浮穴みみのレビュー一覧
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『楡の墓』で、すっかりこの作家のファンになってしまった。何よりも美しく正しい文章による正統派の小説作品であること。読んでいて心地よい日本語なのである。言葉とはかくも素敵なものなのか。改めてそう思わせてくれる作家は、実はそう多くないので貴重である。
さらに素敵なのが、北海道開拓をテーマに、多くの魅力ある歴史上人物に焦点を絞り、彼らを生き生きと作品世界の中で蘇らせてくれる希少な作家であるということ。北海道生活に身を置くものとしては、この世界の未だ短い歴史はとても身近であり、とても心惹かれるテーマなのである。
実はこの短編シリーズは、三冊完結となっているらしく、まさに今月、第三冊目の新作単 -
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7歳の時にかどわかしから助けてくれた「光る君」に恋焦がれ、22歳になっても嫁き遅れてしまった蔵前嫁き遅れ小町「おまき」。札差のお嬢様だけれど、きっぷが良く男らしい。
そんなおまきが、再会できるともわからない「光る君」ではなく、新しい恋に迷走する物語。
医者見習いや、絵師の弟子、幼馴染の若旦那。
結局は、自分の恋心よりも、他の人との恋の取り持ち役になってしまう。なんだか頼りがいがあるんだな~。
それぞれにちょっと心がぐらつくけれど、結局は「光る君」
が忘れられない。
最後の最後に大波乱があって、めでたしめでたし…。
こんなオバサンが読んでも胸がキュンキュンする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ江戸の日本橋と神田今川町のちょうど中間で御茶漬屋「夢見鳥」を切り盛りする女主人、お蝶さんの人情物語。ちなみに元深川芸者ということでとても気が強い美人(笑)。
「寒中の花」「初花の色」「皐月の紅葉」「六花の涼」「花嫁」と連作短編が収められています。
どの話も時代劇ドラマ1時間にするのにちょうど良いくらいの量で、基本的に後味はすっきりです。
お蝶さんと夫婦になる約束をした男が突如「御役目」といって姿をくらまし、それを健気に待ち続けるところからスタート。最後のお話で相手の男の正体も判明しますが、そこはまぁ、「ああ、そうだろうね」みたいな感じで驚きはありません(笑)。
文章がとても読みやすく、江