梶谷懐のレビュー一覧
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筆者が描く、主に民間による個人信用データを活用した社会秩序維持・拡大による「幸福」の向上は、中国の経済成長が順調だった時代には当てはまるのだろう。
筆者は「天理」だか「徳」だかという現代中国に生き残っているかどうかもわからない概念に依存し、ある意味性善説に則り功利主義が全体最適に帰結するかのように説くが、コロナ禍の上海での人権弾圧や筆者も指摘するウイグル族に対する民族浄化、昨今の不動産バブル崩壊に端を発する経済停滞、政府による「国進民退」という民業圧迫、突発的無差別殺人などの社会不安に直面し、観光客が本邦で無作法に我が物顔で振る舞う彼の国に対して、筆者たちは何を書くのだろうか。 -
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面白かったけどなかなか難しかった。
3〜5章は特に。
5章は、世界システム論から所有を語っているということで大変関心を持って読んだ。
世界システム論と所有の接続ポイント(「外部の内部化」=収奪)まではよく理解できたが、その後、リオリエントのくだり以降は議論を追えなくなってしまった。
1章は、新聞記事を並べるだけじゃなくてもう少し論じてほしかった。
あの新聞記事と所有権の解体には飛躍があるのに、そこを埋める議論が抜けている。
戦後沖縄の空気感はよく伝わった。
圧倒的にわかりやすく面白かったのは2章。
さすが小川さやかさん。
どうしたら私は所有の欲望まみれのこの私から解放されるだろう?という問いのヒントをタンザニア商人から教えてもらうつもりで読み進めた。
まず所有しないことのメリットは、『チョンキンマンションのボスは知っている』で論じられていた通り、リスクヘッジであることはよくわかった。
ひとまず私は銀行口座をもう一つ開設しないとタンザニア人に卒倒されてしまう。
一方でいま我々は、いろんなものを所有することで自分を打ち立てている。
私もそうで、服やアクセサリーが好きだしどういうものを身につけているかで自分を規定している部分は大きい。
でもタンザニアの人は、「手放すことで自己を打ち立てる」のだという。
手放すこと(贈与したり売ったり貸したり)は自己を打ち立てることと反対のように思えるが、手放したものにも自己は宿っていて、手放した先の新たな所有者が自己の存在をそこに感じてくれる。
そうして手放すことでも自己の唯一無二性を他者から承認してもらうことができる=自己を打ち立てることができる。
このような理屈だった。
とても納得できるものだったし、凝り固まった所有欲に支配されている自分に新しい風を吹き込んでくれると思う。
ただ、一つ気になったのが、「上記のような自己の打ち立て方は、人との関わりが煩わしくないだろうか?」ということ。
所有なら、他人が単に外から見るだけである程度自己ブランディングに成功するわけだけれど、手放すことによる自己の打ち立て方は他人との濃密な(?)コミュニケーションなしには成立しない。
それを煩わしいのでは?とか思ってしまう私は、さめざめとした現代人なのだろうか… -
Posted by ブクログ
そろそろSFが現実になりつつある中、中国が取り組んでいる先進的すぎる取り組みを紹介する本です。
思ったのは、技術が出てきてから実戦投入されるまでの間がとにかく短いということ。これは日本は負けかねない、と危機感を抱きましたが、もはや日本は日本で勝てるフィールドに特化した方が良いのでしょうか…。
しかし、そろそろSFをもっとマジメに読まなきゃかも…と思いました。「1984年」も「すばらしい新世界」も、こういう様々な本で触れるのでざっくりしたイメージが頭の中で生まれつつあるのですが、逆に危険ですね。正直、今のところどちらも大差ないと思っていて、それゆえ本著の「いや、ビッグブラザーじゃないんだよ!」というのはあまりピンと来ていないのですが。
具体的なところで、芝麻信用の「よくわからないシステム」によって行動が評価されて(中略)人々はいわゆる「自発的な服従」と言われる行動をとるように…というくだり、PayPayの青バッジと同じですね。なんでバッジが取れるのかわからないからYahooのなんちゃら会員になってみる、とか。
こういうパノプティコン的な「黒い」マーケティングが、民主主義国家においても今後増えていくのでしょうか。
新書なので読みやすいかと思ったのですが、第5章と第6章の読みづらさが凄い。共著者のジャーナリストが書いたカジュアルな感じの第4章からの変化度合いといったら…同じ経済学者の著者でも第1章や第7章ではそんな印象は抱かなかったので、論文が出典なんでしょうか(そんな訳はないと思うけど)。
情報の鮮度を考えると、早く読んだ方がいい1冊なのかも。 -
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中国のGDP統計は信頼できるのか?との疑問が出された時、私たちは確かにその疑問に囚われてしまう。それは私たちの中国に対する政治外交のいきさつからネガティブに評価する不信感がそのようにさせているのではないか?著者は中国のGDPがでたらめではなく、精度の誤差があるにしても間違いなく世界2位の経済大国であることを確認させるだけではなく、遅くとも2030年代頃には米国を抜いて世界1位になることも確実だという。中国の国際特許出願数が世界一になっているなど、既にハイテク分野でも日本を上回りつつある実態を解説する。このような強大な隣国にどのように付き合っていくのかが、日本の課題になっているのだ!