ポール・ロバーツのレビュー一覧

  • 食の終焉

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    食のグローバル経済の光と影を描いた作品である。世界をつなぐ食のサプライチェーン、ジャストインタイム方式、農地を耕して食肉を育てるための牧草地を広げたり、畑を広げ過ぎて、病原菌と交差したり、遺伝子組み換え、有機農業まで、膨大な資料を調べて、整理しつくしたこの著書は貴重な資料文献と言っていい。2012年の作品だが、今も通ずる。
    単純に人口が増えるに見合う食の増産を可能にするために、食のグローバル化がもたらした未来の悲劇を予想するだけでなく、限界がありながら、それを止められない現実、そして対案も限られてしまう現状を冷徹な筆致で描く。

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    2024年11月13日
  • 食の終焉

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    (2012/7/3)
    ビデオジャーナリストでネットで鋭く世相をえぐる神保哲生氏が、
    本当は自らが書きたかったテーマをポールロバーツにしっかり分析の上書かれてしまい、
    仕方なく?翻訳をしたという本。
    大著だがなかなか興味深かった。
    出だしは人類における「食」の歴史。
    肉食から始まり、植物を育てることを覚え、、、、
    興味深く読み始めた。
    マルサスの人口論。
    やがてネスレが、ウォルマートが、マクドナルドが出てきて、
    何やら食がシステム化され、暗雲がたちこめる。
    補助金。
    肥満ばかりのアメリカ人。
    干ばつ、食中毒、鳥インフルエンザ。
    なぜそうなっていったか。
    500ページの大著でそれを記している。

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    2024年06月18日
  • 食の終焉

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    ネタバレ

    食とグローバリゼーションについて書いた大著。
    500頁を越えるのに読みやすいのも良い。訳がいい。




    自分の食べているものがどこで生産され、どこからやって来るのか?
    自分はあまりにもそれに対して無知だったと思わざるをえない内容だった。
    同時に自分がなにも生産せず、生産できず、貨幣との交換を通じてしか生きる糧を得られない存在なのだと実感した。

    また「食」のほうも、いかにして貨幣と交換できるようにするか?つまり商品化の一途を辿ってきた。本書では「今や食品は、どんな高級食品でもただの一商品にすぎなくなり、これが価格の下落に拍車をかけてきたが、この傾向はその一方で、目に見えないコストも発生させて

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    2013年05月15日
  • 食の終焉

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    人類のあるべき姿を現在の食のグローバル化に投影すると、かなりヤバい状況なことを思い知らされる。著者はそれでもこの危機的状況を乗り切る術はあると楽観的だが、根本的な部分で人類が進化しないといけないようにも思う。

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    2013年04月17日
  • 食の終焉

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    読んでると暗ーい気持ちになる重たい一冊です。

    現代の食システムはどんどん巨大なサプライチェーンがふくらみ慣性がついて抜け出せなくなる一方で効率とは裏腹に脆弱になっている。
    生鮮食料品だけでなく冷凍食品もは0−157やサルモネラ菌の混入を防ぐことはできず、最後に消費者が適切な調理をするかどうかにかかっている一方で外食も含めて料理はインスタト化する。元々Oー157は胃酸で死ぬあまり問題の無い菌だったのが牛を早くするために餌が牧草から穀物に変わったことにより耐酸性の菌が生まれた。

    食肉の解体も機械化され効率化されるが個体差によってうまく処理できず内蔵が混ざることで大腸菌などに汚染される。鶏も胸肉

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    2013年02月19日
  • 食の終焉

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    食システムの危機をいかにして乗り越えるべきか?

    筆者は、食そのものは本質的に経済活動でない、としている。しかし今や、食が資本主義経済に取り込まれてしまい、さらにはグローバル化してしまっている。資本主義的な市場システムのもとで作動する食システム(食の生産から消費までの全体像)は、確かに効率的になり、より多くの食料を生産・消費することに成功してきた。しかし、それは資源の過剰消費や、外部コストの発散によってなされたものだ(これは単純な需要―供給モデルでは分からない)。従って、現在の食システムは全く持続可能的ではない。何かしらの「想定外」(大型ハリケーン、鳥インフルエンザ、石油産出諸国の政治動乱…)

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    2012年12月05日
  • 食の終焉

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    膨大なインタビュー、事実を基に世界の食糧、農業に関する問題についてまとめた良著。もっとも俯瞰的に諸問題を理解し、今後世界が進む方向性について考える上での必読図書

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    2012年10月19日
  • 食の終焉

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    経済のグローバル化がもたらした、食の危機的状況をレポートした本。
    消費者としては、世界中から一番安いものが供給される巨大サプライチェーンの恩恵を享受しているわけだが、その安さを実現するために農場から食品メーカーまで大変なことになっている。その付けは、最終的には商品を選択した消費者に回ってくるわけだが。
    食料自給率の低い日本にとって、今は何とか食料を確保できているが、産地が集約化されつつある現在、そこが不作だった場合、自国民を犠牲にしてまで輸出してくれるわけはなく、市況も高騰し、また円安に振れるリスクもあり、TPPがどうのこうの言っている場合ではない。そのような事態にも対処できるよう農業政策のビ

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    2012年09月04日
  • 食の終焉

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    ネタバレ

    圧倒的な取材力のもとに、現在の「食」をめぐる様々な事象に多角的かつ深く切り込んだ本。
    かなり読み応えのある本。
    内容も濃いし、政治的な議題に関しても双方の意見を出して偏りをなくしつつ、自分のスタンスをきっちり表明できているのは見事。

    悲観的な予想が並ぶけど、それが的外れかと言えばそうではなく、むしろ現実に即しているように思える。
    その悲観的なシナリオを後押しする食のサプライチェーンでは、訳者の言葉にもあったけど、結局は「消費者」という実態の掴みにくい大きなモノが支配してるんやなーと実感。
    ここでも「システム」の大きさに圧倒される。
    やっぱりフードシステムの変換を促すのは、消費者一人一人の自覚

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    2012年11月06日
  • 食の終焉

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    破綻に向かう現代の「食」について書き上げた大著。
    人類の食の歴史から、現代の食はいかにいて築かれてきたか、何が問題になっているのか、これからどんな問題がやってこようとしているのか、未来はあるのか。最悪のシナリオは?
    著者は結局のところ「あるべき姿を考えた結果」ではなく、「緊急事態への対処」を繰り返した結果にしか期待できないのではないかと述べる。それは、解説で訳者である神保哲生さんが言うように色んな問題をずっと辿っていくと、最後には自分自身を見つけてしまうから。そしてそのことを自覚し、食を自分の手に取り戻すことからしか始められない。

    3.11のあと、スーパーに何もないような毎日が少しの間、あっ

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    2012年09月02日
  • 食の終焉

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    読み応え満点!なだけに読むのにチョット苦労した。訳者・神保さんのあとがきを読めば大まかな本の内容はつかめるかも。

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    2012年08月14日
  • 食の終焉

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    広範で綿密な取材から投げかけられる問題提起に、食べるということの価値観や罪深さを突き付けられる。もう一度読み返そう。

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    2012年04月15日
  • 食の終焉

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    1.最近海外の農業形態について読むことが減ったので購入しました。

    2.キーワードとなるのはグローバル企業による搾取と消費者の気づきの2つです。経済効率を優先する社会を作りあげたのは両者であると著者は述べています。食料を商品としてしまい、大切なこたを見失ってしまっているのが現代の食経済の悪い部分で、どのように悪いのかを調査によって述べてくれている本です。

    3.大方の予想通りの内容でしたが、読み応えがある本でした。
    食料増産による人口増加という悪循環やグローバル企業によって搾取と利益を受ける立場の人間という複雑に絡んだ状況が現代を取り巻く環境の事実なので、消費者側は、なにが自分に出来るのかを

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    2019年04月14日
  • 食の終焉

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     取り上げられている個々の事象はある程度知っているつもりだったが、それらがこんな風に繋がっているという提示に驚いた。サプライ・チェーンならぬ「サプライズ・チェーン」。

     訳者解説の「食を見ればグローバリゼーションの本質が見える」が本書を端的に表している。

     地球上を網羅する巨大資本のサプライチェーンは大規模小売店に食材を豊かに溢れさせながら、反面、再生産能力に限りのある大地からの強引な搾取と化している。「もっと大量に、もっと安く」を目指す、生物としての本来能力を超えた食物の無理な大量生産は、土壌の疲弊、化学合成品の混入、環境汚染、耐性細菌の拡散、遺伝子組み換え作物同士の意図せぬ交配の危険

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    2018年11月04日
  • 「衝動」に支配される世界

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    今年の上半期に読んだ中でいちばん良い内容だった。

    極度に「自分化」された生活、支払いはあとまわしにして欲しいものを今すぐ手に入れる決済手段を得たことでパワーを増した(ように感じられる)消費者、倫理観なくオンラインで転がされる企業の株式、市場化する政治……
    近視眼的で他者を顧みないマネー・ゲーム的社会への警鐘を強く鳴らす1冊。
    アメリカについて語られた本だが、日本も同じような道筋をたどりつつあるのではないだろうか。

    ……と、内容はとても良かったのに、初刷りを読んだらくだらない誤植だらけで実にもったいなかった。脚注のまとめかたも雑。大急ぎでそれこそ「衝動的に」翻訳・出版しないで、じっくり腰を据

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    2016年05月30日
  • 食の終焉

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    私達が普段食べているものには添加剤・保存剤・着色剤等、様々な用途に応じて使われています。私達が毎日食べている、米や小麦等も様々な品種改良がなされています。

    遺伝子組み換え食品などがそれに当たりますが、それらを提供している会社、お店は「危険である」という事はできますが、この本の凄いところは、そのようなことを全部解説したうえで、そもそもそれを求めている我々が一番問題あるのでは、という提起をしています。

    正にその通りだと思いました。食物にカビが生えたり傷んだら自分の目で選んで処分して以前と比べて、消費者はカビの生えない、傷まない、形の綺麗なものを求めているからこそ、それに対応した結果が今の状況を

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    2016年06月19日
  • 「衝動」に支配される世界

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    「衝動」に支配される世界 ということで、アメリカにおいては金融資本主義が消費者を巻き込み、次々と商品・サービスを購入させてしまう「市場」を政府も取り込み創ってしまった。
    古き良き時代の市民・消費者が保有していたキャラクターはパーソナリティへと変質してしまった。
    行きつくところまで、社会関係資本は破壊されてしまった。
    膨大な選挙資金が必要なアメリカの選挙民主主義。ウォール街に席巻されたしまった政党。
    如何ともしがたいようだが、第Ⅲ部で「再びつながり合う社会へ」第9章 私たちはどこへ向かうのか
    小さな動きだが、古き良き時代のアメリカに戻そうという諸活動を紹介している。
    著者は、明確な方向性は述べて

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    2015年11月08日
  • 食の終焉

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    食の工業化、遺伝子組換え食品、土壌流出、ジャンクフードなど米国が抱える問題を中心に食システムの問題点を解き明かしていく名著。
    数年前の邦訳された本なのだがドル円が76円くらいで一々計算されていてテーマ内容とは別に絶望的な気分になる。ドルはドル表記だけにした方が無難ですな。

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    2015年07月01日
  • 食の終焉

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    経済合理性を食物まで拡張するとどういうことになるのか、読んでいる間は本当に食欲がなくなった。今の食べ物は安すぎる。
    そして、今食べているものが、一体どれだけの犠牲の上に成り立っているのか。生物として、来てはならない状態に来ている気がする。
    この問題は、誰が悪い、というものではなく、システムがもたらした結果である。皆、期待効用を最大化する行動をとり、結果として持続的でない状況になった。問題を解消するには、効用の式を変える、つまり価値観を変えるしかない。
    この点で筆者はドライである。外部の危機がなければ変わらないだろうと述べている。だがそれではあまりに諦観している。
    むしろ、本書で紹介されている古

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    2014年05月30日
  • 食の終焉

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    究極的には、
    自分自身の食管理を
    自分自身の手に取り戻す事だ。

    森に移り住んでナッツやベリーを食べる生活を提唱しているわけでもない。
    産業化以前の食経済を目指すべきではない。

    食生産を他者に任せたことや
    食べるものの特性や優先事項を
    遠く離れた経済モデルによって決められてもかまわないと思ったがゆえに、食の衰退を加速させ、人生にとって重要な何かを失ったのではないか。

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    2013年08月13日