あらすじ
函館近郊にあるワイナリーの社長宅から火事が出た。社長は死亡したが、一緒にいた息子は大やけどを負いながらも一命をとりとめた。現場の状況から放火の疑いが濃厚となる。コーヒーサーバーと、死亡した社長の体内から検出された睡眠薬は一般的なもので、即座に犯人とは結びつかない。瀕死の重傷を負った息子は、火事のショックから記憶喪失になっていて、何かを聞き出せる状態ではなかった……。
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Posted by ブクログ
『潮首岬に郭公の鳴く』から始まったシリーズもこれで完結である(フィナーレなんだから多分そうなのだろう)。
本格推理小説らしさを感じさせない装画に惹かれたちょっとしたジャケ買いの面もあったが、どの作も起こる事件とその動機が重いのが特徴。そして意識しているのか「女性」の哀しみのようなもの、やるせなさが出ている。
最終作も謎解きの部分で「そこが伏線…‼︎」と気付かされる部分は多数あるが、しかし安楽椅子探偵ジャン・ピエール恐るべしというか、いや確かに手がかりは揃ってるけどその結論はちょっと導き出せないわ、となった(今回はとても伏線が多かったと思うのだが、それでもかなり斜め上の解決だった)。
動機の解き方は敢えてぼかしている部分も感じた。人の善意と悪意は紙一重というか。
しかし後半に向けて怒涛の集中だった分前半の思わせぶりな伏線は全部罠というか、それだけでもひとつ事件起きそうな気もするのは自分だけなのだろうか。撹乱させ方すごい。