高岡詠子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
予備知識ゼロでも理解できるように書いてあるチューリングマシンのすごく丁寧な入門書。
チューリングは抽象的なモデルを組み立てることで決定問題を解いた。つまり、決定問題を解くという目的のために「チューリングマシン」を作り出したわけですね。それはゲーデルのゲーデル文と同じように画期的なアイデアで、結果、決定問題のために作ったこのアイデアが、後にコンピュータを生み出すことになった。出来すぎです。
数学者がこういう抽象的な概念を創造するっていうところがたまりません。
あらためて思うのは、チューリングマシンの考案にはヒルベルトの貢献も非常に重要だったという事ですね。なんだよ、問題出しただけじゃねーか -
Posted by ブクログ
ネタバレ「価値ある情報を高速に、正確に送りたい」
以前かじった情報理論のおさらい、あるいは知識のリフレッシュとして読んだ。
改めて、シャノンはすごいと思った。
相互情報量、情報源符号化定理、通信路符号化定理、標本化定理って、ホントよくできている。
研究に対するポリシー(「価値ある情報を高速に、正確に送りたい」)が明確で、その研究の中でぶれることなく首尾一貫している。本書もそのポリシーとそれに対する回答についてやさしく解説されていた。
なお、第5章 5-3標本化定理のあたりがちょっと駆け足な感じ。フーリエ変換のあたり、もっと説明が必要。その分、第6章の昔のコンピュータの話は要らなかったのではと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレチューリングマシンをメインの題材として計算機科学の専門知識をあまり持たない読者にもわかるように「計算」とは何かを平易な言葉で考察している。
そもそもチューリングマシンが考案されるきっかけとなったのは、ヒルベルトの出した課題である決定問題である。この問題を解くためには「計算」を数学的に厳密に表現する必要があり、その手段としてチューリングマシンが考案されたのである。そして、このチューリングマシンが物理的に実現されたものがコンピュータなのである。
我々が普段触れているコンピュータはフォンノイマン型コンピュータと呼ばれ、名前の通り、ジョンフォンノイマンという天才が具体的な形で考案した仕組みで動作す