國原吉之助のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ガルバの治世からウェスパシアヌス帝の誕生まで、そしてバタウィ族の叛乱を記述する。かなり詳細に書かれているので読むのは一苦労。しかしそれだけ貴重な歴史的資料なのだろう。仕方のないことだが人物の評価についてはタキトゥス自身のバイアスを感じずにはいられない。
歴史の記述を読むだけにとどまらず、当時のローマ人の価値観を感じることができる。元老院は基本的に皇帝に追従するのみ。骨があり実績のある軍人が次期皇帝を狙ってクーデターを起こす時代。ハンニバルと戦った共和制ローマ時代の元老院の気骨と団結感は全く感じられない。そういったタキトゥスの嘆きを感じることができる。 -
Posted by ブクログ
カエサルは、ローマ史に燦然と輝く名将の一人であるばかりか、ローマの将来を見通す慧眼の持ち主でもあり、さらにはローマ最大の弁護士とも称されるキケロにも並ぶ雄弁家であり、その上タキトゥスにも劣らぬ希代の名文家である。また、女性関係ではゴシップに事欠かない軟派男であり、借金王でもあった。そんな破天荒な天才の著作の中でも最も重要なのが、本書「ガリア戦記」である。ガリア戦記にはいくつかの邦訳があるが、おそらく一番読みやすいのは、近年出版された講談社学術文庫版であろう。それでも、訳文につきものの堅苦しさとぎこちなさはいかんともしがたいが、カエサルの明晰な思考と、そこはかとないユーモアのセンスを感じるには十
-
-
Posted by ブクログ
ガリア戦記
著:カエサル,G.J.
訳:國原 吉之助
講談社学術文庫 1127
難読書、地名、人名ともなじみがないので、カエサルが率いている軍団がどのように動いているのか、イメージがしにくい。本書後ろに座標が入った地図と、その後ろに地名辞典とその座標が載っているのでそれを頼りにするしかない。ガリア(=フランス)領内をローマの大軍がくるくると回っているのである
ガリア=ほぼフランス(+ベルギ全土、+オランダ一部、+スイス一部、+ドイツ一部、+イタリア一部)、つまり、ガリア戦記とは、ローマ人カエサルから見た、フランス討伐記なのである
ゲルマニア=ドイツ、ブリタンニア=ブリタニア=UK、
ロー -
Posted by ブクログ
ローマ人の物語を読んだときからいつか読もうと思っていた本。
2000年前の話が生々しく伝わってくる。幾つもの惨殺すら記述するのだから。勝者の弁と言う当たり前の事を抜いても、それ程多くない人数で、戦いを勝ち抜いてきた所、特に、事前の情報収集を元に作戦を立て、実行に移し、相手の降伏の交渉においては、武器を一箇所に集めさせ、大量の捕虜を取ると言った一連の組み立て以外に、兵士の昼夜分かたずの力戦、設営なども興味深い。
解説の年表にある、25歳の時に、「修辞学を学ぶ」と言う箇所は、この戦記だけでは無く、カエサルの政治家、軍人としてのベースになったんだなと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレユリウス・カエサルによって書かれたガリア遠征記。
カエサルの文章はキケロと並んで、ラテン語の名文といわれていますが、2000年以上前に書かれたものとは思えないほど、簡潔にして要点を得た文章。9年に亘ったガリア・ブリタニア遠征の全貌がつかめます。この遠征によってライン川がローマ帝国とゲルマン民族との国境が確定し、その後のローマ帝国の繁栄にもつながります。4~5万人の軍団でガリア全体を征服したカエサルの戦略的・戦術的な天才性ばかり目立ちますが、結果的に100万人以上の死者を出したといわれるガリア側から見ればいい迷惑なんでしょうが。