坂本葵のレビュー一覧

  • 食魔 谷崎潤一郎

    Posted by ブクログ

    落語が業の肯定なら、文学は倒錯の肯定。このことを執拗に教えてくれたのは谷崎潤一郎。この文豪の描く妖しくも奥深い文学に描かれる食の描写は、小洒落たグルメなんていう生易しいものではなく、まぎれもなく「倒錯した悪食」そのものである。

    本書は「痴人の愛」のナオミが日にビフテキ3皿を平気で平らげるように、食欲旺盛な妖艶な悪女たちの食いっぶりから、谷崎自身の「三日に一遍は美食をしないと、とても仕事が手につかない」と語るほど食に取り憑かれ、和洋中の美味珍味を追い求めていく自堕落な美食家の横顔も遺漏なくすくい上げる。

    谷崎は美食をこう定義する。
    「美食の味は、色気やお洒落をそっちのけにして、牛飲馬食すると

    0
    2017年09月15日
  • 食魔 谷崎潤一郎

    Posted by ブクログ

    谷崎の著書を読んでいると元気がでてくる。食欲、性欲、いろんな欲が刺激され、何かやりたくなってくる。そんな谷崎自身が比類なき快楽主義者だったからこそ、数々の著作物がなまなましく、生き生きとしている。全集が欲しくなった。

    0
    2016年07月28日
  • 吉祥寺の百日恋

    Posted by ブクログ

    なにこれ。女ったらしの男や冷徹な女の話だと思って油断していたらラストで物凄いダメージ。なにこれ。なにこれ。ちょっと…あんまりだわ。

    0
    2014年07月08日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    『ダ・ヴィンチ』2025年6月号のプラチナ本。
    ということで。

    司法書士になる夢をあきらめ、母校である花園小学校の図書室の司書として働き始めた主人公まふみ。赴任するために引っ越してきた釣り堀近くのアパートには、『ルリユール工房』という製本所が併設されていた。アパートの大家さん兼製本所の親方である瀧子(たきこ)と孫の由良子(ゆらこ)を通じて、手仕事の製本(ルリユール)の世界に魅せられていき…

    図書室に来る小学生が起こす、ちょっとしたトラブル。そのやり取りがとても可愛らしく、優しい気持ちになる。

    心にしみたフレーズを1つ。
    ディスクレシア(識字障害)の子に由良子が作ってあげた窓あきの装置に記

    0
    2025年10月25日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    本の装丁が好きなので、本の修復作業もどんな風にやるのか興味を持った。素敵な仕事だと思う。

    「ディスレクシア」や「相貌失認」、親方までも、脳梗塞による麻痺など、少し詰め込み過ぎな感じも否めない。
    本の結婚に至っては、読んでいて少し恥ずかしくなってしまった。
    ひたすら本の修復するだけでは物語が成り立たないのだろうけど…

    0
    2025年10月10日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    人は生まれ持った病のせいで不自由を抱えていたり、突然大切な人を失ったり、どうしても先が見えなくて暗闇でもがくこともあるかもしれない。
    そんな時には、つまずいたところで大きな息をするために、悲しみを一まとめにしてルリュールにしてしまうのはどうだろう。
    そして、少しだけ明るく歩めるようになった時、また改めてルリュールし直してもらおう。そんな日の為に、シークレットベルギー装でかがってもらっておこう。

    0
    2025年09月06日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とても綺麗な物語だった

    後半 本の結婚が出てきたあたりからちょっと楽しさが半減してしまった

    たくさん失敗してください
    失敗しないうちは、先に進むことなんかできやしないからね

    由良子さん 相貌失認

    0
    2025年09月02日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    不思議なタイトルで興味を持った初読み作家さん。手製本工房の職人と学校司書の話。識字障害は今の世の中ならピンときそうだけど、本当にふざける子たちがいるからこそ発見しにくいのか。2冊の製本方法は想像力が追いつかずイメージできずに終わった。

    0
    2025年08月20日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    知らない仕事の話は読んでいてワクワクします
    それが本のことなら尚更です
    本を作るという話は専ら工場での話で、こうやって手作業で製本する世界は初めてだったように思います

    本の中で他の本を紹介されるのが、またいい!
    どんどんその本が読みたくなってきます

    ボロボロになった本は新しく書い直ししかしていなかったけれど、あまりにも思い入れが強かったら製本という選択肢もあるのだと知りました

    0
    2025年08月05日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    製本の繊細で緻密な作業にわくわくした。本大好き人にはたまらない話。いい人やマニアックな登場人物ばかりで、それもまた楽しかった。まひろの成長にもホッとした。

    0
    2025年08月01日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    製本家さんの仕事の世界を覗きみれたようで楽しかった。
    メモ帳や紙、ノート類にお気に入りの表紙をつけたりしたいなぁと思っていたりするので、製本の世界って体験しに行きたくなる。
    自分で製本できれば、自分の本も作れたりするな。

    0
    2025年07月26日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    「ルリユール」とは本書にもあるように手作業による本の製本、装丁のこと。

    度重なる司法書士試験の失敗に疲れた主人公が引越したのは、装丁業を営む瀧子「親方」と孫娘由良子が経営するシェアハウス(アパート)。

    出身小学校で主人公が務める臨時雇いの司書と瀧子親方たちのお仕事小説の流れが、「銀河鉄道の夜」が絡みながら徐々におとぎ話寄りになっていく。

    由良子が相貌失認だったことはある種謎解きの鍵となっているが、本と本との結婚式や白紙原稿の製本などは読者の好き嫌いが分かれるだろう。

    0
    2025年07月23日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    本好きにはたまらない本と聞いていた。製本工房、とても惹かれた。親方も素敵。菫にまつわる、由良子さんの姿が素敵。
    でも司法試験をずっと目指しあきらめた主人公の葛藤は少し薄いかな。
    最後の方がよくわからなかったが、途中までは引き込まれてぐいぐい読んだ。あの製本工房にお邪魔してみたい。

    0
    2025年07月13日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読み終わった第一の感想は「絵本の雰囲気を纏った小説だなぁ」

    文章はかなり読みやすく、地の文による感情・思考の描写が少なめで、その分場面・場所の雰囲気には力を入れているのかな。
    また、登場人物の口調や行動がなんとなく劇の台詞のようなこと、出てくる製本の描写が童話のような雰囲気を纏っているため、現代日本が舞台ですがファンタジー味、絵本味を感じました。

    上記のこれらがハマらなかったこと、山場が感じられなかったこと、小説内の描写に対し「あれ何のためだったんだ?」と多々感じることがあるのが少しネック

    最後の点に関しては
    ・主人公の「製本酔い」「文字が踊りだす」などの描写がどこにも生きてない(主人公

    0
    2025年07月10日
  • その本はまだルリユールされていない

    Posted by ブクログ

    著者初読み。

    製本工房の存在、本をリノベーション出来ることなど、とても興味をそそられた。
    身体や心に少なからず痛みを持った人たちが、本を巡って繰り広げられる緩やかな空間。

    製本工房、家に眠っている本。
    なんだか新しい楽しみが生まれそう。

    0
    2025年05月30日
  • 食魔 谷崎潤一郎

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎も味の素党の人だったのですね!
    食欲と性欲が裏表のように絡み合う谷崎作品、作品への反映っぷりも面白いですが、谷崎本人の戦争中だろうと体を壊そうと、ひたすら食べる事に執着した生き様が凄いです。

    0
    2017年09月29日
  • 食魔 谷崎潤一郎

    Posted by ブクログ

    文豪、谷崎潤一郎が、実は自ら”食魔”と名乗っていた、その辺のあれやこれやを1冊の書籍化したもの。
    御免なさい、純文学は苦手で殆ど読んでません。
    ”細雪”くらいしか知りませんでした。
    幼少の頃からの食体験・周辺環境の大きな変動から、”グルメ”ではなく、純粋に”食べる”ことに偏執した谷崎に関して、様々な視点から、氏の作品の部分的な引用を多用しつつ説明されている。
    この本の作家自身、純文学の人なんでしょうね(済みません、詳しくは知りませんし関心も余り...)。
    文体や表現が文学的で、解釈も多分に純文学的なところがあり、面白い本だとは思うのですがちょっと疲れました。

    谷崎作品の大ファンの方、自身が”

    0
    2016年09月16日
  • 吉祥寺の百日恋

    Posted by ブクログ

    評価が分かれそうだけど、雰囲気を楽しむものと思えばイケる。昼ドラ風。

    犬嗜好(シノフィリア)だの猫狂い(フェリノフィリア)だの、作者のHPにも詳しい設定がイラスト付で紹介されてました。

    美味しいものの描写がいっぱいあるので、それだけで幸せになります。(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

    0
    2014年10月12日