ダンテ・アリギエーリのレビュー一覧
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ネタバレ地獄に住む魂たちの中にも、ダンテが共感や尊敬を抱いている人物たちが、幾人か登場します。
第5歌のパオロとフランチェスカ、第10歌のファリナータ、第15歌のブルネット、第26歌のオデュセウス、等。
そして誰より、ダンテを導いてくれる準主役のウェルギリウスがそうです。
彼らが当時のキリスト教会の価値観では、天国に行けないという事に、必ずしもダンテは納得してなかったのではないでしょうか。
ウェルギリウスは、天国に座を占めるベアトリーチェから頼まれて、ダンテを救済することになりました。
しかし、地獄にいる魂は、神に見棄てられ、天国からその存在自体を完全否定されている者たちです。
キリスト来臨という -
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ネタバレ「天国篇」第三歌・第四歌についての記述。
生前、神への誓願を破った為に、天国で一番低い天球「月光天」に割り当てられた魂の一人、ピッカルダ・ドナーティ。
彼女を通して「足るを知る」事の幸福が、美しく描かれています。
ダンテから、より上天を望むかと問われて、ピッカルダはしばし微笑むと、初恋の火に燃える人のように嬉々として答えます。
「わたくしどもの意志は愛の力で静まるのでございます。
おかげでわたくしどもはいまが持つものしか所望せず、
ほかのものに渇きを覚えることはございません。」
(「天国篇」第三歌70行~72行)
しかしダンテは、天国の住人にも階級があることに疑問を感じます。
それに -
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煉獄とはなんぞや?地獄行きを免れた死者が天国を目指し七つの大罪を浄める贖罪の山である。鬼滅の刃は知らん。
地獄篇のビジュアルが印象強い「神曲」だが、煉獄篇も非常に映像的。地下に降りていった前篇から、今度は山を登っていくという流れになり、雄大かつ峻烈な風景が描かれる。おどろおどろしさは薄れるものの、罪を償うべく過酷な労働を強いられる著名人が続々登場し感情移入を誘う。ダンテの額に肉、ではなくて七つのP(罪)の文字が刻まれ、七つの大罪に対応した環道を通過するごとに一つひとつ消えていく、というのもマンガ的で面白い。
先生との別れの情緒と、ようやく出会えた夫人から受ける叱責の強烈さが見事なコントラスト -
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地獄編同様、一日一歌コツコツ読んだ。
『神曲』を読む上で、思いつきで実行してきたこの読み方は案外有効なように思える。なぜなら、地獄〜煉獄を巡ることがいかに大変なのかを追体験できるからだ。途上でダンテは何度も挫けるが、その都度ウェルギリウスに励まされ、歩を進める。私も何度か読むことが億劫になったが、その度に自分で喝を入れて読んできた。
だからこそ、ダンテがベアトリーチェに再開するまでどれだけ苦労したのかが、現体験を通じて感じることができる。
閑話休題、煉獄編で特に惹かれたのはやはり美しい情景表現だ。第一歌から感動で鳥肌が止まらなかったのは鮮明に覚えている。これも地獄編をコツコツ読んできた後だ -
購入済み
好きこそ物の上手なれ
訳者の平川さんは、ダンテ の神曲を原語イタリア語で読みたい訳したいという子どもの頃からの願いを持ち続けて、その夢を果たされたと記憶しています。
神曲大好きという思いがヒシヒシと伝わってきて、ほんと読みやすいと思います。訳してくださってありがとうございます!といった感じです。 -
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2009年1月16日~17日。
右のほほを打たれたら相手の左のほほを殴り返せ!
というキリスト教の教えの本(キリストはそんなことはもちろん説いていないが)。
自意識過剰男ダンテ(作者が作中の登場人物)が自分の気に入らない人間を地獄に落として呵責に苦しませている。
そんな感じ。
つまらなかったか?
いやいや、物凄く面白かった。
詩的な文章はそれこそ「文学!」って感じがするし、なによりもダンテ(作者としても、登場人物としても)が人間臭くて。
それにしても、キリスト教ってのも自己中心的な教えだなぁとも感じた。
洗礼を受けなかっただけで地獄(ま、辺獄ではあるが)に -
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2009年1月19日~20日。
面白さからいったら地獄篇の方が上かも知れない。
それでも、これは面白い。
ベアトリーチェってのもかなり自惚れが強い女性だし、ダンテも案外傲慢で情けなくて、甘えん坊。
キリスト教ってのもどうなの?
結局は神の復讐の訳でしょ。
なんて読み方はやはり邪道だろうか。
訳者の平川氏の功績がやはり大きいと思う。
この作品を盲目的に賛辞するのではなく、きちんと俯瞰してダメなところはダメ、首を傾げるところはおもいきり傾げる。
そして懇切丁寧な注釈。
大抵は注釈なんて斜め読みするんだけど、ここでの注釈は本当に役に立つ。
痒いところにき -
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崇高すぎて敷居が高く敬遠していたが、ドラマ「BORDER」の謎解きに出てきたので読んでみた。ダンテがラテン語ではなくトスカーナ方言で書いたのは、より多くの人に読んでもらいたかった故だろうし、分かりやすい平川訳で読んで正解だろう。
「神曲」というタイトルは森鷗外の紹介文からきていて、原題は「喜劇」という意味の「Commedia」だそうだ。当時の人物名をバンバン出し、地獄で大変な目に遭わせ糾弾するというジャーナリズム的な意味もあったらしい。知識があればもっと面白く読めたろうに残念。
大食らい、吝嗇、浪費、異教異端、暴君、自殺、男色、女衒、阿諛追従、聖職売買、魔術魔法、汚職収賄、偽善、窃盗、権謀術策 -
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いやあ楽しかった!ーー
目の前に現れるリアルな地獄の凄絶なこと!
おびただしい罪人がさまざまな苦行を強いられて、苦しんでいる。
それをただただ目にし、目的地へそぞろ歩いていく。
ダンテのおののきがこちらまで伝わってくる。
読む前はもっと抽象的で難解な作品だと思っていた。
それぞれの歌の前に訳者による「内容紹介」と、本文あとの注解により理解が進む。
とにかく情景が具体的で生々しい!その情景を見るだけで読書の醍醐味を与えてくれる。
おびただしい人名は読み飛ばして、ひと息に目を通しながら文章を味わうだけで大きく満足できる作品。
よーし、煉獄篇天国篇もサクッと読んでいくぞ!! -
Posted by ブクログ
眩しいばかりの光で目が眩みそうだった。
神学理論は難解で理解に苦しんだ。
ベアトリーチェの美しさは抜きんでていた。
聖母マリアの慈愛は心を溶かした。
聖母の助けによって至高天に昇った時、全てがわかった。
地獄を下り、煉獄の山を登り、天国で神の玉座まで上昇していく。
「神曲」という建築物を駆け上ることができたのは、平易な現代語訳があればこそであった。
ゴシック建築は立体的な聖書と言われるが、高校時代の無神論者であrと公言していた師が、フランスに旅行に行った折、シャルトル大聖堂に入り、思わず跪いて神に祈ったと語ったことが忘れられない。
たとえ全てが理解できなくともこの3冊を読み通すと同じように神