地曳いく子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「若作りしようとしてはいけない」ということを面白おかしくつづったエッセイ。
私はバブル世代ではないので、ブランド物をバンバン買ったという経験はない。それでも著者の記述を読むと、バブル世代は楽しい時代を生きたのだなと思う。著者と同世代なら、共感しながらもっと面白く読めるに違いない。
バブル時代にいろいろ買ってきたから「高いもの、いいものを見分けられる」能力=、「バブル・フォース」を使って、安くても高く見えるものを選べという。
提案としては面白い。だが、時代が変わってもうまくいくものだろうか。バブル時代とは、服の素材も形もデザインも変わってきている。時代に合わせて知識をアップデートできていればいいが。時代に合わせることの大切さは、ほかの本でも本書でも繰り返し書かれている。ひとつ例を示そう。
結局、老けて見えるか、若く見えるかというのは”センス”の問題なんです。
というと、元も子もないように聞こえますが、私たちが今まで使ってきた“センス”とは意味がちょっと違います。
私が考える“センス”は、今の時代とシンクロしているかどうか。
”センスのいい人”は、ちゃんと時代にシンクロしてアップデートしている。
(p65)
著者の、『服を買うなら、捨てなさい』(2015年、宝島社)や、『着かた、生きかた』 (2016年、宝島社)のように実用的な指南ではない。実用度は低いが、エッセイとしては面白い。 -
Posted by ブクログ
著者の主張は昔から変わっていない。
『50歳、おしゃれ元年。』(2013年、集英社)
『服を買うなら、捨てなさい』(2015年、宝島社)
『着かた、生きかた』 (2016年、宝島社)
『おしゃれは7、8割でいい』 (2019年、光文社)
『買う幸福』 (2019年、小学館)
これらの本を読んできたが、どの本でも基本的な考え方は同じである。中心となっているのは「お気に入りの服だけを着倒す」ことだ。そのための方法は、多少変わったり、同じことでも言い方が変わったりしている。著者の今の気持ちや、ファッション業界の変化に合わせてマイナーチェンジをしている。著者がよく使う言葉でいえば、「アップデート」している。
本書で新しく出てきたのは、次のようなことだ。
今は、サイズ感も人それぞれになってきました。「私はゆるめが好き」という人はそれがその人のジャストサイズ。(p45)
旅行ファッションは「普段と同じ」でいい(p74)
自分の好みや着たいかどうかは別として、「今は時代が変わって、びっくりするほどビッグシルエットの時代」(p94)
こういうことは知っておいて損はない。
考え方をアップデートしていけば、時代にうまく適合できる。これはどんなジャンルにでもいえることだが、ファッションは特に敏感である。ファッションとは、流行のことだからだ。時代に伴い、おしゃれの概念も変わる。そのサイクルは早い。ファッションの知識や考え方は、常に更新していかないとすぐに時代遅れの人になってしまう。
「ファッションの常識が古くなっているかもしれない」と感じている人は、一読の価値がある。 -
Posted by ブクログ
この文庫本の発行は2016年。もとは2013年に発行された単行本である。2026年のいま読むと、さすがに古さを感じる。
著者の地曳氏が、本書の次に書いた『服を買うなら、捨てなさい』(2015年、宝島社)は、服に対する考え方や、整理について書かれた本なので、賞味期限は長い。いま読んでも参考になる。本書は具体的なアイテム選びのページが多いので、賞味期限が短かくなっている。
本書にも「服に対する考え方や、クロゼットの見直し、ショッピングの鉄則」などが書かれているが、似た内容でも『服を買うなら、捨てなさい』のほうが総じてよく書けている。
『服を買うなら、捨てなさい』を読んでいなければ、役に立つところも見つかるかもしれない。だが、同じ著者の本なら、まず『服を買うなら、捨てなさい』をお勧めする。その次は、続編の『着かた、生きかた』(2016年、宝島社)がいい。
地曳氏の本はどれもそうだが、文章が面白い。本書は、ファッションの知識をアップデートする役には立たないが、読み物としては面白い。例えば以下の文章だ。
服にも寿命があります。(中略) 服が最初持っているパワーを、服を着ている私たちはどんどん吸い取っていく。だから私たちが素敵に見えるのです。一方、人に着られた服はパワーをどんどん失っていきます。今まで似合っていた服が急に色あせて見える。服から裏切られた気持ちになる。それが服のパワーが尽きた時、寿命の時なのです。(p87)
これは、心理学でいえば「新奇性」と「順化」で説明できる。普通に説明すれば、「人は新しいものを好む傾向を持っている。しかし、どんなものでも慣れによって飽きてくる」ということだ。これはあたり前のことなので、一般論で書けば心に残りにくい。著者のような比喩表現なら、イメージの力によって心に残りやすくなる。
著者の主張はどの本でも大きく変わらない。しかし、本によって表現は異なる。同じことでも卓抜な比喩表現や、ネーミングの妙によって腑に落ちることもある。そこが魅力だ。 -
Posted by ブクログ
ページ数が159ページと少な目で、文字サイズがとても大きいので、内容は薄い。
著者のお勧めアイテムが40点程度カラー写真で載っている。この商品情報は、2019年7月2日のものだ。ファッションアイテムはシーズンごとに変わるので、時が経てば、まったく役に立たなくなる。私は本書発行から数年語に読んだので、この部分は不要な過去の情報と化していた。
もともと少ない情報から、アイテム紹介のページを抜くと、内容はさらに薄くなる。今回は収穫がないかと思ったが、後半に読んでよかったと思える部分があった。それは第4章の整理編、「服にも賞味期限がある!?『冷蔵庫理論』でワードローブ刷新!」である。
冷蔵庫の中の食品に賞味期限または消費期限があるように、服にも賞味期限と消費期限があるという「クローゼット=冷蔵庫理論」が気に入った。
「今の時代に一生ものなんてない」というのが大前提である。
アイテムごとに賞味期限・消費期限は違うと書かれているが、大まかに下記のようにまとめることができる。
●賞味期限切れ:かっこよく着られる時期が過ぎた状態。少し劣化してきたもの。
●消費期限切れ:快適に着られない状態。劣化したもの。型崩れ、穴や破れなどのダメージ。
食品と違い、服は消費期限が切れるまで着ようと思えば着られる点に注意したい。まだ使えるからといって消費期限まで使ってしまうと、おしゃれや快適さからは離れていってしまう。賞味期限が切れたら、もう着用しないのが得策である。
トレンドアイテムは生ものと同じで、鮮度が命。賞味期限は短く、1シーズン。実際には3か月程度である。
ベーシックアイテムは、食品でいえば乾物のような存在。賞味期限は長い。とはいえ、ベーシックアイテムも毎年アップデートされているため、古臭くなる。3、4年ごとに総点検をすること。
処分するかしないかで迷ったら、コーディネイトして着てみる。鏡の前できただけではダメ。靴まで合わせて、近所をひと周りしてみる。外を歩いているといまの気分とのずれもはっきりわかるはず。日の光にさらされて、家の中ではわからなかった色あせや、毛玉が見つかるかもしれない。少しでもダメだと思ったら即処分する。(p94-111を要約)
買ったらすぐに着てみる。週に3、4回は着てみる。履いてみる。持ってみる。そうすることでアイテムとの波長が合ってくるという。これを「買ったら着ないと慣れないの法則」と呼んでいる。(p155を要約)
「今の時代のものをうまく取り入れて、それを旬のうちに使い倒す。これからは今を生きるためのお買い物をする」
今を快適に生きるために必要なものは何? もう不必要なものは何? そう考えればお買い物が幸せにつながるはずです。(p159)
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不要な服を処分して、いま必要な服だけを買う。買ったらすぐに着る、使い倒す。これは目新しい理論ではない。すでにわかっていたことだ。『服を買うなら、捨てなさい』(2015年、宝島社)でも書かれていた。だが、「実践できているか」と問われたら、自信を持って「できている」とは答えられない。実践したいとは思っているが、まだ身についていないことが、この部分を気に入った理由だろう。
ミニマリズムが流行ったころには服の数も減ったが、近年また増えてきた。1着の納得できる服を買えば、3着のイマイチ服を捨てられる。この「ひとつ買えば、3つ捨てられる」理論で、再度クローゼットのアイテムを絞り込みたい。
服をあまり買わない人や、クローゼットを少数精鋭に絞り込み、毎年、旬のアイテム、あるいはお気に入りのアイテムを少数買ってアップデートしている人は、本書を読む必要がない。