平石貴樹のレビュー一覧
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『潮首岬に郭公の鳴く』から始まったシリーズもこれで完結である(フィナーレなんだから多分そうなのだろう)。
本格推理小説らしさを感じさせない装画に惹かれたちょっとしたジャケ買いの面もあったが、どの作も起こる事件とその動機が重いのが特徴。そして意識しているのか「女性」の哀しみのようなもの、やるせなさが出ている。
最終作も謎解きの部分で「そこが伏線…‼︎」と気付かされる部分は多数あるが、しかし安楽椅子探偵ジャン・ピエール恐るべしというか、いや確かに手がかりは揃ってるけどその結論はちょっと導き出せないわ、となった(今回はとても伏線が多かったと思うのだが、それでもかなり斜め上の解決だった)。
動機の解き -
Posted by ブクログ
函館で評判の美人三姉妹の末妹が殺害される。芭蕉の句に見立てて起こる連続殺人。割とベタな感じの前半ではありますがなかなかの推理の端緒をつかませないというか。
おもしろかったか?というと・・・まあぼちぼちではあるんですが。なんでだろう?なんか妙に読みづらさを感じたんだよな。文章が時折硬く感じたり登場人物がどんどん増えていって「あれ?誰だっけ?」ってなったり。正直途中ちょっと眠くなりました。
探偵役も、なんかこれは前作とかがあったのかな?と思ったけどそういうわけでもなく。急にでてきてさらっと謎解いてってだけだと・・いや登場自体はかなり早くからではあったけど、唐突感は否めない。最初からこいつが真相を暴 -
Posted by ブクログ
ネタバレ俳句の見立てで殺されていく美人三姉妹というプロットは誰が見ても「獄門島」。もっとも横溝流のケレンとは無縁で、警官たちの足を使った地道な捜査が延々と、社会派風に描かれる。それ自体は新本格以前から本格推理をがんばってきた作家さんにありがちな作風なので、そういうものなのだが、描写が淡々とし過ぎていて勘所が掴みにくい。例えば、三つの殺人は実は凝ったトリックによる、一種の不可能犯罪なのだが、それがよく伝わらない。だから快刀乱麻を断つ、ジャン・ピエール少年の謎解きも、読者の方ががんばって驚いてあげないといけないような感じもあって、なんとももったいない気がする。