藤井非三四のレビュー一覧
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合金の奥深さ
文系の中でもアホな私にはバケガクの素養というものが殆どないため、「鉄は鉄!」「銅は銅!」「錫は錫!」という単純な世界で生きていましたが、この本を読んで合金のなんたるかを知り、科学しゅごい...と感心しました。
用途に合わせて多種多様な合金が使えないと不味いんだが、その為にはレシピに適う材料を全部潤沢に持っていないといけなくて、それができなければ常に劣化品で戦わなければならず、勝てるものも勝てなくなってしまう。
小国が大国と戦うには、この点だけをとってもめちゃくちゃ不利だと思い知らされます。というかアメリカが規格外すぎる。土掘ったらなんでも埋まっとるやんけ。 -
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本書を読んでいたら、心が痛くなってしまった。
これほど「杜撰」という言葉が最も当てはまることはない。
なぜ数々の杜撰な作戦が承認されて、実行されてしまったのか。
それによって多くの尊い命が失われたにも関わらず、なぜそれらを省みずに、何度も同じ過ちを犯したのか。
こういう事例を見ていると、日本人は和の心とか、チームワークが得意とか言っているが、本当にそうだろうかと訝しんでしまう。
なぜこんなにも、全体になるとチグハグになってしまうのか。
個々人の能力は、決して低いとは思えない。
それぞれが適当にやっている訳ではなく、むしろ皆真面目に一生懸命仕事をしていると言える。
しかし、なぜか全体になると、お -
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太平洋戦争における日本の敗因は数多くあったことはのちの歴史書や研究者による書籍、小説などからも読み取ることができる。陸海軍の不和であったりアメリカを中心とする連合国側との圧倒的な国力差など、思い浮かべたらキリがない。
本書は日本が先の大戦で敗れ去った理由を、組織、経済だけでなく、気象や日本人の気質なども加えて多角的に分析している。日本は四季があるから季節の変わり目や天候には非常に敏感であり、それに従った作戦構想が重要になる。もちろん軍隊内部にも気象学に長けた要員はいたし、研究もなされていた。キスカ島の軌跡の撤退などは見事にハマったケースで賞賛されるべきものだが、全ての戦線で上手くいっていたかと -
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一昨日(2013.8.15)、68回目の終戦記念日を迎えました。毎年、この日に合わせて太平洋戦争を学ぶために数冊の本を読もうと決めています。今年読んだ本では、私にとっては「目からウロコ」の記憶に残る本となりました。
太平洋戦争に負けた原因として様々な解説がなされていますが、資源面では「石油」がなかったからと私は理解していましたが、この本を読むことで、兵器や戦闘車両・飛行機を作るために必要である、鉄をはじめとするベースメタル及び、合金を作るためのレアメタルが徹底的に足りなかったことが良くわかりました。
かなり細かい解説がなされていたのですが、幸いにも私は大学で金属工学を専攻していたので、その -
Posted by ブクログ
島国だから大陸国に住む国民とは性格も気質も違うだろう。宗教も西洋の様な一神教ではなく、万物に神が宿る多神教が広まった点では、何か一つの日本人気質の様なものを感じる。外部から物の流入が海によって遮られ、今あるものを大切に長く使おうとすれば、時間の経過と共に愛着心や神秘的なものを感じるのでは無いか。個を1番に考える海外と限られた空間からはみ出さず仲間との同一性・融和をはかろうとする日本人では考え方に違いがあっても仕方ない。ものは大切にする日本でも、人口増加が顕著になった明治維新以降では溢れ出す「人」の命の重さに対する考え方は変わってしまったのか。その後の日本が突き進んだ大戦、帝国主義への道のりは和