相川司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず史料としての価値が高いことはいうまでもありません。
沖田総司と言えば、どうしても史実の彼よりも、後年の作家が作り上げたイメージが強い。
そんな中で丹念に一つ、一つ、史料を拾い上げて読みあげているのは相川氏ならですね。
彼の出自、試衛館時代、新選組でまさに近藤の懐刀として活躍した時代。そうして、労咳となり、一番必要とされた時に病に倒れてしまった沖田総司という人物を通して、刀から鉄砲へ、戦から戦争へという日本時代の流れを感じさせます。
きちんと史料も当たられており、本当に良書です。(流石に昨年の9月に西本願寺で発見された新史料のことまで当たっているのは、さすがというか、驚きました。ファンと -
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新選組「鬼の副長」土方歳三。多摩に生まれ箱館に散った三十五年の生涯を、彼が組織した新選組の変遷と対応させながら詳細に語る。
函館旅行のための購入第3弾。個人的に一人の人間に光を当てた書き方は分かりやすく思いましたし、現代とは違う社会のシステムや新選組の戦時と平時の体制の違いなど初心者向きの一冊でした。土方さん、外見だけじゃなく中身(考え方)がすごくカッコよくてしびれた。逃げ出す味方を斬ったり怖い面もあったのでしょうが、一貫して「幕府侍」としての誇りを持っていたんでしょうね。組織を率いるカリスマ性も持ち合わせていた彼は、決して現実が見えていないわけじゃなかった。負けは見えていても自分の信ずるとこ -
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ノンフィクションは苦手なのですが、
興味がある分野については、楽しく読めるんだと実感した本です(笑)
GWにドライブがてら函館五稜郭、江差方面まで行ってきました。
江差には大好きな開陽丸があり、しばし箱館戦争に思いを馳せます。
(ちなみに開陽丸は復元ですが、海底から引き揚げられた
砲弾やサーベル、食器等が展示されていて大興奮!)
話が逸れましたが、
この本は簡単に言うと新選組の副長・土方歳三の伝記です。
小説のような派手さ、華々しさはないものの、
とても読み易い文章で書かれていて、すごく面白い。
彼は薬売り→新選組副長→陸軍奉行並まで上り詰めたのだから、
今更ながら、すごい大出世だなぁと -
Posted by ブクログ
ネタバレ土方歳三の誕生から最期までを綴った本書。
小説ではなく、資料から考証したノンフィクションものという感じ。
なので新選組のことを詳しく知りたい方にはおすすめしたいけど、今まで定説となっていた史実を全く知らない方にはおすすめしづらい。
今まで定説となっていたものを覆すような考えもあって面白かったけど、そういう点である程度既にいろいろと先に知っておいたほうが比べられて面白いかと。
ただ個人的には御陵衛士については裏を読み過ぎな気もしました…。もしそうなら、後年証言するときに『新選組にいわれてスパイとして働いていたのに裏切られて伊藤が惨殺された。我らは利用されるだけされて捨てられた』などと証言したほ -
Posted by ブクログ
関ヶ原から大阪の陣までの豊臣&徳川の動きを丁寧に追う事で、豊臣氏滅亡の原因を「通説」とは違う点に求めた一作。 xいわゆる「通説」がいかに物語然と整えられているか、史実に見られる各勢力の動きがいかに迷いや葛藤を含んだものであったかがよく伝わってきます。豊臣方の自滅の色が濃い事(特に自分たちのために雇った牢人集が己の首を絞めた)も、種々の文献からはっきりとして行きます。 xただ、あまりにも「家康は義人である」という著者の前提に寄りすぎており、「~だと思う」「~であろう」という記述が目立ち、それ故「家康は腹黒タヌキ」派としては説得力を欠く場面が非常に多い。もう少し家康に対する評価は白紙に