ジョン・コナリーのレビュー一覧
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「失われたものたちの本」の完全な続編。
(前作を読んでいないと全く理解不能)
ロンドンに住むセレスは一人で8歳の娘を育てている。ある日、娘が交通事故にあい昏睡状態になってしまう。医師の勧めで田舎のケア施設に移るが、その施設のそばに『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があって…。
主人公セレスの感じる孤独と絶望は痛々しいほど胸に迫ってきます。ただ、前作の主人公ディヴィッドが囚われた喪失感や嫉妬とはベクトルが違う感触がありました。ディヴィッドが少年だったのに対して、本作の主人公セレスは立派な大人として描かれています。前作が書かれてから17年が過ぎ、著者の思考の変遷がここに表 -
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勝手に想像していたよりとてもダークな世界だった。あらすじを見ても生易しい物語でないのはわかるが、それでも思っていたよりもずっとダークであった。
はじめの現実世界での主人公の立場や心情、物語の中で主人公が出会う登場人物達と経験。全てが重くて読み進めていくとどんどん気持ちが沈んでいった。
主人公は子供ということだが、子供であろうと大人であろうと、主人公の立場や経験は受け止められるのがとても難しいものだと思う。そのような状況だけでなく、そこに主人公の心情が細かく書かれていたのがなによりこの本の感銘を受けた部分だった。ただ状況を書き並べるだけならいくらでも出来るだろうが、心情がこれでもかと書き並べてら -
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ネタバレ予想していたよりダークなファンタジーだった。
宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」という作品は、本書を結構モチーフにしているというレビューを見かける。先にこの本を読んだが、いずれ映画も観たい。
有名な童話(白雪姫やヘンゼルとグレーテルなど)が色々と登場するのももちろん好みなのだが、主人公・デイヴィッドを助けてくれる謎の国の良い人たちが命懸けで救ってくれたり、おかしな世界ではあるが現実的な考え方をしていたり(それがむしろおかしさを感じるが)、キャラクターが魅力的だ。
ねじくれ男が執拗い狼を始末し、デイヴィッドは私だけのものだ、という場面はゾクッとした。
ねじくれ男の正体がほとんど明かされ -
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ネタバレ誰しもがそれぞれに持つ内面の物語についての物語。
母親を亡くしたデイヴィッドは、新しい家族の中に自分の居場所を見失い家族関係がぎくしゃくしていたところをねじくれ男に付け込まれて物語の世界に誘い込まれるが、そこで大きく成長して戻ってきて、親子関係を見つめなおす。
ジブリの映画「君たちはどう生きるか」の元ネタになったと言われている本。公式にそう言われているのかは知らない。
映画を先に観てから読んだが、なるほど対応関係は分かる。
しかし原作と言えるほど、この物語を忠実に映画化しているわけではない。映画版はかなり翻案されており、設定や枠組みを拝借したという程度に見える。
吉野源三郎の「君たちはどう -
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事前情報なく読む。
これは宮崎駿さんの「君たちはどう生きるか」のモチーフになった本?。映画は説教臭いタイトルで、面白くなさそう(失礼すぎ)だったので見てないのですが、この本を読んだ今は俄然気になってます。
序盤は大好きな母を失った後の新しい家族の形に馴染めない男の子のモヤモヤ。この坊やがある事をきっかけに異世界へ。そこからは一気にファンタジーの世界へ。異世界に入ってからは、誰もが知ってるグリム童話が私たちが知ってる内容とはかなり解離したどす黒い形で表現され、いい意味での大きな違和感あり。ハイブリッド生物がでてくるのは最近の物語だなぁと思ったり(でも基本は馬、剣、城などのファンタジー)。グロ -
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失われたものたちの本
少年が物語の世界へ入り込む系の話に弱く、手に取る。
病気で母親を亡くした少年、父には新しい女性と再婚、子供までできて少年は自分の居場所を失ってしまう。
そんな時、彼方から声が聞こえてきて物語の世界に飛び込む。
童話風の語りで進むためロングバージョンの話を聴いている感じで進む
荒れ果てた物語の王国では、合間に読んだ探偵モノの殺人よりも数倍惨いことが起きていて、よくある昔話の原型はグロさが強いという話を思い出す。
終盤はこれまた昔話風の"それから"の話が怒涛の勢いで話が終わる。
ちょっと疲れたけど、登場人物たちが少年にとっての何の象徴なのかを追いつつ