R・L・スティーヴンソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前回のロビンソン・クルーソーに続き福音館書文庫 古典童話シリーズの坂井晴彦 訳で読む。
岩波少年文庫の海保眞夫 訳、どちらも絶妙な訳でした。わかりやすいけど、時代に合った少し芝居がかった言い回しが良い。
挿絵もどちらも捨てがたく。
文句の付けようのないワクワク感に溢れたストーリーがお見事。
この本は、スティーブンソンの再婚相手の連れ子である息子のロイドが描いた、一枚の島の地図から始まったということ。
その絵に色を付け、文字を書き込み「宝島」と記し、スティーブンソンが作った物語を息子のロイドに聞かせたことが始まりでした。
毎日少しずつ息子に話して聞かせるうちになんとスティーブンソンの父親までが夢中になってしまったという、家族のためのお話しでした。後に友人によって出版社に紹介され、雑誌連載から本になり、評判を得、スティーブンソンは作家となったのです。
これを知って思い出すのは『不思議の国のアリス』
宝島も、アリスも、とにかく登場人物の性格や衣装や表情までがつぶさに浮かび上がってきて楽しい! 子どもに聞かせる物語と言うのは、親密なコミュニケーションから、どんどんキャラクターが肉付けされて生き生きとしてしまうのではないかと思うのです。
お話は、
ジム·ホーキンズという少年と、彼の母親の営む宿屋『ベンボー提督』亭に手押し車に大きな衣装箱をのせてやってきた大男、船長によって始まります。船長は、宿の息子ジムを見込んで、片足の男がやってきてもこの衣装箱だけは渡すなと語ります。しかしラム酒浸りが命にかかわるほど。ベンボー提督亭に怪しい男が訪れるようになる頃に、船長は酒に倒れ死んでしまいます。
そして、ジムは母親と船長の持っている衣装箱から宿代だけは頂こうと、地主のトリロニーさん、リブシー医師の助けを得て、船長を追ってきた怪しい男たちから逃れます。
そして、この箱を開けると、どこかの島の地図が…
好奇心旺盛なお坊ちゃん気質、金も行動力もある地主トリロニーとリブシー医師ににより、宝島を探す航海に出ることを決意するのです。
ここから船を買い、その船の乗組員を次々と雇っていくのですが、
スモレット船長、もと船乗りだという片足の料理番ジョン・シルバーと、個性派揃いの人物たちが次々と現れます。
このところ15少年漂流記、ガリバー航海記、ロビンソン・クルーソーの冒険と、続けて航海ものを読んできたので、この宝島への旅はどんなものかとワクワクしましたが、なんと島へはあっという間に到着。航海の危険よりも、船内と島での人間模様をおもしろく綴った物語でした。
愛想良く乗船に漕ぎ着けた一本足、のっぽのジョン、肉焼きおやじ、料理番などと色んな呼び名のあるジョン・シルバー。
最初から怪しいやつだったのにすっかり騙されました。自称、学のある男で紳士的な振る舞いができてしまうんですよね。
でもおかげでジムは助けられました。
ジムが最高に愛おしい。
今まで母を支えてきたように、船でもしっかり者で、好奇心には負けますが、その好奇心のおかげで色んな事件の前兆を嗅ぎつけるのです。林檎樽の中に隠れてシルバーの企てを盗み聞きするシーンが印象的ですが、これによってジムは自分が役に立っているという自信をつけていきました。
島に下りてからは、ロビンソン・クルーソーを読んだことで、船についても無人島での生活もしっかりシュミレーションできていたので、倍以上楽しめた気がする。
表紙にあるように、ジムが自己防衛のために銃を使うようなシーンもありますし、海賊たちとの戦い、仲間内での殺し合いなど物騒なシーンは多いのですが、少年物語は勧善懲悪でなくっちゃ。それに、敵に対しても熱のある者や怪我をした者を放っておけず診療するリブリー医師が素晴らしい。物語の最後にある、大人になったジムが今でもこの時の恐ろしい夢を見るという独白にも救われます。
『宝島』という本から、たくさんのアーティストがインスピレーションを受け、新たな小説や音楽が生まれたことがよく分かります。
そしてやはり骨のある児童文学は純粋に子どもたちが楽しめて、大人も読むに耐える、そういう作品が残るのですねー。
ところで、ここにもシルバーの肩にのってるおかしなオウムがでてきましたが、ロビンソン・クルーソーにもオウムのポルがいました。ドリトル先生にも、なんなら読み終えたばかりの『コレラの時代の愛』にも出てきました。オウムって小説のモチーフとして愛されてますね -
Posted by ブクログ
ハワイ島に住んでいる男、話の中ではケアウエと呼ばれる水夫の世にも不思議で力強い物語。
彼はサンフランシスコで、美しいお屋敷に住む男から一ぴきの小鬼が入っている瓶を買った。その瓶は、寿命を延ばす以外は持ち主の願い事をなんでも叶えてくれるという。ただ一つの欠点は、瓶を売る前に持ち主が死ぬと永遠に地獄の炎で焼かれるということである。しかも、自分が買った時より安くしなければ売ることが出来ない。
瓶のおかげで、ケアウエは、ハワイに庭付きの立派な家を持ち、その後、瓶を水夫仲間のロパカに売って、幸せに暮らしていた。ある日、ケアウエは友人宅からの帰り、浜辺で美しい娘コクアと出会い、二人は恋に落ち、結婚する約束に。はしゃぐケアウエだったが、お風呂に入って自分の体に、伝染病ーそれも不治の病ーの印を見つけしまう。ケアウエは愛するコクアと結婚するために、小鬼が入った瓶を探しに出かけて・・・
この後は、とても面白い展開になっていく。
短編なのに、読み応えがあった。
後半は、ケアウエとコクアの愛ゆえの行動の力強さと、一方で不安に押し潰されジリジリしていく人の弱さが描かれる。
新型コロナウイルスの報道が連日続くこの頃、私はケアウエとコクアの不安と孤独をヒリヒリと感じた。 -
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159年前の1850年11月13日、スコットランドはエジンバラに生まれたロバート・ルイス・スティーヴンソンの名前は、私たち8人にとって2つの名作『宝島』と『ジキルとハイド』によって、生涯忘れられない小説家として存在しています。
あの、わくわくドキドキして物語の世界に没頭していた至福の時、読んだ感想を読書仲間と大はしゃぎしてお喋りした至福の頃、もうあんな読書体験は二度と味わえない稀有なものだと思います。
そういう体験を、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』や『海底二万里』、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』やブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』、ジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』やチャールズ・ダーウインの『ビーグル号航海記』、モーリス・ルブランの『奇巌城』やエーリッヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』、もう切りがないからこの辺りでやめておきますが、そういう本をみんなで読み合うように仕向けた仕掛け人は私で、テクストは小学館のワイドカラー版・少年少女世界の名作・全55巻ですが、回し読みすると時間がかかるので、異なる本を見つけ出すために並々ならぬ苦労をかさねた記憶がよみがえります。
何しろ、8人が同じものを読んだ上で感想を言い合うということを目的にしたので、大変は大変、でも3年生から5年生にかけて3年間、わいわいガヤガヤ楽しかったし、それを、世界の名作を私たちはこう読んだ・読書感想文集としてまとめたのは、またまたおせっかいな私の趣味的作業でしたが、今となってはなつかしい思い出です。
この感想へのコメント
1.カーチャ (2009/11/14)
時間を忘れて読み耽り、登場人物になりきってしまったりもする、振り返ればちょっと恥ずかしい、でもあれほど幸せなときはなかったなと思わせる、幼い日の読書体験。今の子ども達にもそういう時間があると信じたい。本好きは、少なくなっても目立たなくてもきっといるはず。
ちなみにわたしは『奇厳城』が大好きでした!
2.薔薇★魑魅魍魎 (2009/11/14)
そうですね、私達世代にもマンガとゲームの猛威はあったのですが、幸か不幸かあちらはまだまだ脆弱で、私達の想像力を満足・刺激できませんでした。無限の可能性を秘めているのに困難なのは、創作者の志が低いからなのか。一方、朝の読書運動など、読書という行為を新しいかたちで我がものとする試行がどんどん行われてもいいはずですね。
あ、私も『奇巌城』からアルセーヌ・ルパン・シリーズにのめり込んでいった前科があります。 -
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ネタバレ何でも願いを叶えてくれるけれど、
奇妙な決まりのあるびん…。
貧しいが勇気と行動力をもつ男、ケアウエ。
彼はある日サンフランシスコの港町を散歩しているととある老人に出会う。老人は立派な家に住んでいるのに大きなため息をついていた。その理由を問うと、何とか小さなびんを所有していることが原因だという。
実はそのびん、奇妙で厄介なルールがあり、色々な人の手を渡ってきたものだった。
そのルールとは…
ーこのびんは必ず、買った値段より安い値段でしか売ることができない。買ったときと同じ値段で売ったら、もとの持ち主のところへ戻ってくる。
そしてびんを売る前に持ち主が死んでしまうと、その人は永遠に地獄の炎で焼かれるというとてつもなく恐ろしいもの。ー
ケアウエは若干騙されたかたちで老人からびんを譲り受ける。そのびんで立派な家を建て、すぐにびんを友人に売る。そしてその後運良く美しい妻も手に入れて、順風満帆に見えたケアウエの人生に翳りが見え始める…
果たしてケアウエの運命はー?
感動したシーンは、夫妻のお互いを想って密かに行動し合うシーン。
ケアウエはびんを売り妻を得て幸せの最中、伝染病を患い、びんを再び買うために在処を探し続ける。そしてたどり着いたびんは、既に価格が下落し1セントでしか買うことができなくなっていた…つまりもう他人に売ることはできない…それでも愛のためにびんを買う。この後夫妻が背負ってしまった災難をお互い責め立てることもなく、受け入れ、解決策を探し続ける姿勢に胸が熱くなった。
他人を思いやる優しさを子どもに教えるときに、
おすすめしたい1冊
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Posted by ブクログ
はらはらしながら読み進められて楽しかった。所要時間1時間半ほど。
読んだ直後は「あーよかった」だけだったが、最後の訳者あとがきでこの物語の奥の深さに気づくことができた。
宝くじを当てて人生が狂う人と同じように、主人公もおかしくなるかと思ったが人への愛情のためにそうはならなかった。これは自己犠牲、隣人愛の精神によって地獄行きから免れることができるということなのだろうか。
話の途中、咳をしている老人との売買契約の際に、老人の願い事によって小鬼の呪いが消えたのではないかとも考えたがどうだったのだろう。またびんを手にして願い事をかなえ、びんをうまく手放した人たちはその後どうなったのだろう。幸せになったのだろうか。誰かとディスカッションしたくなる本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ19世紀末、船の時代に南太平洋の島々を舞台に書かれた話。ハワイはまだ独立国家でした。そのハワイにケアウエ(仮名)という男がいた。彼は船乗りで、サンフランシスコに立ち寄った際に美しい瓶を50ドルで買った。その瓶には悪魔が入って降り、持ち主の言うことは何でも叶えてくれるという。ただし、欠点がある。瓶の持ち主は瓶を売る前に死ぬと永遠に地獄の炎で焼かれるという。そして、瓶は自分が買うより安く売らねばならない。売り買いは硬貨でしなくてはならない。売るときには瓶のルールを説明しなくてはならない。
びんの悪魔をめぐる物語。なんでも願いが叶うからといって、幸せになれるものなのか。
「宝島」でおなじみのスティーブンソン作。昔に描かれたからこそ、という気もします。 -
Posted by ブクログ
悪魔の入った瓶を手にした者はなんでも願いを叶えて貰える。だが、瓶の所有者のまま死亡した場合、永遠に地獄の炎に焼かれてしまう。回避するには、誰かに譲るしかないのだが、この瓶は自分が購入した額より安値でないと売れない。
というこの設定が面白過ぎる。ひょんな事からこの瓶を手に入れた主人公ケアウエの最後に下した決断とは...。人を思いやる気持ちが、苦しくも温かい、愛に満ちた話でした。
『宝島』で有名なスティーブンソンが、ハワイ諸島を舞台に描いており、南国の雰囲気が感じられるのも楽しい。
調べたら、この話有名らしくて、瓶の悪魔のパラドックスとして知られてるんですね。
論理的には買わない。という結論らしいですが、死後の事なんて知らんし。って買う人、絶体いると思うんだけどなー。とも思った話でした。
自分ならどうするかなあ? -
Posted by ブクログ
本邦初訳! 前作『新アラビア夜話』の続きの物語ですが、この本から読み始めたとしても問題ないように、冒頭に押さえておくべきポイントとして「注意書き」が作者からのメッセージとして入っているのが親切ですねw
今回のストーリーは、前作の主役だったフロリゼル王子は脇役に引っ込み、金はないが暇を持て余ししてる三人の若い紳士を中心に物語が展開される。思わぬところから「爆弾魔」と因縁を持つことになる三人が、ボンクラながらがむしゃらに突き抜けていく感じがコメディ風味もあり面白かった。
前作「新アラビア夜話」は同じ翻訳者さんで光文社古典新訳文庫から出ています。そちらも陰謀活劇もので面白いのでオススメ。