深田久弥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山の造形を愛で、表情を慈しみ、呼称や生い立ちを学び、山を楽しむ。4ページ乃至は6ページと簡潔ながらも豊かな文学表現が山々への深田氏の愛情を伝える。登山というと8,000米峰登攀の過酷で華やかな領域を想像しがちだが、トレッキング(よりは過酷だが)のように山の歴史や外景を味わい登山中も一々花々や風景を味わうのも趣ある登山である。あまり登山経験はない私だが本書を読むと「次はこの山に上ってみたい」と思わされる。
なお本書に沖縄県の山は含まれていない。初回刊行が1964年、沖縄返還が1972年。深田久弥氏がもしいまの日本を見回したとき日本百名山の入れ替えはあろうかどうか気になるところである。 -
Posted by ブクログ
山が好きになる本。
作者の山への愛が至る所から感じられる作品。
単なる登山記でなく、一つ一つの山の持つ歴史や風情を、恋人を紹介するかの如く述べている。
正直、この本を読むまで知らない山も多かったが、この本を読んで色々な山に興味を持った。
富士山や至仏山、利尻富士など行ったことのある山や、白山や霧ヶ峰、乗鞍など是非行きたいと前々から思っている山もあるが、それ以外にも魅力を感じる山が沢山あった。例えば、赤城山や開聞岳などは、その存在は知っていたが、本作を通じて、登りたい山として捉えるようになった。
そして、全国各地に広がる百名山を、一つでも多く登ってみたいという思いが芽生えた。