あらすじ
スピノザは本書で聖書のすべてを絶対的真理とする神学者たちを批判し、哲学と神学を分離し、思想・言論・表現の自由を確立しようとする。スピノザの政治哲学の独創性と今日的意義を、画期的に読みやすい訳文と豊富な訳注、詳細な解説で読み解く。『エチカ』と並ぶ主著、70年ぶりの待望の新訳!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
スピノザ「神学・政治論」
前回スピノザを解説した2冊を読んだときに吉田量彦氏の本で詳しく解説されていて興味を持った著書。
タイトルは硬くて難解なイメージだったが、翻訳も同じ吉田氏の新訳ということもあり挑戦してみると意外と読みやすく内容がスルスルと頭に入っていく。
上下巻合わせて3分の2は神学、つまり聖書についてその矛盾点や問題点を炙り出しモーセとヘブライ人たちとの契約や律法の中に神をどう存在させるかといった信仰と理性の自由をどう両立させるかが書かれる。
スピノザは以下のように述べている。
「ひとの心が完全に他人の権利の下に置かれることなど、決してありえないのだ。自由に考えをめぐらせ、ありとあらゆるものごとに判断を下すのは、ひとの自然 な権利であって、この自分の自然権あるいは能力を他人に譲り渡すことなど、いくら強制されても誰にもできないからである。」
こうした考える自由、言葉を発する自由を国家というものが誕生し統治される時代になっても為政者に屈することなく表現すべきだという一貫したテーマが全編に貫かれている。
スピノザがなぜこのような考えを17世紀に持つことができたのかを理解するときに前出の解説書が非常に役に立った。
Posted by ブクログ
一言でいうと
「考えることを放棄するな!」
これが当時としては危険思想であった。
考えない人間ほど為政者にとってコントロールしやすい人間はいない、
ということは歴史を振り返っても、火を見るよりも明らか。
自分の頭で、
知性で考えることの需要性をスピノザと共に考える、類稀なる良書。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い
スピノザを知るには、まずはこの本なのでは
翻訳が古い岩波の知性改善論とか、短論文で挫折するくらいなら(みすずの新訳はどうなのだろう?)、まずはこれを読むべきでは
大事なポイントの多くがここに出てくるし、スピノザ の問題意識もよくわかる
何を正そうとしていたのか
「デカルトの哲学原理」(読んでない。國分さんの「スピノザ の方法」でかなり詳しく検討されてたが、それだけ)と合わせて読むと、当時のキリスト教、ユダヤ教の聖書の読み方などの方法論への疑問と、デカルトの哲学への共感と疑問とが露わになるのでは。
そうすると、エチカは何だったのか
デカルトのコギトからの哲学や、聖書の説く道徳論を超えつつ統合したスピノザの倫理学、幾何学的確かさで皆を神の認識へと至らせるメソッド的な(メソッドではいけないとしても)倫理学、としての、新たな聖書を目指したのでは。
物語で道徳を説く聖書の方法論ではなく、デカルトの心身二元論の矛盾やコギトから始めることの問題点を踏まえて、幾何学的に倫理に到達するという新たな方法を提示した書なのかと思う
下巻が楽しみ
Posted by ブクログ
スピノザが住むオランダはカトリック国家スペイン領からプロテスタント国家として独立したため、1648年にはプロテスタントのみ公認されていた。そして、1672年、カトリック国家フランスに侵攻されたときにカトリックに侵略されていると感じていた。当時はヨーロッパ全体に異端を処罰する法律があった。異端とは国教に反する教えのことで、プロテスタントの国でカトリックの教えを広めたり、カトリックの国でプロテスタントの礼拝をしたりすると、国家の宗教秩序を乱すものとして犯罪となった。当時のオランダは宗教比率がプロテスタント4〜5割、カトリック3割、その他2割。スピノザはどの宗派にも属さず距離を置いた。そして、宗教の自由を説いた。「物知り同士のさまざまな争いに政府が法律で片を付けようとした結果、教会内にどれほど多くの分派が生じたことだろうか」「ひとと違う考えをもっていて迎合することができないという[だけの]理由で、誠実な人たちが悪人として追放刑に処せられるなら、国家にとってこれよりも大きな災いが考えられるだろうか。」また、聖書は難しい哲学ではなく、神は人のために誰でも理解できるようわかりやすく作ってくれた。だから、例え話や物語が多いのだと説いた。当時は無神論者扱いだったようだが、スピノザは自分が信じる神を深く信仰していた。オランダが穏健な国だったとはいえ1670年出版でこの内容、捕まらなかったのはすごい。エチカは死後だけれど。