮崎駿監督はこの要素を取り入れたのかな等と考えつつも物語を楽しむことができた。
    しかしこれを読んであの映画を作ったのかと思うと、やはりオリジナリティの天才だと思う。

    まずこの本は、物語と人生の密接さを描いている。
    数々の童話をモチーフにした物語や展開が描かれ主人公や登場人物の人生に相互に影響し合っているのが分かる。物語は生きており、それを読まれたがっているのだ。
    そしてこの本は、ひとりの少年が成長し、大人になるまでを描いているのでは

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    2024年12月06日
  • 失われたものたちの本

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    久しぶりに壮大なファンタジーの世界に引き込まれ、夢中で読んだ。思った以上に血生臭い表現も多かったが、それはファンタジーの世界、許容範囲だ。
    少年の生きる世界は第二次世界大戦下のイギリス。彼の抱く感情は誰でも思い当たることのあるものばかり。怒り、孤独、迷い、恐怖、信頼、勇気。彼が少しずつ成長していく様子は頼もしいし、私の知っているものとは違うストーリーの童話がいくつも出てきて面白い。いろんな気持ちを思い出させてくれる、面白い冒険譚だった。

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    2024年09月11日
  • 失われたものたちの国

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    ネタバレ

    失われたものたちの国

    よみおわりました。

    宮崎駿監督が引退を決めたのに、復活するきっかけになった物語(の続編)になります。

    ジョン・コナリーの児童書になりますが、
    けっして甘ったれた内容ではありません。

    前作は少年ディヴィッドが『ねじくれ男』に招かれ異世界に行ってさまざまな苦難を乗り越えて成長していきます。


    続編は事故で植物人間になってしまった娘を看病していた女性が異世界に飛び込んでしまいます。
    かなり芯のある(強気)女性セレスですが、なぜか十代の女の子に戻ってしまいます。そして前作の主人公ディヴィッドや色んな人物と出会います。


    内容はかなりグロい部分があり、スパイスが強めです

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    2024年08月02日
  • 失われたものたちの本

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    映画「君たちはどう生きるか」まんまの展開で、あれ?原作こっち???特に序盤は読んでいるのが辛かったけど、中盤からは一気にファンタジー色強めになって面白かった。文体と物語のテーマからから「児童文学なのか?」と思ってたけどしっかり大人向けでびっくりした。生きていくってことは、1人では完結しないんだなとしみじみ感じた。

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    2024年07月06日
  • 失われたものたちの本

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    宮崎駿さんが好きなので多少バイアスはかかっていると思うけど、世界観に飲み込まれる作品。面白い。

    お母さんを亡くした男の子がダークファンタジーの世界へ入るお話。グリム童話の黒いギャップが描かれていて、この男の子の精神状態が映されていたと思う。

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    2025年09月14日
  • 失われたものたちの本

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    不幸な境遇の少年が、不思議な童話の世界に迷い込んでしまう。そこでの体験や出会いを通じて、少年の成長を描いた物語。

    誰もが知っている童話が絶妙に歪み、狂っていて、何故そうなったかもストーリーにうまく組み込まれており、読みながら非常に引き込まれた。
    全体的に少年版の不思議の国のアリスのようなイメージなので、アリスが好きな人は特に楽しめると思う。

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    2025年10月27日
  • 失われたものたちの本

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    血の匂いのただよう暗い森にわけいり、獣の息遣いを耳元で聞くような本。こどもの頃に、初めて完訳グリム童話(金田鬼一訳)を読んだ時の衝撃を思い起こされた。とりかえしのつかない過去の美しい残滓を、かきあつめて懐かしむ姿がかなしい。でも物語の外も光に満ちているだけではない、誰にとっても。

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    2025年09月21日
  • 失われたものたちの本

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    ダークファンタジー、若干ホラー寄り。
    序盤は物語に入り込めなかったが、ドンドン楽しめてくる。
    表現がキツい部分が多いので、子供にはおすすめ出来ないかな。

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    2025年08月04日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    デイヴィッドは本当の自分がどう在るべきかを、他者から教えてもらいたかった。理想化された大人ではなく、正しいあり方を示してくれる存在を求めていた。だからこそ彼は現実ではなく、物語の中に救いを探し、登場人物たちの言葉に期待を寄せた。語られる物語はおとぎ話のような、めでたしめでたしではなく、妙に現実味を帯びたトゥルーエンドのようだった。太宰治が「本を読まないということは、その人は孤独ではないという証拠である」と述べたように、デイヴィッドの読書量と想像力は、そのまま彼の孤独を示している。終盤で、いい子になったデイヴィッドは、ただ従順になったわけではない。彼は失いたくない世界があり、避けていても無視して

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    2025年08月01日
  • 失われたものたちの本

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    母親の死、父親の再婚と義理弟の誕生、戦争…とあらゆることに傷つけられてきた主人公デイヴィット。義母と義理弟への憎しみを胸に抱きつつ庭を彷徨っていると、岩の割れ面から異世界へ閉じ込められてしまった。デイヴィットは帰れるのか?

    題名が素敵で気になってたけど、ダークな世界観だとも聞いてたので、読むのを躊躇してた。今回旅行するにあたって本をいくつか購入することになり、夫と同時読みしようという流れになって読み始め。

    めっちゃ面白かった。ダークであることに間違いはないんだけど、童話チックな語り口なので、そこまで生々しくないし、デイヴィットがどう窮地を切り抜けるかが気になりすぎてページをめくる手を押さえ

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    2025年07月28日
  • 失われたものたちの本

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    美しいのにどこかグロテスク、それでいて純粋、そんな印象が強い。
    12歳、多感なデイヴィッドが入り込む物語の世界が怖くもあり、同時にワクワクもした。
    背景に第二次世界大戦があるからだろうか、おとぎ話の中にもその影響は及んでいる。その中を彷徨う少年の冒険から目が離せない。子供の頃読んだ冒険ものと同じフォーマットだが、バラエティーに富むと同時に純粋さゆえの残酷さが際立っていて面白かった。ボーナストラック的についている「シンデレラ(Aバージョン)」の結末は笑ってしまった。

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    2025年07月20日
  • 失われたものたちの本

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    和訳の小説に慣れていない為、読み終わるまでに時間がかかってしまったが、読後感がとても良かった。外国のブレイブ・ストーリーのよう。

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    2025年07月10日
  • 失われたものたちの本

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    ダークファンタジー好きには刺さると思う1冊。
    例えるとアリス・イン・ワンダーランドと似た世界線
    私はとても面白いなと思った。

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    2025年02月18日
  • 失われたものたちの本

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    序章はよくある少年の成長譚なのかと思った。
    一筋縄ではいかない、絶望が支配する世界が物語に深みを与え血肉になっている。

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    2025年02月10日