あらすじ
歌に目覚めた後鳥羽上皇の元には藤原俊成、定家、良経など、新たな手法で歌を詠む廷臣たちが揃い、式子内親王、俊成女など、女性歌人も顔を並べた。宮廷をあげて歌に明け暮れる稀有な時代の幕明けを描く。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
新古今和歌集の成立の過程が時系列で解説されていて、とても理解しやすかった。その主役となった後鳥羽院と藤原定家をはじめ、それを取り巻く人々の生々しい姿が『明月記』『源家長日記』などの引用なども交えられながら、生々しく語られている。それらの人々の息遣いが聞こえるような臨場感があった。
なるほど、新古今和歌集がこんなふうにして出来上がったのか、とイメージが膨らんだ。
実際にこの和歌集を読んでみようといえ意欲がわいてきた。
Posted by ブクログ
面白かったー!
定家のこだわりもわかるし、なにより後鳥羽の和歌に対する熱意がすごい!
2人の晩年までを丁寧におってくれて、たっぷり味わえる本。
Posted by ブクログ
後鳥羽院と藤原定家という個性的な人物の交流を中心に、彼らを取り巻く王朝文化の歴史的実像についての解説をおこなっている本です。
たぐいまれなヴァイタリティをもつ帝王であった後鳥羽院は、従来にはないあたらしい歌壇を形成しました。それまでの守旧的な歌風に代わって、俊成・定家父子に代表される新鮮な歌風が受け入れられ、そのなかで『新古今和歌集』の編纂という大事業がおこなわれます。本書は、その経緯をていねいに追いかけるとともに、慈円や俊成卿女、式子内親王などの歌人たちをとりあげ、歌の鑑賞とその人物像についての説明がなされています。他方で、和歌よりも『方丈記』に代表される散文の分野でその才能を発揮した鴨長明や、『古事談』の著者である源顕兼、『建礼門院右京大夫集』の右京大夫など、後鳥羽院の歌壇に容れられなかった人物についてもページを割いて、後鳥羽院を中心とするこの時代の文化のありかたを、その内側と外側からえがき出しています。
後鳥羽院と定家はたがいにその才能を認めあっていながらも、性格的にそりのあわない両者のあいだにはたびたび緊張が走り、とりわけ定家が活動的な後鳥羽院のさまざまな試みに憂慮していたことが、『明月記』の叙述などを手がかりに論じられます。その後、承久の乱に敗北した後鳥羽院は沖に流され、両者の交流は絶えることになりますが、本書ではおなじ文化的な空気を呼吸していた人物として、二人のその後の活動をたどっています。