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Posted by ブクログ
西寺郷太氏が影響を受けたマイケル・ジャクソン、ワム、そして今回のテーマであるプリンスについて彼の圧倒的な知識と自らミュージシャンであるという同業種であることからわかる凄さを名前しか知らないような(音楽はなんとなく聴いたことはあるが詳しくない)人たちでも生まれてからデビューし現在に至るまでをわかりやすく、そして彼らのファンでも納得のいくものを書き続けているのは本当に頭がさがるというか素晴らしい仕事をされているといつも思う。
郷太さん自身もかつてはリスナーだった。そして今はプロのミュージシャンになった。小説で言えば作家は読者の成れの果てというようなところだろうか。でも、作る側になっても自身はほかの作り手の受け手でももちろんある。
プリンスのゼロ年代以降の復活について今作の中で時代が一回りしたという指摘がある。これはずっと追いかけ続けてきた郷太さん自身にも当てはまる部分はあるはずだ。
幼少期から追いかけ続けているアーティストたちへの尊敬と敬意、好奇心を持ち続けて彼らのことを伝えたい、もっと多くの人に知ってほしいと思っていた郷太さんが今の年齢になってプロのミュージシャンとして第一線に居続けてことでこれらの本が書かれるきっかけが生まれて同世代の出版人たちももっと一般の人に読まれるべきだし彼によって書かれて届くべきだと思ったのだと僕は感じている。
だけど好きだからと言ってなにかについて書くのは難しい。バランスが必要になる。僕のようにプリンスって名前ぐらいしか知らなかった人間が読んでもすげえなプリンスと思わせて引き込むことはマニアックになりすぎに時代ごとに書かれているからだろう。
プリンスという存在の生きてきた時間、歴史を郷太先生によって教えてもらっているという感覚、アーティストがファンを育てるように。郷太さんは書籍によって自分が好きなアーティストについて興味ある人間を育ている、知識を増やそうとしている感じがある。
それらもプリンスをはじめとする郷太さんが影響を受けてきたアーティストからファンとして受け継いだものをさらに下の世代に引き継いで残していこうという郷太さんの想いが伝わってくる。
Posted by ブクログ
NONA REEVESのフロントマンであり、かつ作曲家・プロデューサーとしても活躍するポップス職人の西寺郷太が、80年代アメリカ音楽に関する愛情と優れた批評眼をもとに書き下ろしたプリンスの生涯とその音楽性についての論考。
基本はクロノロジカルにデビュー時から2015年(この本が出た翌年、プリンスは死去するため、実質的にはほぼラストアルバムまで)を振り返っていくスタイル。プリンスはとにかく多作であり、80年代の作品を愛好する自身にとっても(特に極彩色に溢れるポップ絵巻、『Around The World in a Day 』がマイベスト)、90年代以降の作品はちゃんと聞けていないものが多く、解説と共にSpotifyで聴くと発見ばかり。
自身が音楽家でもある著者の分析は非常に面白い箇所が多いのだが、中でもBPMに関する指摘は非常に興味深い。
一般的に70年代のディスコミュージック、ディスコファンクと呼ばれる曲は、BPM 110-120前後(このくらいのBPMだと気持ちよくノレる感じ)であるが、プリンスにとっての大ヒットアルバムである『Purple Rain』ではBPM135くらいから最も高速な曲では190台と、高速化を遂げる。高速化される曲はロック的なダイナミズムを持ち、アリーナなどの大会場でもわかりやすく盛り上がれることから、これが大ヒットを生んだ1つの音楽的背景ではないか、というのが本書での指摘である。
この流れでもっと興味深いのは、日本においては特にBPM 110-120の曲はヒットしにくい、という指摘である。それは例えば、
・AKB48のヒット曲の多くのBPMが150-180台のかなりの高速であること(唯一の例外としてBPMが122の「恋するフォーチュンクッキー」が言及されているが)
・アメリカではどちらも爆発的ヒットしたものの日本でもヒットしたファレル・ウィリアムズの「Happy」がBPM160であったのに対して、日本ではそこまでのヒットに及ばなかったマーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」がBPM 116の典型的なディスコファンクであったこと
などを証左として挙げているが、この指摘は感覚的に非常にうなづけるところがあった。
しばらくこれを片手に殿下の豊富な音楽世界に浸りたいと思う。
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