西寺郷太のレビュー一覧
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西寺郷太氏が影響を受けたマイケル・ジャクソン、ワム、そして今回のテーマであるプリンスについて彼の圧倒的な知識と自らミュージシャンであるという同業種であることからわかる凄さを名前しか知らないような(音楽はなんとなく聴いたことはあるが詳しくない)人たちでも生まれてからデビューし現在に至るまでをわかりやすく、そして彼らのファンでも納得のいくものを書き続けているのは本当に頭がさがるというか素晴らしい仕事をされているといつも思う。
郷太さん自身もかつてはリスナーだった。そして今はプロのミュージシャンになった。小説で言えば作家は読者の成れの果てというようなところだろうか。でも、作る側になっても自身はほか -
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音楽フリークのみならず、80年代カルチャーの洗礼を受けた人たちすべてに読んで欲しい佳作。文句のない5ツ星。
まさかあのヒットチューンに日本のゴーストライターが存在していたとは。その真偽を追う旅の長さと興味深さに何度も感嘆してしまいそうになった。
ポップすぎるゆえ少し軽んじていた印象のあった「ワム!」だけれど(とはいえずっとiPodに入り続けていたが)、あの短い活動期間でこんなにも様々なエピソードと奇跡が生まれていたとはまったく思いもよらなかった。
マイケル・ジャクソン同様、ジョージ・マイケルはもっと評価されていいとすら思った。アンドリュー・リッジリーもしかりである。雰囲気を作る相棒が如何に大切 -
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メルマ旬報の連載で毎号読んでいたものが一冊に綴られている。連載から郷太さんが削りさらに増やしたこの完全版というべきこの小説はノンフィクション的なものをあえて小説として描くことで多重性を持ちえている。この多重性≒多層であることとは郷太さん自身が主人公でありワムのゴーストライターをしていた日本人がいるという話からその人物に迫っていくノンフィクションとメタフィクションが混ざり合うよう、そこにあるのは真実なのか虚実なのか。
小説として書く事でしか書けないものがあるからこの小説として書かれているのだと読めばわかる。
ワムのゴーストライターをしていた日本人がいるという切り口から郷太さんが取材をして小説とい -
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ネタバレ・自分はここにいなかった人間だが、確かにこの時代はあった。確かなこの時代の空気がここにあった。
・特にSTARWAGON。インディーズ時代の一枚は自分も心の一枚。繰り返し聞いた。まさか西寺さんとそんな関係にあったとは全然知らなかった。その別れも含めて胸にズシンと来るものがあった。あのアルバムっぽいな、と思った。
・正直、あの頃と自分は全然変わっていない気がしていたけれど、これを読んで90年代って終わったんだな、と思った。(当たり前の事なんだけど)
・しかし、自分とは全然違う場所の話なんだけど、濃厚に自分の「この頃」を思い出した。これ、凄い小説だと思う。(少なくとも僕の様なある種の人達にとっては -
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NONA REEVESのフロントマンであり、かつ作曲家・プロデューサーとしても活躍するポップス職人の西寺郷太が、80年代アメリカ音楽に関する愛情と優れた批評眼をもとに書き下ろしたプリンスの生涯とその音楽性についての論考。
基本はクロノロジカルにデビュー時から2015年(この本が出た翌年、プリンスは死去するため、実質的にはほぼラストアルバムまで)を振り返っていくスタイル。プリンスはとにかく多作であり、80年代の作品を愛好する自身にとっても(特に極彩色に溢れるポップ絵巻、『Around The World in a Day 』がマイベスト)、90年代以降の作品はちゃんと聞けていないものが多く、解 -
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NONA REEVESのフロントマンであり、優れたポップスメイカーとして作曲家活動も行い、かつマイケル・ジャクソンやプリンスの音楽評論でも知られる著者が、アーティストとしてのデビューを目指してもがいた90年代を描いた自伝的小説。
自らの才能を信じつつ、ひたすらデモテープを作り、信頼できるバンドメンバーと出会ってデビューを果たしていく、という著者の生き様がとてもキラキラしており、音楽を愛する人であれば必ず共感できるシーンばかり。そして、登場人物はほぼ実名であり、当時の日本の音楽シーンを代表する様々なアーティストたちとの交流が描かれており、下北沢を中心とする当時のロックバンドの様子なども知れるの -
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さらりと読めるが深みというか凄みがあった。
著者と同じく、自分も初めて聞いたのはパープルレイン前で、自分の場合は『controversy(1981)』がもらったテープに入ってた。
テープには何も書かれていなかったので、それがプリンスの曲だと知るのはずっと後のことで、著者のようにプリンスを追いかけることはなかった。
それでも音楽を聴き始めてから、ずっとアルバムを発表し続けてきた「身近なミュージシャン」がなくなるのはやはり辛い。
文筆業が本業ではないが、プリンスの才能の爆発をリアルタイムで見続けてきた人なら共感するところが多いと思う。
1999年にラジオでプリンスが特集時に、一曲目が『199