西川善文のレビュー一覧
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2020年に亡くなった、三井住友銀行や日本郵政の社長をされて西川善文さんの回顧録。
眼光鋭く、愛想笑いをしない西川さんは、人気がないという人もいましたが、トップである以上、決断が下請けや取引先を含めて何万人、何百万人という人に影響すると考えれば、その重責は如何ほどのものてしょうか。
逆に最近の政治家の様に、ヘラヘラ笑っているトップの方が信用できません。
物事をシンプルに考える。
スピード感を持つこと
など、今では当たり前の考え方もありますが、
過去の成功に学ぶのではなくて過去の苦労に学ぶ
これが、自分の中でストンと落ちる言葉でした。
人は成功体験を忘れられないですから。
勝って兜の緒を -
Posted by ブクログ
名立たる経営者の回顧録はどれを読んでも外れがない。本書もその例外ではない。著者は、住友銀行・三井住友銀行の頭取、日本郵政の社長を歴任しているが、こなしてきた仕事の大きさにまず衝撃を受けた。付け加えると、通常有名な経営者の業績をたどると派手なものが多いが、著者は不良債権処理という地味だが責任の重い業務に長年携わっていたことも個人的には共感できた。
当事者の弁に直接目を触れると、三流マスコミで報道されている内容と大きく食い違うことに閉口してしまうことが多い。著者の日本郵政時代のかんぽの宿問題と東京中央郵便局再開発問題も同様であった。こういうのを目にするたび、TVのニュースは全くもって見る気を失く -
Posted by ブクログ
三井住友銀行頭取、日本郵政社長を歴任した西川善文氏の回顧録。著者が、直面する難題から逃げずにスピード感をもって決断を下してきた、まさにリーダーシップを持った人物であることがよく伝わってきた。
著者には「不良債権と寝た男」との異名があるとおり、本書も安宅産業処理をはじめとする「破綻処理と再建」のエピソードに軸足が置かれている。あえて詳細な内幕は書いていないなという印象のある部分もあったが、不良債権処理の現場の緊迫感はよくわかった。不良債権処理には痛みが必ず伴うが、血を流すことはあっても、何を最後の一線として守るかをしなければならないという著者の指摘が印象に残った。
また、日本郵政社長時代のエピソ -
Posted by ブクログ
面はゆいとか忸怩たると言いながらも、ラストバンカーというタイトルを自らの手向けとして許す、そこには謙遜を必要としない自信があるのだろう。自らより前の頭取を品の良いお公家様と言いながら、後継にバンカー無しという意味にも取れる「ラスト」の称号。この傲慢さが語りを象徴する。
安宅産業の破綻処理やイトマン事件、さくら銀行との合併から三井住友銀行の頭取を務めるまでの歴史を綴りながら、やはり気になるのは、郵政民営化から日本郵政社長に就任した後、かんぽの宿の問題だ。本著で語るのは払い下げ金額の適正さ、議事録を残さなかった反省程度。民営化に関わったオリックスが払い下げの対象になった事の危うさには触れず。李下 -
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印象に残った箇所については、以下のとおり。
【P10】では、シンプルに考えるにはどうしたらいいか。まず、頭の中を整理整頓する。次に「本質」をつかみ、そらを基点にして絞り込む。そうするとポイントは一つか、二つ、多くても三つまでだろう。四つ、五つになると、焦点がぼやけているから考え直すべきである。
【P21】人の力を借りるということは、自分が人に力を貸す存在であることが基本である。いつも助けを求めてばかりだと、いずれは相手にされなくなる。ビジネス社会の人間関係はギブ・アンド・テイクで成り立つからだ。
【P29】得意分野を持つと言っても、その内側に特化するのではなく、得意分野を軸として仕事を広