十三湊のレビュー一覧
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社会人となったものの、会社を辞めて静岡の自宅に籠りきりの主人公は24歳の季実。或る日、両親から東京の本郷に独りで下宿屋を営んでいる祖母のもとへ一緒に暮らさないかとの提案を受けて上京します。しかし祖母の家には4歳年上の皆月桃子が同居していました。桃子は出張料理人で、季実は彼女が作る料理が自分の身体にじわじわと伝わるのを感じます。桃子は少しずつ料理の下拵え等をさせながら、季実を出張料理のアシスタントにしていきます。色々な依頼人の自宅等で料理を作っていくのですが、この中で季実が料理を『生きるための前向きな行為だ。気力・体力がないとできない行為でもある』と捉えているのが一判印象に残りました。暫く時間が
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ネタバレSNSやメールなどデジタルで言葉のやり取りができるようになった現代で、それでも敢えて手書きの文字を必要とする機会を大事にしたいなと思えるエピソードがたくさん。
和菓子屋のメニューだったり、結婚式の招待状の宛名だったり。
サブタイトルに「6つ」とある通り、エピソードは6種類。
短いながら見所と謎解きがきゅっと詰まっていて、実際のページ数よりもボリュームを感じました。
胸をきゅっと掴まれる泣ける話があるのがいい。
読みやすい文章ですらすら読めたのもいい(先が気になって気になって、ぐいぐい読めた)
筆耕のエピソードの中に、主人公の文緒と先生である都築との引っ付くの? 引っ付かないの?なもどかしい恋模 -
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あー、これこそ”やさしい”お話だなあ。
シリーズ2巻目。
一巻で懸案だった花柚さんと永谷氏の結婚が決まってそのために新たな問題が持ち上がってくる展開。
今巻もお弁当や料理に込めた人への想いがとてもよかった。
その想いの優しさ!
読んでるこちらまでやさしい気持ちになってくるのはもちろん、その優しさに胸がいっぱいになってしまった。
ラスト近く、主人公の慧君が花柚さんの後姿声を掛ける場面で思わず込み上げてくるものがあった。
ああ、いいなあ、こういうの。
ほんとにいい。
多分問題解決に奮闘するだろう次巻も楽しんで読みたい。
それにしてもどの料理もおいしそうで困る。
自分も作りたくなるよ^^ -
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お弁当は、作った人のいないところで開けられるもの。
それは手紙に似ている。
開けられた瞬間を思う…
どんな気持ちで味わうだろうと思う、ちょっと胸が苦しくなるような思いがある。
また、遠く思いを乗せて運ばれるそれは、旅の無事を祈る御守りでもあって…
シリーズ完結編。
料理が出来なかった人、訳あって料理が苦痛になってしまった人に、「肩の力を抜いて、料理を楽しんで」そして健やかに生きて。大切な人を美味しいもので幸せにしてあげて、というメッセージを送る作品でした。
彗太が料理に目覚める物語であり、彗太視線で語られる物語でもあるが、ちどり亭の店主・花柚さんの、幼い頃からの恋が長い時間をかけて、数々の障 -
ネタバレ 購入済み
お寺と恋愛と料理と
精進料理の描写が丁寧で読みやすい。恋愛については仄かに香るレベルだが、いいアクセントになって話が面白い。堅い話ではないので、読みやすく、また軽妙な感じなので最後までスルッと読めるのでおススメ。
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ネタバレシリーズ最終巻!
ちどり亭の店主・花柚と総一郎の結婚式まで、あと数ヶ月。平穏な日々が続くかと思われたある冬の日、意外な人物がちどり亭を訪れる――。
これぞ大団円!という巻だったなぁ。
今回も、味も見た目も美味しそうな料理がたくさんでお腹がすく。笑
今まで知らなかった縁起物のことが学べて良かった。
六つの瓢箪で「六瓢」=「無病」
九頭の馬で「万事馬九(うまく)いく」など。
嬉しい番外編は、総一郎目線。
総一郎と花柚の初デート~思い出のお弁当の話。
総一郎さんのお礼状ににやにやしてしまった♡
「毎日喜びを与えてくれる貴女を妻にした幸福を、生涯忘れず、良き夫であるよう精進する所存です。」
なん -
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ネタバレ面白かったです。
美味しそうな表紙のイラストに惹かれて読んだのですが、京都と美食はいくつも読んでいるのにこの本も好きだ!と思いました。
お弁当が美味しそうなのは勿論、京都の上流階級の登場人物たちが濃くて良いです。
主人公の彗太は上流階級ではないので彼が驚く時に同じように驚くのですが、ふわふわしているけどしっかりしている花柚さんも、上からな総一郎さんも良いですが、特に高等遊民な美津彦さんが好きです。
花柚さんと総一郎さんと美津彦さんの幼なじみのやりとり、笑いました。
花柚さんの料理の師匠の藤沢先生の回はしんみりしました。
七十二候も素敵です。
シリーズ続きも楽しみです。この巻で一応の区切りがつい