松元崇のレビュー一覧

  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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     日本の行動を見ると、遅れた戦争をしているとつくづく思う。まるで第一次世界大戦時のドイツの劣化コピー。
     第一次世界大戦時のドイツも皇帝・軍部・政府・議会・各州各地域に権力が分散していた。第一次の時に敗戦したことが権力集中を可能にし、皮肉にもヒトラーの台頭につながったといえる。
     第一次の敗戦を経験していない日本には権力集中など土台無理な話。元老たちが世を去って逝くにしたがって、中心は失われていった。そのため本の帯にあるように「ズルズル」現場に引きずられながら、いたずらに拡大に拡大を重ねた。

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    2019年01月28日
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻

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    最近ふと思うのは、今日本は「戦時下」にあるんじゃないかと。
    また日本は再度、無謀な「戦争」へと突入しているのではないかと。
    以前の戦争は「敵]がいましたが、今回の戦争は、「敵」がいません。

    今の「戦時下」という状況は、以前と様相がかなり違います。
    以前は、ABCD包囲網より、物資がありませんでしたが、
    今は、外国に依存しながら、物資があります。
    しかし、多くの人が「何か」が足りないと感じています。

    以前は、みんな貧しく、国から好き嫌い関わらず、
    団結するように強制されましたが、
    今は、国民間で経済的かつ心理面での2極化が急速に進み、
    もう互いに助け合うことも、繋がることも、団結することもで

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    2017年12月31日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    有識者5人により日中戦争について書かれた本。3部10章から成り、5人で各章を担当している。特に、戸部先生と庄司氏の内容が素晴らしく、勉強になった。

    「(日中専門家による共同研究)太平洋戦争の勃発によって中国は、世界大の「反ファシズム統一戦線」の重要局面である中国戦線を一手に担い、日本軍を消耗させたがゆえに、連合国の「世界反ファシズム戦争」の勝利も実現した、という第二次世界大戦像は動かしがたいことを確認することになった。中国以外の連合国が抗日戦争の勝利に貢献したという側面が入る余地は少ないのである。以上のような傾向は、現在の習近平政権になって、さらに強まりつつある」p5
    「(リットン報告書)報

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    2022年05月08日
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)

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    冒頭が太平洋戦争ではなく大東亜戦争というのでイデオロギー色の強いものかと思えばさにあらず。太平洋という米軍相手のものではなく、英米中ソとのそれぞれにある程度独立したものが重なった複合戦争で広域で行われたことと、戦争目的が開戦時の自存自衛から大東亜新秩序建設に変容していったことを主な理由としている。

    その前提の下、各章は別々の著者の下、オムニバス的に展開されるが、英米の戦争指導を概観した2章、中国国民党・共産党の戦争観や指導方針についての3章、財政金融面からの6章が、自分にとっては大東亜戦争を見る新たな視点として、特に面白かった。

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    2022年04月10日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    日中戦争は、本当によくわからないものだったので、一つの理解の筋を得られたように思った。はじめてしまったら、なかなか終われない。なんでとそうだが、難しい。終結の難しさ。御前会議での陸軍の頑固さは何かと思っていたが、中国での戦いを考えると、確かに理解出来る面がある。目の前の相手に、全く負けていないのに、降伏せざるを得ない。それは出来ないなぁ、と。でも、全体を見渡すと、降伏せざるを得ない。

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    2019年03月01日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    229頁2行目で、
    カイロ会談当時、「中華民国国民政府主席」であったはずの蒋介石の肩書きは「総統」と書かれる。
    専門者にとっては、とんでもないミスではないか...

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    2018年12月19日
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻

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    戦前、何度も首相候補と目されながらついに首相になれなかった宇垣一成陸軍大将の回想に・・・
    『その当時(1936年2・26事件頃)の日本の勢というものは産業も着々と興り、貿易では世界を圧倒する。英国をはじめ合衆国ですら悲鳴をあげている。この調子をもう5年か8年か続けて行ったならば日本は名実共に世界第一等国になれる。だから今下手に戦などを始めてはいかぬ』状況だった、とある・・・
    そんなに好調だった日本経済は・・・
    2・26事件の翌年の、盧溝橋事件以降、日中全面戦争の泥沼にハマリ、次第に行き詰っていった・・・
    そして・・・
    持たざる国、日本は・・・
    持ってる国々、英米などにブロック経済でジワジワと追

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    2013年09月13日
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)

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    そういう史観の本では無い。どちらかと言えば、下巻の方が読みやすかった印象。
    太平洋での英国と表題に関わる呼称の話は、あまり目にしたことが無かったので興味深かった。

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    2024年10月08日
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)

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    最初は「失敗の本質」のような戦略面からの日本の失敗を書いたものかと思いましたが、日本という立場だけでなく、アメリカやイギリス、そして中国から見た太平洋戦争と言うのが興味深かったです。
    先進的なアメリカでも、海軍や陸軍で利益が異なり、一枚岩てなかったと言うのも始めてしりました。ヨーロッパと太平洋の2面同時に動けるのはアメリカぐらいかもしれませんが。ドイツこそが本丸と言うのも、納得出来ます。
    中国もまた終戦間際に、日本からの和平を持ち込まれたりとした話もあったのですね。
    今の政治家と、戦中の政治家は、そんなに変わらないのかなと想います。他人事のようですからね。

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    2021年10月21日
  • 「持たざる国」からの脱却 日本経済は再生しうるか

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    面白いわけではないし、本当にそれだけの理由なのかなと思うところはあれども、日本型雇用の始まりから辿ってきた道、今に至る経緯は興味深かった。今は答え合わせに当たる時期か。

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    2021年08月02日
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻

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    はじめに
    第1部 持たざる国への道
     第1章 あの戦争はなんだったのか
     第2章 日本の孤立を招いた上海事変
     第3章 中国戦線の実態
     第4章 「持たざる国」への道
     第5章 予算制約の有名無実化
     第6章 誤算による日米開戦
     第7章 先の戦争が残したもの
     第8章 軍部の暴走を許したもの
    第2部 軍部が理解しなかった金本位制
     第1章 江戸の通貨制度
     第2章 江戸の金銀複本位制から明治の金本位制へ
     第3章 金本位制の番人だった日本銀行
     第4章 英米の中央銀行―悩み多き金融制度の守護神
    おわりに
    参考文献
    関連年表 

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    2019年08月19日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    ・南京事件
    南京陥落前後に生起した日本軍による南京事件は、現在でも活発な議論がなされているが、外務省のウェブサイトの「歴史問題Q&A」では、「非戦闘員の殺害や略奪行為等があった事は否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定する事は困難であると考えています」と記されている。以下、事件の概要を示す。
    ①性格
    中国では、その組織性や計画性が強調され、さらに、Iris Changの著書The Rape of Nanking:The Forgotten Holocaust of World War Ⅱ(1997)のタイトルが

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    2019年08月10日
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)

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    失敗の本質を改めて整理できるかと期待して読んだが
    これまでと同じ事実の整理に留まっている
    特に、太平洋戦争の開始は
    誰もが「合理的にはあり得ない」としたという指摘だが
    それゆえにこそ、開戦に至った謎
    何より開戦の決断のした者は誰なのか?
    77年を経て、自国の責任を明らかに出来ないこの国

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    2019年03月10日
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻

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    ネタバレ

    なぜ日本は無謀とも言えるあの戦争に向かって行ったのか。軍事面、外交面ではなく経済の観点からの研究は珍しい。
    1930年代、高橋是清による経済再建に成功した日本は、NY株式大暴落の余波に苦しむ欧米諸国よりも遥かに繁栄し、植民地への輸出額は英国を抜いて世界一に達していたという。したがって「持たざる国」を欧米が追い込んだ結果の戦争、という考察には不自然さがある。むしろ「強い元老と弱い首相」を規定していた明治憲法下の政府が、元老の引退やテロによる殺害に依って無力化し、軍部の暴走を押さえられなくなったこと、そして軍部の主導で拡大した中国戦線が日本の好調だった経済をも食いつぶしていったことが望まぬ対米開戦

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    2013年08月28日