田渕句美子のレビュー一覧

  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙
    謎の多い百人一首。撰者は本当に藤原定家なのか。定家撰の百人秀歌とはどういう関係か。撰歌や配列に意味はあるのか。今も愛されるアンソロジーの成立と受容史を解き明かす。
    「小倉山荘に飾るため定家が選び色紙に書いた」という話は伝説である、という指摘は目から鱗。原型となった百人秀歌は、定家が縁戚である幕府の御...続きを読む
  • 百人一首 編纂がひらく小宇宙
    『百人一首の現在』(青簡舎)所収の論文群を一般向けに書き下ろした本。だけど『〜現在』では頓阿編纂説まで踏み込んでるのにそこははっきりとは書いてないんですね。なんで? おもしろい詠み人の官位表記の指摘についてもさらっとだけ。
  • 新古今集 後鳥羽院と定家の時代
    面白かったー!
    定家のこだわりもわかるし、なにより後鳥羽の和歌に対する熱意がすごい!
    2人の晩年までを丁寧におってくれて、たっぷり味わえる本。
  • 異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集
    「玉の緒よ」と、「山深み」の歌くらいしか知らないで、本書を読んだ。
    目からウロコの連続だった。
    そもそも「玉の緒よ」の歌も、百首歌の題詠であるから、男目線で読んだ歌だったとは。
    室町以降の、家制度に取り込まれて女房歌人が活躍しにくい状況が生まれていく中で、女性歌人の歌が私小説的に理解されるようになっ...続きを読む
  • 新古今集 後鳥羽院と定家の時代
    後鳥羽院と藤原定家という個性的な人物の交流を中心に、彼らを取り巻く王朝文化の歴史的実像についての解説をおこなっている本です。

    たぐいまれなヴァイタリティをもつ帝王であった後鳥羽院によってあらたな歌壇が形成され、守旧的な歌風に代わって俊成・定家父子に代表される新鮮な歌風が受け入れられ、そのなかで『新...続きを読む
  • 異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集
    後鳥羽朝廷は藤原道長・一条天皇の時代と並ぶ、朝廷歌壇の最盛期。式子内親王は「玉の緒よ・・・忍ぶることの弱りもぞする」の歌、そして定家が憧れた13歳歳上の薄幸の美形女性のイメージだったが。皇女として珍しいほどに歌会などに参加したり、和歌を詠み送っていた異端的な存在だったとのこと。実際の恋に基づくもので...続きを読む