吉田量彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い
スピノザを知るには、まずはこの本なのでは
翻訳が古い岩波の知性改善論とか、短論文で挫折するくらいなら(みすずの新訳はどうなのだろう?)、まずはこれを読むべきでは
大事なポイントの多くがここに出てくるし、スピノザ の問題意識もよくわかる
何を正そうとしていたのか
「デカルトの哲学原理」(読んでない。國分さんの「スピノザ の方法」でかなり詳しく検討されてたが、それだけ)と合わせて読むと、当時のキリスト教、ユダヤ教の聖書の読み方などの方法論への疑問と、デカルトの哲学への共感と疑問とが露わになるのでは。
そうすると、エチカは何だったのか
デカルトのコギトからの哲学や、聖書の説く道徳論を超えつつ統合したスピノザの倫理学、幾何学的確かさで皆を神の認識へと至らせるメソッド的な(メソッドではいけないとしても)倫理学、としての、新たな聖書を目指したのでは。
物語で道徳を説く聖書の方法論ではなく、デカルトの心身二元論の矛盾やコギトから始めることの問題点を踏まえて、幾何学的に倫理に到達するという新たな方法を提示した書なのかと思う
下巻が楽しみ -
Posted by ブクログ
ネタバレスピノザが住むオランダはカトリック国家スペイン領からプロテスタント国家として独立したため、1648年にはプロテスタントのみ公認されていた。そして、1672年、カトリック国家フランスに侵攻されたときにカトリックに侵略されていると感じていた。当時はヨーロッパ全体に異端を処罰する法律があった。異端とは国教に反する教えのことで、プロテスタントの国でカトリックの教えを広めたり、カトリックの国でプロテスタントの礼拝をしたりすると、国家の宗教秩序を乱すものとして犯罪となった。当時のオランダは宗教比率がプロテスタント4〜5割、カトリック3割、その他2割。スピノザはどの宗派にも属さず距離を置いた。そして、宗教の自由を説いた。「物知り同士のさまざまな争いに政府が法律で片を付けようとした結果、教会内にどれほど多くの分派が生じたことだろうか」「ひとと違う考えをもっていて迎合することができないという[だけの]理由で、誠実な人たちが悪人として追放刑に処せられるなら、国家にとってこれよりも大きな災いが考えられるだろうか。」また、聖書は難しい哲学ではなく、神は人のために誰でも理解できるようわかりやすく作ってくれた。だから、例え話や物語が多いのだと説いた。当時は無神論者扱いだったようだが、スピノザは自分が信じる神を深く信仰していた。オランダが穏健な国だったとはいえ1670年出版でこの内容、捕まらなかったのはすごい。エチカは死後だけれど。
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Posted by ブクログ
スピノザの生涯と思想をていねいに解説している入門書です。
すでに「講談社現代新書」では、スピノザの入門書として上野修『スピノザの世界―神あるいは自然』と國分功一郎『はじめてのスピノザ―自由へのエチカ』が刊行されています。著者もこのことに触れつつ、「スピノザの思想だけでなく、彼の生涯と生きた時代について、かなり立ち入って解説していること」と、「他の二冊が『エチカ』で展開された哲学・倫理思想を中心に取り上げているのに対し、本書はそれに負けないくらい、『神学・政治論』『政治論』で展開された宗教・政治思想にも目配りを試みていること」を特色としてあげています。
著者は、『エチカ』がスピノザの「表の主著」であるのに対して、『神学・政治論集』は「裏の主著」にあたるといいます。そして、『神学・政治論集』においてスピノザがホッブズの社会契約説の枠組みを踏まえながらも、「自然権」についてまったく異なる考えを提出していることを解説します。つづいて『エチカ』の解説では、一人ひとりの人間の「現に働いている本質」であるコナトゥスという中核的な概念が、『神学・政治論集』の自然権の思想に通じる発想にもとづいていることを明らかにし、「表の主著」と「裏の主著」とをつなぐ発想に目が向けられています。
スピノザの生涯にまつわる、ややマニアックな研究の成果も紹介されており、分量的にも新書としてはややヴォリュームのある本です。とはいうものの、賛否はあるでしょうが著者の軽妙な語り口のためもあって、たいへん読みやすく書かれているように感じられました。 -
Posted by ブクログ
『夜と霧』で引用されたエチカの一節が印象的で、その後読んだ別の本でもスピノザについての描写があり、スピノザを知りたいと思いこの本を手に取りました。
エチカ(ほかスピノザの著作)を最初に読むべきだったのかもしれないと本を読み始めてから思いましたが、その時は書店で売り切れだったのでこちらを選んだのです。
不勉強ゆえ、スピノザの引き合いに出される哲学の内容などもわからず、ピンとくることはなく思想の項目は文字が滑るように理解が難しかったのですがスピノザの一生についての描写は、研究に携わる人ならではの綿密な分析によって導き出した情報が丁寧でとても好ましく面白く読めました。
過去の人の歴史を分析するのはとても大変なのだなと思いますし、こうして過去の限られた資料や時代背景を鑑みて丁寧に読み取られた情報を重宝すべきであるし、これに限った話ではなくSNSの発展と自己顕示欲の褒められない相乗効果でソースが不明の情報が独り歩きするのがとても不快なので、その点においてこの本は上質な情報がたっぷりだと言え、内容だけでなく姿勢も見習うべきなのではと思いました。
スピノザの思想、中でも理性はとても高度なレベルで終わりのないものですが、とても好ましい心意気だなと思いました。 -
Posted by ブクログ
国家論とか政治論とかにはいつでもどうしても興味が持てず、後半、16-19章は飛ばし、20章だけ読んだ
スピノザの宗教観、とてもいい
要するに、聖書は、神への服従を言ってるのだ。そして神への服従とは、隣人への愛として行われるのだ。
要するにこれだけのことだ、と。
素晴らしい。初めてあのわけのわからん宗教がよくわかった。確かにそうだよ。
そして、発言の自由を認めるべき、ってとこね。
これは今なら表現の自由と読み替えたい。
発言の自由を抑えることは不可能なのだ、どんなに法で否定しても、人は自分の好きに考えることをやめられない。
つまり、好きに考えることをやめさせようとするのは、人間の性質を無視した矛盾でしかなく、結果、破滅的な結果をうむことにしかならない、と。
そんな抑圧しなきゃいいのだ、好きなこと考え、好きなことを言えばいいのだ、ただし、法を犯すような行為はだめよ、と。法には従うように、と。国が腐敗してない限りは、と。
さすが、厳密なだけで、答えはめちゃくちゃシンプルなんだよなー
なるほど、「どうしてソクラテスは死ななければならなかったのか」という問いがプラトンの基本にあるとしたら、スピノザにはやはり、「どうして自分の意見を言うことに命をかける必要があるのか」という疑問があるのだろう。
それは、ユダヤ教から破門されたこと、その後、暗殺されそうになったことが根本だろうし、そのとき切り裂かれたマントをその後もずっと手放さなかった、というのに現れてるんじゃないか。