大切な記憶を取り戻すための物語
誰もが、誰かに愛されている
米騒動、大地震。令和の様相と重なる大正に当てた物語なので、このときに読むからこそ伝わるものが多くあると思います。もちろんこれから100年先に振り返るときも、きっと人の心の癒しになることでしょう。
厳しい状況の中で、誰かに向けられる強烈な悪意の中で、どうやって争いを癒すのか、己の心を守るのか、相手を赦すのか。きっとあなたのためになる何かがここにはあると信じています。
※
以下、ネタバレを含みます。
散文、時間の許す方のみお付き合い下さい。
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
まほろさんの本名が、真に秀まれる道、ご両親の名から一つずつもらいうけたものというのは、激アツでした……。この時代のお医者さんはまだ、ロックフェラー医学の売国奴ではなかったのだなぁと。無限に湧き出す金銭を手にして、本当に、患者さんたちの幸福と健康のために全てを捧げるなんて、綺麗事を絵に描いたような人柄です。感服致しました。空想の物語で片付けるには惜しいほど、こういう日本人は、たしかにいたのだろうと感じさせる不思議な説得力を感じました。先祖の罪も、先祖の徳も、諸共に愛し、感謝します。
まほろさんと狭霧さんのラブロマンスぶりも、どこか、「わたしの幸せな結婚」を思い出させるあまあまぶりでニヤニヤしました。どちらかというと、雨咲さんの前著・暁からすの嫁さがし の面影があると申しましょうか。筆者の作品を追い続けている読者皆さんにはたまらない胸キュンでしたことでしょう。笑 もちろん私もです。笑
喜恵さんや良助くんの、失いたくないものを失い続けて、それでも自分を救おうとしてくれる人の善意に素直になっていく様子や、それに惹かれて自分を虐げる悪意に向き合って、己の心を守る覚悟をするまほろさんの成長譚も胸が熱かったです。特に、喜恵さんは、心救われて尚、悪意が完全になくなることはない、それでも少しでも人にとって、己にとって良かれと生きていくと認めている様子が、なおさら私にとっては素直に響きました。感動体験をしたからといって、簡単に人格が変わるようなら、誰も生き方を間違えたりはしませんから。己の欠点や他人の未熟さも含めて、思うようにならない苛立ちや悲しみも含めて、喜び恵みに感謝する尊い心が現れます。闇が濃いほど光はまばゆい。世界は相対、関係で出来ているので、悲しみや悪の役目もまた、必要だと私は思うのです。※カルロ・ロヴェッリ『Helgoland』参照
それにしても、悪役の清々しいことよ。笑
このあたりの成敗の爽快感は、なんだかんだ時代劇らしいノリも含められていて、赦し、改める機会は与えるけれど、心や命、信頼を侮辱した罪はきっちり支払わせるというあたり、けじめがあっていいと思います。罪を見てみぬふりをしているのではなく、友の必要悪を悟り、それでもこれを共に改めて行けるように手を尽くす。ニヤニヤと賄賂を受け取る相手と握手をしているだけではまるで友好など務まりません。C国と友好関係になりたい!と熱心な、永田町やワシントンの議員たちはどうにもそうしたニヤニヤが拭えませんものね。せめてウイグルチベット問題を言及した上で、友好を語ってもらいたいものです。
まだまだ語りたいことはたくさんございますが、狭霧さんの萌えどころ、まほろさんのかわいいところ、ほかの胸キュン豊かな女性読者みなさんにお譲りして、つい政治的に見てしまうヤロウはこのあたりで退散仕ります。……御影くんとの喧嘩っぷりも面白かったなぁ……景明さんと雪車町みたいな※装甲悪鬼村正
以下、脳内劇場配役です。
細かな配役に関しては皆さんの自由にお任せ。
主演のお二人のみ、ご案内いたします。
狭霧:寺島拓篤さん まほろ:佐藤聡美さん
です。いわずもがな、ご夫婦!
自信がない女の子を、不器用ながら見守り、共に歩む青年という様子がね、しかも時代劇となるとね、もう、ほんとこの2人、似合いすぎなのですよ。笑 湊斗景明さんと宇治松千夜さん! え?景明さんは石川ゆうすけさんでしょって?そこは魂のご兄弟ということでどうかひとつ。