フェリックス・フランシスのレビュー一覧

  • 覚悟

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    落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。

    だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、シッド・ハレー登場。

    ハヤカワ文庫時代をリスペクトしたデザインがいい。もちろん内容も最高である。
    続けて、オリジナルのシリーズを再読したいが、ほぼ手放してしまった。電子書籍にはあるようだが。

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    2025年05月15日
  • 拮抗

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    ネタバレ

    競馬シリーズ42作目。

    そう言われてみればブックメーカーが主人公になったことはなかった。
    この競馬シリーズ、様々な職業の主人公がいたが、
    こんなに競馬に身近で。
    必須ともいえるブックメーカーが主人公になっていなかったのは、
    あまりに犯罪に関わりありそうな職業だからなのだろうか。

    ブックメーカーのネッドの前に突然現れたのは、
    幼い頃に自動車事故で死んだと言われていた父親。
    驚きながらも、少し話をした矢先に暴漢に襲われ、
    父親は刺されて亡くなってしまう。
    しかも持っていたのは違う名前の運転免許証だった。
    本当に父親なのか。

    父親の泊まっていたホテルを探し当てて手に入れた謎の物体、
    その荷物をよこせと知らない男が迫ってくる。
    さらに、馬の発送予定時効間際にインターネットと携帯電話が
    不通になる事故が続き、
    見の周りがあわただしい中、
    それでも精神疾患で施設にいる妻のソフィには毎日会いにいくネッド。
    だが、父親と一緒に事故で死んだはずの母親は殺されたと知る。
    容疑者は父親。

    仕事上の相棒であり、途中で共同経営者となるルカ、
    「かみそりのように切れる数学的頭脳を持つインターネットの天才」が、
    いい味を出していた。
    複雑なオッズを操つり、ネッドが忙しい時には店を任せることができ、
    電気機器にも詳しい。
    インターネットと携帯を不通にさせるぐらいには。
    恋人と付き合っている途中からその妹にちょっかいをだし、
    最後には乗り換えてしまうのはどうかと思うが。

    新しく雇った「電気クラブ」の少年も良かった。
    警察沙汰になったこともあるが、あっという間に、
    生まれつきのサービス精神と頭の回転の良さで、立派に助手を務めていく。
    怪しげな男たちが脅迫に来たときは、
    きっぱりとした物言いで追い払っていたし、
    ネッドの敵への仕返しに、電気クラブの仲間を働かせてたし。

    仕返しが上手く行ったことも良かったが、
    ソフィが元気になって一緒にオーストラリアへ行き、
    ネッドの妹たちに会う場面が感動的だった。
    見た瞬間に兄妹とわかり互いに涙を流し、
    同じく涙を流すソフィが待ち望んでいた妊娠を告げる。

    この競馬シリーズの愛読者にはわかってもらえると思う。
    このシリーズ、
    最後の1ページでこんなに幸せな気持ちになることはまず無い。
    フェリックス・フランシスのおかげなのだろうか。

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    2025年02月22日
  • 審判

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    ネタバレ

    競馬シリーズ41作目。

    法廷弁護士であるメイスンは、障害競走のアマチュア騎手でもある。
    身重だった妻を亡くして七年、仕事とできるかぎりの乗馬にレースに
    明け暮れる毎日。
    だが、一緒にレースを走ったトップジョッキーが殺され、
    別のジョッキーが犯人として逮捕される。
    容疑者からは自分の弁護をしてくれと頼まれるが、
    事件前のことを証言しなければならないかもと渋っていた。
    そこへ老父の写真と共に、弁護を引き受けて負けろと言う脅迫の手紙が届く。
    その後も執拗に裁判に負けろと電話をしてくる脅迫者は誰なのか。
    殺人の真犯人なのか、なぜジョッキーを殺したのか。

    被害者の家から仔馬が産まれた時の写真がなくなっていたので、
    仔馬のすり替えか、出産時期のごまかしだろうなということは見当がついた。
    このシリーズにしてはかなりわかりやすい馬犯罪だったので。
    とはいえ、犯人を追い詰める法廷の場面は見ごたえ、いや読みごたえがあって、
    リーガル・ミステリーとして圧巻だった。

    さらにはラストでメイスンが、
    自分や自分の老父に暴力をふるい、陪審員を脅して法による秩序を損ない、
    自分と恋人の将来を脅かす敵を、
    過剰防衛と自覚しながらもとどめを刺した場面が印象的だった。
    いまさらながらこの競馬シリーズ、
    ミステリーであるとともにヴァイオレンスであることに気が付いた。

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    2025年01月24日
  • 祝宴

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    ネタバレ

    競馬シリーズ40作目。

    人気レストランのシェフ、マックスが食あたりに苦しむところから話は始まる。
    競馬場の前夜祭で出した食事が原因のようで、
    死亡者1名ということでレストランは閉鎖されてしまう。
    なんとか翌日に競馬場でのパーティでランチを提供するが、
    そこで爆発事件が起き、給仕係の女の子をはじめ多くの人が亡くなる。
    食中毒で亡くなったのではないとわかりレストランの閉鎖は解かれるが、
    爆発事件との関係を調べていくうちにマックスは殺されかける…。

    インゲン豆の生食が毒だとは知らなかった。
    その食中毒の被害者で、
    訴訟を起こそうとしていたヴィオリストと付き合うようになるとは、どんな展開?
    だた、彼女が自分の命ともいうべきヴィオラを犠牲にして、
    マックスを殺そうとしていた男から救ったのは感動的だった。
    それにしても、競馬ではないがポロの馬がらみの犯罪に、最後にはつながっていうのは、見事。

    この本が日本で発刊された年に作者が亡くなられたらしい。
    解説で有名人が弔辞を書いていた。
    残念だ。

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    2024年11月22日
  • 拮抗

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    イギリスの作家「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の長篇ミステリ作品『拮抗(原題:Even Money)』を読みました。

    『審判』に続き「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品です。

    -----story-------------
    「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営む「ネッド」の前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。
    にわかには信じがたい話に混乱する「ネッド」。
    だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。
    なぜ父は今頃になって現われたのか? 
    「ネッド」は否応なしに錯綜する謎の渦中へ巻き込まれてゆく。
    スピーディかつスリリングに描くサスペンス巨篇 〔解説:「関口苑生」〕
    -----------------------

    競馬シリーズの第43作目… 「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著としては3作品目となる作品、、、

    本作の主人公は競馬専門のブックメーカー… 追い詰められて、困難に陥った主人公が、事件の遠因となっている家族の暗い過去を明らかにしつつ、敵と対峙し、難局を乗り越えて行く醍醐味が感じられる作品で、感情移入しながら愉しめました。


    亡き祖父から受け継ぎ、競馬専門のブックメーカー業を営む「ネッド・タルボット」… 女王陛下が観戦する英国最大の競馬レース“ロイヤル・アスコット”の初日、馬券を売っている彼の前に、父親の「ピーター」と名乗る男が現われた、、、

    両親は自動車事故で死んだと祖父母から聞かされていた「ネッド」は、にわかに信用することはできなかったが、その男は36年前に「ネッド」の母が死んだあと、当時一歳の「ネッド」を残してオーストラリアに渡ったという… その驚くべき話が終わった直後、二人の前に暴漢が出現し、抵抗した「ピーター」は刺殺されてしまう。

    警察のDNA鑑定の結果、「ピーター」が「ネッド」の父親であることが確定するが、同時に「ネッド」は警察から思わぬことを告げられる… 「ピーター」が36年前に妻を殺した容疑者だというのだ、、、

    「ネッド」はその真偽と父が帰国した目的を探るが、やがて暴漢が父の持ち物を探していることを知る… さらに、別の男が父の持ち物を狙って彼の家に侵入する事件が発生する。

    父はいったい何をしていたのか? 競馬場内が通信不能になる事件が続発する中、病気の妻「ソフィ」をいたわりながら謎を追う「ネッド」に、さらなる苦難が、、、

    死んだと思っていた父親が表れ、直後に殺されるという序盤のドラマティックな展開から、苦境に立たされた「ネッド」が、競馬業界における馬の入れ替えによる出走馬詐称や保険金詐欺、オッズの不正操作を暴きつつ、自らが事件に巻き込まれる遠因となった家族の秘密を明らかにしていく終盤の展開まで、物語の中に引き込まれながら集中して読めましたね。

    でも、オーストラリアの競馬界も絡んだ不正事件の真相は概ね知ることができたものの、社会的な制裁を受けるまで暴くことができなかったので、ちょっと中途半端な感じがしたなぁ… 個人の力の限界かな。

    それにしても… 両親は、幼い頃に交通事故で亡くなったと思っていたのに、実は母親は殺害され、その直後に父親は行方不明になり容疑者となっていたことを知っただけでも、相当なショックなのに、、、

    実は育ての親の祖父の犯行で、それを手引きしていたのは祖母だった… その動機は母親が祖父の子どもを身籠ったことだったという展開は、ショッキングだったですね。

    でも、父親が人生の大半を過ごしたオーストラリアを妻とともに訪れ、母親違いの妹たちと心を通わせ、新しい家族の誕生を予感させるエピローグは、明るい未来を予感させる締めくくり方で良かったですね… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。


    以下、主な登場人物です。

    「ネッド(エドワード)・タルボット」
     ブックメーカー

    「ソフィ・タルボット」
     ネットの妻

    「ピーター・ジェイムズ・タルボット」
     ネッドの父親

    「トリシア(パトリシア)・ジェイン・タルボット」
     ネッドの母親。ピーターの妻

    「テディ・タルボット」
     ネッドの祖父。ピーターの父親

    「アリス」
     ソフィの妹

    「ルカ・マンディーニ」
     ネッドのアシスタント

    「ベッツィ」
     ルカのガールフレンド

    「ダギー(ダグラス)・マスターズ」
     ネッドの新しいジュニア・アシスタント

    「ラリー・ポーター」
     ブックメーカー

    「ノーマン・ジョイナー」
     ブックメーカー

    「キッパー」
     ピーターを殺した男

    「ジョン・スミス」
     マイクロコーダーを探す男

    「パディ・マーフィ」
     ピーターの知人

    「ヘンリー・リチャード・フェルドマン」
     大手ブックメーカー会社の取締役

    「ラキー(ラクラン)・ハリス」
     私立探偵

    「ルウェリン」
     テムズ・ヴァレー警察主任警部

    「マーレー」
     テムズ・ヴァレー警察部長刑事

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    2022年10月22日
  • 審判

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     ディック・フランシスが一度ぺンを折った、いやさ、折りかけたのは、メアリ夫人の逝去が、ディックの心に投げかけた痛手が重すぎ大きすぎたためだろうと思われていた。それ以上に、メアリ夫人はずっとディック作品に共著とされてもおかしくないほど作品に深く関わっていたと伝えられる。

     ディックの作品には、毎作毎に異なる職業の主人公が据えられるが、その職業に応じて作品世界は彩色される。いわば競馬界とミステリ界しか知らない(おっと、飛行機の世界も精通していたっけ!:「飛越」参照)ディックという作家が、世界の様々な職業、別の舞台に小説の題材を求められるのも、メアリのリサーチによるものだったと言われる。

     画家、カメラマン、保険調査員、ネゴシエイター、運転手、映画人、鉄道マン、銀行マン……数限りない職業を描いていたディックが、ついに本書では法曹界に目を向けた。しかもメアリ夫人の手助けなしで。

     しかも驚いたことに、いやこれこそがディックという作家の誇りでもあるところなのだが、ロウヤー(法律家)にとっては法に基づく行動を取ることがいかに誇り高き行為であることなのかまでをも描き切ってしまうところである。下手なリーガル・サスペンスが書き切っていない尊厳に値する場所をまで描き切るところである。この作家、息子との共著となり、メアリ夫人を失って以降も、少しも変わらず、唸らせてゆくのである。全く!

     本書には、ディック・フランシスのピーク時そのものがそのままの姿で詰まっているように思う。理不尽な敵。執行される暴力と威嚇。脅え、そして戦おうとするが、更なる暴力に曝される罪のない犠牲者たち。法を曲げろと脅迫される主人公は、敵への攻撃に転じてゆく。暴力はまた振るわれエキサイトしてゆく空気の中で、尊厳と誇りを闘志に変えて。

     そうした人間の行動、方向、意志力といったものを軸に馬力を放ちながら、ディックの作品はトラックを走り抜けてゆく。障害を飛び越える。時には落馬や転倒によって大きな深手を負うことがあるが、それでも意志力により負傷は癒える。そうして、複雑に絡み合う陰謀の構造に小説は辿り着く。そのミステリとしての要素もしっかりと小説の核になってゆく。

     ミステリとハードボイルドを兼ね備えた作品の完成度は、今も全く一歩も譲らぬ妥協のない産物として保障されており、年に一度だけ世界に向けて出荷される。職人が丹精込めて作り上げた食材のように。世界の読書グルメが、果実のように作品を頬張る。満悦の笑みがこぼれる。

     エクセレント!

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    2012年07月01日
  • 審判

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    ディック・フランシスによる競馬シリーズの41作目で、息子であるフェリックス・フランシスとの共著2作目になります。
    一度は筆を置いたディック・フランシスが前々作の『再起』で復活しました。
    そして前作からは息子さんと共著となったようです。
    競馬シリーズは主人公の職業は毎回様々で、でも何がしか競馬界と関係をもっているというのがお約束で、今回の主人公は弁護士でアマチュア騎手です。
    この弁護士が仲間のプロ騎手の殺人事件の裁判に巻き込まれていきます。そして弁護を担当して必ず裁判に負けるように様々な圧力がかけられます。
    この圧力に屈するのか…それは、是非読んでみてください。
    今回の主人公はいまいちタフな感じが無いのですが、正義を貫く姿勢が良かったです。
    共著という事、翻訳の方が変わった事、これらによる若干の違和感は無くも無いですが、作家さんの世界ではあまり聞かないですが世襲に近いものになっていくように思います。
    話の終わり方については賛否両論ありそうです。納得は出来ませんでしたが、ある意味スッキリはしました。

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    2011年06月15日
  • 祝宴

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    シェフがすごく受難な1週間でいろいろ痛そうでした。
    追悼コメントを読みながら、あらためて残念な気持ちに・・・

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    2010年04月22日
  • 覚悟

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     作者フェリックス・フランシスは、ディック・フランシスの息子である。そのディック・フランシスは、イギリス競馬のチャンピオン・ジョッキーにしてミステリ史上に輝く「競馬シリーズ」の著者である。このディック・フランシスと「競馬シリーズ」のことならどれだけでも語ることができる。僕自身の生涯において、これほど新作が待ち遠しかったシリーズはないからだ。そのディック・フランシスが往生を遂げ新刊を待つこともできなくなって長い時間が過ぎ、息子による「「新・競馬シリーズ」を読むことができた頃は、この上ない喜びである。

     人気シリーズを息子が引き継いだと言っても、実は旧シリーズの最後の数冊は親子の共同名義になっている。それ以前から、競馬シリーズは父フランシスを中心に妻や子との共同作業によって書かれてきた面があるそうだ。個人営業の飲食店のようなものかもしれない。そういう意味では、伝統あるというか、のれんがちゃんと受け継がれたような感じで悪いものではないし、以前と同じような気持ちで「待ってました」と思って手に取った。

     ただ(飲食店の例を続けるなら)、初代の味が素晴らしければ素晴らしいほど、二代目は大変になる。「二代目が関わるようになってから少し味が落ちたな」とか「やっぱり先代の頃が懐かしい」とか言われがちなものだ。じつはこのシリーズについて、個人的にはそんな気持ちでいた。旧競馬シリーズは名作揃いであったとは言え、時期により作品によりそれなりに差がある(最も?な作品でも高水準であることは間違いないが)のは確かだが、二代目が前に出てくるにつれて何かしらの違和感を感じたのは確かである。二代目の単独作となったこの「覚悟」では、その違和感がさらに強くなった感が否めない。

     作品としてはとても面白い。シッド・ハレーの5度目の登場ということも印象強い。このシリーズでは「ここぞ」というところでシッド・ハレーが登場する。それだけ印象が強いヒーローだし、フランシス作品の根源的なテーマを体現している主人公だからだ。「利腕」で最も明確に示された「自己との戦い」というテーマは決して古びることなく人の心を打つ。再登場する度にドキドキしながら読み、感動で一杯になって最後のページを閉じたものだ。

     作品としては確かに面白い。でもハレーの何かが違う。有り体に言えば、少し雑に感じる。よく考えると以前のハレーだって同じような行動をしているのだが、その奥にある深みのようなものがちょっと違う。かつては痛みに耐えた力強い行動に感じたものが、今は無神経で軽率な行動に感じられてしまう。こっちの先入観かもしれないけれど、一度そう感じてしまうと目についてしまう。旧シリーズの最後の方では主人公のキャラクターとして感じようとしていたが、ハレーが主人公となるとそうもいかない(本音を言うと「再起」あたりからそんな感じはある)。もしかすると父フランシスが本物のジョッキーであったのに対し、子フランシスは教師や実業家だったからかもしれない。

     くどいかもしれないが、作品としては面白い。個人的には女性や子どもに危機が迫りかねないような話は読んでいてキツいが、それも含めてとてもよくできたサスペンス小説だと思う。これからも、このシリーズは追いかけていくと思う。ワクワクしながら手に取り、楽しく読み、ぶつぶつ言いながら、それでもやっぱり次を楽しみにするのだと思う。こんなことを言えるのも含めて、「祝!復活」である。

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    2025年12月19日
  • 虎口

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    馬を殺すって話は好きになれないな。被害者のメンタルもまさかと思った通りだったし、主人公だけ幸せで一家崩壊も。

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    2025年12月10日
  • 覚悟

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    新作が出ていたことも知らず。終盤まで圧をかけられ放しで、読むのがちと辛かったが、よく継いでくれたもの。
    と思ったら、強襲、読んでいてびっくり。

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    2025年06月26日
  • 矜持

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    ネタバレ

    競馬シリーズ、ついに最終巻。よりによって、非常に感じの悪い連中しか出てこない話になっていて、これで最後なのは本当に残念極まりないが、仕方が無い。
    ただ、ここまできたシリーズに敬意を評して、なんとか星3つ。縁があるところからバラバラに読み進めているので、菊池訳ではない作品を読んだのはこれが初めて。地の文は非常に読みやすくなっているように思う。会話はあの菊池訳特有の雰囲気に慣れてしまい、むしろ滑らか過ぎて引っかからない。いろいろあるもんだ。

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    2012年12月08日
  • 拮抗

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    大好きなのは初期の作品のいくつかなんだけど、やっぱり買ってしまうフランシス。息子との共著になって何となく違うよな〜と思いながらも…。責任感があってストイックな大人の男の魅力に惹かれてって、そうかイギリスの健さんなんだ!

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    2012年09月07日