田渕句美子のレビュー一覧

  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    百人一首についてあまり知らない初学者にとってもわかりやすく、勉強になった。
    まず勅撰集は何か、その配列にはどのようなことが意識されてきたかについて。そして勅撰集とは別の形態として、百人一首の前に公任による三十六人撰があった。
    通説として百人一首は藤原定家が撰者とされてきた。ただ明月記の関連記事を再検討し、加えて近年発見された百人秀歌などから、百人一首は定家による編纂ではなく、百人秀歌をもとに誰か別人が編纂したものと結論する。
    百人秀歌は贈り物であるため、贈る相手を考慮して歌が選ばれている。なのでベストな歌100首というわけではない。小倉色紙も当然定家によるものではない。
    ただ室町時代の宗祇に始

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    2024年09月03日
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    初学者にもわかりやすい。論理の筋道が明解で、名探偵の推理を聞いているようだ。

    百人一首の歌の新解釈も紹介されていて非常に興味深く読んだ。とくに「末の松山」の解釈に興味を引かれた。貞観大地震の際に、ここを津波が越えたのではないか、そのことが人々の記憶に残されて、本歌の古今集の歌に譬喩として使われたのではないか、と。なんと、確かにありうることだ。

    終章では、定家が百首をどのような基準で撰んだかを考察しているが、著書は、その中に俊成卿女や宮内卿が無いのは残念!と個人的感想を述べている。まるで、著者と定家が時代を隔てて会話し始めるのでは無いかと思わされるほど、二人の心の距離が一冊の本を通して縮まっ

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    2024年08月31日
  • 新古今集 後鳥羽院と定家の時代

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    新古今和歌集の成立の過程が時系列で解説されていて、とても理解しやすかった。その主役となった後鳥羽院と藤原定家をはじめ、それを取り巻く人々の生々しい姿が『明月記』『源家長日記』などの引用なども交えられながら、生々しく語られている。それらの人々の息遣いが聞こえるような臨場感があった。

    なるほど、新古今和歌集がこんなふうにして出来上がったのか、とイメージが膨らんだ。

    実際にこの和歌集を読んでみようといえ意欲がわいてきた。

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    2024年08月18日
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    読み応えがあり面白かったです。
    そして同時に、日本文学を学んでいる者として勉強不足を痛感しました。
    百人一首をしっかりと読み込みたいです。

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    2024年06月02日
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    謎の多い百人一首。撰者は本当に藤原定家なのか。定家撰の百人秀歌とはどういう関係か。撰歌や配列に意味はあるのか。今も愛されるアンソロジーの成立と受容史を解き明かす。
    「小倉山荘に飾るため定家が選び色紙に書いた」という話は伝説である、という指摘は目から鱗。原型となった百人秀歌は、定家が縁戚である幕府の御家人・宇都宮頼綱に贈ったものだった。そこに手を加え、承久の乱で敗れた後鳥羽・順徳両上皇の歌を末尾に入れたのは後世の誰か。だがその改変こそがドラマ性を生み、時代を超える輝きを与えた。長年の疑問が解けると同時に、ますます百人一首が好きになった。

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    2024年04月14日
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    『百人一首の現在』(青簡舎)所収の論文群を一般向けに書き下ろした本。だけど『〜現在』では頓阿編纂説まで踏み込んでるのにそこははっきりとは書いてないんですね。なんで? おもしろい詠み人の官位表記の指摘についてもさらっとだけ。

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    2024年02月21日
  • 新古今集 後鳥羽院と定家の時代

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    面白かったー!
    定家のこだわりもわかるし、なにより後鳥羽の和歌に対する熱意がすごい!
    2人の晩年までを丁寧におってくれて、たっぷり味わえる本。

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    2013年12月01日
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙

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    面白かったけど難しかった…!
    うた恋い。で百人一首好きになったから、言及されてて嬉しかった〜

    それぞれは独立した和歌なのに並べ方を変えることで関係性をにおわせたり、題詠歌なのに説明をつけず並べることで作者本人の経験に基づく恋の歌のように見せたり、撰者は今の女オタクみたいな感性を持ってるなと思う 私にもその仕事させてほしい
    特に百人一首の撰者は、カプ厨のオタク

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    2025年07月06日
  • 異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集

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    「玉の緒よ」と、「山深み」の歌くらいしか知らないで、本書を読んだ。
    目からウロコの連続だった。
    そもそも「玉の緒よ」の歌も、百首歌の題詠であるから、男目線で読んだ歌だったとは。
    室町以降の、家制度に取り込まれて女房歌人が活躍しにくい状況が生まれていく中で、女性歌人の歌が私小説的に理解されるようになっていったという指摘は新鮮だった。
    私小説的な理解というのは、もっと近代になってからのことだと思っていたから。
    そのほかにも『無名草子』は俊成女の作ではないだろうという推定なども面白かった。

    先人の研究成果を踏まえつつ、論を積み重ねているため、とても安心して読めた。

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    2014年10月26日
  • 新古今集 後鳥羽院と定家の時代

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    後鳥羽院と藤原定家という個性的な人物の交流を中心に、彼らを取り巻く王朝文化の歴史的実像についての解説をおこなっている本です。

    たぐいまれなヴァイタリティをもつ帝王であった後鳥羽院は、従来にはないあたらしい歌壇を形成しました。それまでの守旧的な歌風に代わって、俊成・定家父子に代表される新鮮な歌風が受け入れられ、そのなかで『新古今和歌集』の編纂という大事業がおこなわれます。本書は、その経緯をていねいに追いかけるとともに、慈円や俊成卿女、式子内親王などの歌人たちをとりあげ、歌の鑑賞とその人物像についての説明がなされています。他方で、和歌よりも『方丈記』に代表される散文の分野でその才能を発揮した鴨長

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    2023年02月02日
  • 異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集

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    後鳥羽朝廷は藤原道長・一条天皇の時代と並ぶ、朝廷歌壇の最盛期。式子内親王は「玉の緒よ・・・忍ぶることの弱りもぞする」の歌、そして定家が憧れた13歳歳上の薄幸の美形女性のイメージだったが。皇女として珍しいほどに歌会などに参加したり、和歌を詠み送っていた異端的な存在だったとのこと。実際の恋に基づくものではなく、当時の歌は歌題に基づく題詠だった!このあまりにも有名な歌は男歌で本来男性の立場に立って式子内親王が詠んだとの説が有力だそうだ。がっかり!恋の進行に沿った時系列構成で勅撰集や百首歌が配置されているらしい。それが15段階で「初恋、忍恋、聞恋、見恋、尋恋、祈恋、契恋、待恋、遇恋、別恋、顕恋、稀恋、

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    2014年06月30日