【感想・ネタバレ】ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録のレビュー

あらすじ

安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放、銀行大合併、UFJ争奪戦、小泉・竹中郵政改革……現場にいたのは、いつもこの男・西川善文だった。密室の出来事すべてを明かす!「私は悪役とされることが多かった」顔が見える最後の頭取=「ザ・ラストバンカー」と呼ばれた著者が綴った、あまりに率直な肉声!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

著者が亡くなったことをきっかけに知った。一金融マンとして、これを機に読んでおこうと思って購読。
頭取になるような人物が手掛けたオイルショックやバブル崩壊に起因する不良債権処理というものが如何に銀行にとって大事かつ大変か、現場感を持って知ることができる。さらには銀行同士の合併や、郵政民営化の話もこれまで知らなかったことばかりで、生き字引と言っても良い存在だったのだろう。もう一度読み返す価値のある本だと感じました。
加えて、どのような立場になっても、顧客目線がぶれていないことが本当に凄い。実際に仕えた人の言葉を聞かないと何とも言えないが、こういう人がトップになればうちの会社はもっと良くなるのに、と思わずにはいられなかった。

0
2020年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

住友銀行の頭取を務めた西川善文氏の回顧録。

都市銀行の中でも収益率ナンバーワン、富士銀行に次ぐ業界二位という地位から、安宅産業破綻を収束させ、次第に暴走していく住友銀行の天皇こと、磯田一郎氏の行動や、無駄だった平和相互銀行の合併、そして住友銀行の最大の汚点であり、日本最大の不正融資事件であったイトマン事件の解説など、非常に勉強になった。

0
2019年07月06日

Posted by ブクログ

元住友銀行頭取で日本郵政が民営化したときの社長。激変する時代の中で破綻処理と再建の役割を担われてきた西川さんの実務者としての矜持が感じられる本。もちろん本の後半は経営者なんですが、常に自身の中の定規に置き換えて判断し物事を進めていく姿勢はまさに当事者としての強い責任感だと感じました。面白かった。

0
2015年06月22日

Posted by ブクログ

銀行員にとっては必読だが、社会人としても絶対に読んだ方がいいといえる一冊に出会えた。
仕事内容として、銀行特有でイメージしにくいところもあったが、社会人としての習得すべき心得がたくさんあった。
著者の判断ミスや失敗した部分も率直に包み隠さず書かれている点も好感を持てる。

スピードこそが付加価値である。
「決断を下すにあたって80%の検討で踏み出す勇気を持つ」
「青信号、ゆっくり渡れば赤になる」
という言葉は心に刻んでおきたい。

0
2014年02月10日

Posted by ブクログ

元三井住友銀行頭取の西川氏の自伝である。この手の本にしてはかなり踏み込んだ内容となっており、しっかりと持論も展開されている。特に郵政問題に関しては、民間経営者であり銀行の頭取経験者の視点から当然の理論を展開し、いかに理不尽な政治に翻弄されたかが良くわかった。
一方、安宅、イトマン、平和相互など、住友銀行の負の歴史に深く関わってきた氏は、自身でも語っているように、バンカーとしては特異なキャリアを歩んできたが、だからこそ、乱世に必要とされた人材であったのだろう。金融危機に際して、大和証券との合弁やさくら銀行との合併などは氏のリーダーシップがなければ実現しえなかったと思う。
バブル経済とその崩壊、金融危機と一連の歴史を記した名著となる作品である。

0
2012年09月16日

Posted by ブクログ

「銀行の役目は野戦病院」

 著者の「不良債権と寝た男」こと西川善文さんは住友銀行の元頭取。
googleでザザ〜っと調べてみると、糾弾とか犯罪とかあんまり穏やかじゃない言葉がちらほらと。
 簡単に言うと、世間には彼を悪人だとみる人が何人かいるということで、善意の敵だということ。その意見に理解はできるけれども、同じものを両面から見た感がある。

 この本を読めば、ちょっと前の日本がわかるでしょうと軽い気持ちで買って読んでみて、最初はバブル期のことが知りたいと思ってたけれど、一番おもしろかったのは著者がトップに就いた郵政民営化、かんぽの宿のところ。あと、鳩山大臣がでしゃばって東京中央郵便局の再開発が混ぜ返されるところ。

 日本郵政は民営化がペンディングしてしまい財務大臣が全株を保有しているというなんとも中途半端変な形でストップしている。かんぽの宿はオリックスとの事業譲渡契約が解約され、いまだに赤字を垂れ流している。よくもまあ、こんなあからさまなことができるなあとあきれてしまう。

 民主党は自民党やると言ったことは潰しておいて、自分たちがやりますと言ったことはなかなかやらない。でもって言ってもいなかった増税とか仕掛けてくる。
「特定の人からお金をとると悪い人になるから全員から薄くとります。すべてをボンヤリとさせました。」
これが本音何じゃないのかと思う。

0
2012年07月01日

Posted by ブクログ

バブル崩壊から現在に至るまで、銀行が非難され叩かれる場面は散々見てきた。そして僕自身も銀行にはかなり批判的な目でしか見てこなかった。

でもこの本を読む前から薄々勘付いていたし、この本でも感じたのは、日本の銀行の多くは所詮、日銀や財務省の意向から外れて行動することなんてできないということ。

護送船団方式で守られてきたことを非難されたけど、裏を返せば銀行には何の決定権もなかったんじゃないのか。昔は店舗の出店にもいちいち大蔵省の許可が要ったそうだし。

住専を作ったのも大蔵省、銀行に出資を求めてきたのも大蔵省、顧客を紹介させたのも大蔵省、でも破綻して中坊さんに責められ悪役とされる銀行・・・。

今も銀行の貸し渋りが取り上げられるけど、それも結局、財務省、日銀の厳しい目があるからじゃないのかな。

銀行の自由度が上がれば、経済はもっと発展するはず。

0
2012年12月06日

Posted by ブクログ

三井住友銀行頭取で日本郵政社長だった西川氏の回顧録である。日本郵政時代より銀行時代の話が面白かった。銀行は危ない取引先に行員を立て直しのために派遣するが、支店長経験者とはそれほど経営にもスキルがあって優秀なのかと思った。

0
2018年10月20日

Posted by ブクログ

名立たる経営者の回顧録はどれを読んでも外れがない。本書もその例外ではない。著者は、住友銀行・三井住友銀行の頭取、日本郵政の社長を歴任しているが、こなしてきた仕事の大きさにまず衝撃を受けた。付け加えると、通常有名な経営者の業績をたどると派手なものが多いが、著者は不良債権処理という地味だが責任の重い業務に長年携わっていたことも個人的には共感できた。

当事者の弁に直接目を触れると、三流マスコミで報道されている内容と大きく食い違うことに閉口してしまうことが多い。著者の日本郵政時代のかんぽの宿問題と東京中央郵便局再開発問題も同様であった。こういうのを目にするたび、TVのニュースは全くもって見る気を失くす。

そのほか、感じるところの多い著書であったが、最後に、あまり本筋ではないのだが、記憶に残った1節を書き留めておきたい。安宅産業の問題処理で、伊藤忠との合併交渉で登場したのが瀬島龍三だったらしい。当時副社長。
「私が瀬島さんと直接話す機会はなかったが、先方から返ってくる回答がいつも非常にシンプルだった印象が強い。…大体三本柱のようにまとめてあって、五つも六つも書かない。
…たとえば合併条件として伊藤忠が最初に出したのも、一つ、新日鐵の商権は間違いなく伊藤忠が継承できる。一つ、一切の負担を持ちこまない。一つ、銀行取引は合併後も第一勧業銀行をメインとする。こんなふうにズバッと明快だった。…たった三つしかないのに細大漏らさず書いてあるのだ。」
「漏れなく簡潔」とは仕事におけるコミュニケーションで個人的には目指す極みなのだが、こういう人物と交渉にあたっていたのだから、さぞかし腕は磨かれたことだろう。

0
2021年08月08日

Posted by ブクログ

単純によみものとしてもおもしろかった。
色々な課題、問題に対し、どうしたのか、はもちろんだが、背景というか問題の奥底が何なのか、それが大切。
回顧録だし、実際他の人から見たら分からないけど、振り返ってこうだった、と後付けでも言える人生は良かったんだろうな。

そして、家庭は顧みてないようで、時々奥さんに叱られる下りが出てくるところが弱さも武器にしてて、うまいとおもった。

0
2015年01月28日

Posted by ブクログ

三井住友銀行頭取、日本郵政社長を歴任した西川善文氏の回顧録。著者が、直面する難題から逃げずにスピード感をもって決断を下してきた、まさにリーダーシップを持った人物であることがよく伝わってきた。
著者には「不良債権と寝た男」との異名があるとおり、本書も安宅産業処理をはじめとする「破綻処理と再建」のエピソードに軸足が置かれている。あえて詳細な内幕は書いていないなという印象のある部分もあったが、不良債権処理の現場の緊迫感はよくわかった。不良債権処理には痛みが必ず伴うが、血を流すことはあっても、何を最後の一線として守るかをしなければならないという著者の指摘が印象に残った。
また、日本郵政社長時代のエピソードも力を入れて書かれていた。郵政の問題点(官業ゆえの特典やガバナンスの弱さなど)、と民営化の狙いが、本書の記述でよくわかった。マスコミを賑わした鳩山総務大臣とのかんぽの宿売却と東京中央郵便局再開発計画をめぐるバトルについても、著者としての弁明がされているが、著者の主張はもっともだと思われた。ただ、郵政はあまりに政治色が強すぎ、理屈だけではどうにもならなかったんだろうなという感想を持った。

0
2014年12月28日

Posted by ブクログ

【概要】
SMBC頭取、日本郵政社長を歴任した筆者の回顧録。不良債権処理から金融危機、合併や民営化の現場で何が起こっていたのかが語られる。
【感想・印象に残った点】
・安宅産業の整理では、対新日鐵商権のみを狙った伊藤忠との交渉が印象的。またニチハのような企業再生が産まれているのも興味深い。
・住友銀行の東京進出という磯田一郎頭取の悲願。その足掛かりとなった平和相銀買収で恩を売ったイトマンに磯田氏は肩入れをしていくことになった。
・住専では中坊氏と対決。金融ビッグバンからの業界再編においては証券子会社の設立や三井との統合をとりまとめた。

0
2014年01月04日

Posted by ブクログ

三井住友銀行頭取、民営化された日本郵政社長をつとめた西川善文氏の自伝。
イトマン事件、住専問題、郵政、様々な事案の中心になって”仕事”をすすめてきた西川氏。
面白く一気によみました。

以下「おわりに」から。
「一貫してあるのは『破綻処理と再建』というキーワードである」
「傷んだ企業の傷んだ事業と傷んだ資産を建て直すとは、来ようと事業をどこまで守るべき中を痛みを持って決断することである」
「リーダーシップとは、直面する課題から逃げないことである」
                       

0
2012年12月23日

Posted by ブクログ

住友銀行頭取、三井住友銀行頭取、全国銀行協会会長、日本郵政株式会社社長、郵政公社総裁などを歴任した西川善文が、安宅産業に始まる不良債権処理やイトマン事件、M&A,そして郵政民営化について語った回顧録。

0
2012年10月30日

Posted by ブクログ

西川さんのことは、
頭取時代より凄い方だと思っていた。
大手銀行のトップで
これほど分かり易く発言される方も珍しい。
本書については、
もっと詳細に書いて欲しかった面もあるが、
全体的には満足できる内容であった。

なお、以前から鳩山兄弟は好きではなかったが、
本書を読んで、さらに好きではなくなった

0
2012年08月04日

Posted by ブクログ

西川善文元頭取の自伝。イトマン事件、安宅産業問題、住銀事件や郵政問題等、非常に分かり易かった。それらの事件や問題、そしてバブル時代と銀行から見た不良債権問題を勉強するには非常に良いと思う、どこの書店でも分かるところに置いてあり気になっていたが、非常に良かった。

0
2014年03月21日

Posted by ブクログ

面はゆいとか忸怩たると言いながらも、ラストバンカーというタイトルを自らの手向けとして許す、そこには謙遜を必要としない自信があるのだろう。自らより前の頭取を品の良いお公家様と言いながら、後継にバンカー無しという意味にも取れる「ラスト」の称号。この傲慢さが語りを象徴する。

安宅産業の破綻処理やイトマン事件、さくら銀行との合併から三井住友銀行の頭取を務めるまでの歴史を綴りながら、やはり気になるのは、郵政民営化から日本郵政社長に就任した後、かんぽの宿の問題だ。本著で語るのは払い下げ金額の適正さ、議事録を残さなかった反省程度。民営化に関わったオリックスが払い下げの対象になった事の危うさには触れず。李下に冠を正さず、という態度は見えず。

行内から政治抗争にも巻き込まれながら、相当タフな人生を送り、そこには本著に書けない闇の部分も多々あったろう。銀行マンの守秘義務は厳しい。事実ベース、言い訳混じり。本として、面白いかは微妙である。

0
2022年10月02日

Posted by ブクログ

この手の本はあまり読まないのだが、前々から少々気になっていたこともあり、つい手に取ってみた。
意外に面白かったなぁ。まぁこれ以上は書けないのだろう、実際はもっとドロドロしていたのだろうが、ある意味あっさりとした記述に終始。
しかし日本郵政のくだりだけでもこの本を読むべきかも。日本の政治の腐り切った実情を垣間見ることができるし、それはひいては当方含めそこに蠢く輩どもを選出した選挙民にも一端の責があることにつき猛省するためにも。

0
2014年03月22日

Posted by ブクログ

日本郵便の部分は面白かったですね。
西川さんの様な人でも組織の力によって潰されてしまうことに、組織の力の恐ろしさを感じました。
めんどくさい人達には関わりたくないと強く思った。

0
2014年01月18日

Posted by ブクログ

不良債権と寝た男の物語が動き出すのは1975年の安宅産業危機、石油取引を拡大しようとする安宅産業のアメリカ子会社が与信限度額のわずか3%の保証でNRCと言うリファイナリーに中東から買った石油を売る取引からだった。第一次オイルショックで中東の原油は4倍に値上がりし、NRCと安宅アメリカは膨大な赤字を抱え赤字状態に陥った。安宅アメリカの債券総額3億3千万ドル、当時のレートで1000億円にのぼり、95%が無担保で安宅産業本体の保証がついていたが安宅の返済能力を超えていた。安宅産業の負債総額は1兆円あり2万人の従業員が仕事を失い、3万5千社の取引先に連鎖倒産を及ぼしかねない。Too BIG to Failはもうこの時に始まっていて住友銀行は救済に乗り出す。西川氏はこの特別処理チームの実行部隊に入る。救済と言っても主力行の債権放棄と他の商社による吸収と言うのは今と変わらない。合併相手としては住友商事と伊藤忠が候補だったのだが住友商事の副社長と住友銀行の専務がそりが合わない。交渉相手は伊藤忠一本にしぼられた。まあそんなもんなんだろう。

伊藤忠は繊維がスタートで鉄鋼などは弱く、安宅の新日鉄の商権が狙いだった。この交渉のハイライトは伊藤忠副社長の瀬島龍三の登場、おお不毛地帯だわ。伊藤忠の合併条件は3つ、新日鉄の商権、一切の負担を持ち込まない、伊藤忠のメイン行は第一勧銀のまま、だ。伊藤忠は結局鉄鋼と化学の一部を引き受け、安宅産業はばらばらに分離し一部は他社に合併された。この時安宅繊維を引き受けたのが後のイトマンで当時の社長が住友から転籍したイトマン事件の主人公河村氏だった。住友銀行は主要関連会社にも人を出して再建し、債券を引き継いだ会社では回収に当たった。破綻した安宅産業だが東洋陶磁コレクションが当時の時価で152億になるほど保有していた。なるほど半沢直樹の世界だ。

1978年安宅産業の処理が済んだ住友銀行は事業本部製に組織を改めた。本部内に審査部門と業務推進部とを入れるようにしたのだが西川氏は当時の銀行としては画期的と評価するが同じ責任者が両方を見ることになった。今ならガバナンスがないと言われるだろうが、じゃあ分けたままならバブル時代にちゃんと審査できたかと言うとそれも怪しかろう。西川氏自身が後に組織を元に戻している。

当時の磯田頭取は後に天皇と呼ばれた人で東京進出を狙って平和相互銀行を合併しようと狙っていた。当時は銀行業は規制が厳しく新店舗の出店はほぼできない状態だったからだ。平和相銀のオーナー小宮山家は持ち株を資産管理会社「川崎定徳」に売却するのだがその資金を用意したのがイトマン系列のノンバンクだった。そしてその株式を住友銀行が買い取る。西川氏は正当な取引と説明しているが・・・まあそう言うしかないわなあ。買ったはいいが平和相銀はボロ店舗ばかりでまた問題融資先もたちが悪く追い貸しを続けていた。それ以上に禍根が残ったのはイトマンに借りを作り元磯田当時会長の子飼の部下河村社長の影響力が増したことだった。バブル期に不動産事業にのめり込んだイトマンは金融引き締めと不動産価格引き締めの影響で危機に陥る。マスコミが許永中などの闇社会とのつながりで住友銀行をたたいたのもこのころだった。西川氏は住友銀行が闇の紳士と関係が深いダーティーな銀行だと言う、実態とはかけ離れたイメージが植え付けられたと言う。しかし、磯田会長がイトマンに借りを作り元子分の河村社長が関わる以上関係があると見られて当然だろう。磯田会長の退任を取り付けようと西川氏は巽頭取に電話し怒鳴り上げた「頭取、磯田さんをなんとかしてください。早く辞めさせてください。こんなことが続いては銀行はもちませんよ!」退任会見まで開いたにも拘らずいつまでも辞めようとしない磯田会長の態度に当時常務企画部長だった西川氏は本店の部長をほぼ全て集めて退任要望書をまとめ巽頭取に渡した。やはり十倍返しか。
西川氏は最後に磯田氏は周りに載せられただけで真っ当な人だったと書いている。そこで持ち上げてもしょうがなかろうに。

住専問題では西川氏は銀行は被害者だと言う。大蔵省主導で出資させられ、店舗網が十分でない住専に融資先を紹介したのに焦付いたら銀行の責任と言うのは到底承認できないと。また、頭取就任時にはリスクを取って貸し出しを増やしたとも言う。流れた大和銀行との合併、UFJとの合併、さくら銀行との合併などでも西川さんの言い分を聞いていると住友銀行には何一つやましいことはなく正しい決断ばかりだと言うがこれは一方的な見方だと思う。違う人の話を聞けば全く違う物語に聞こえるだろう。

最後は日本郵政社長就任の話で鳩山邦夫との確執が面白い。さすがにこれは鳩山の方が無茶苦茶でかんぽの宿をオリックスが入札で取ったのに取得価格に比べ売却額が低過ぎるなどは言いがかりだ。資産価値がぼろぼろなんだから責任を問われるのはそこに投資した人たちだろう。

西川氏が大変な苦労をされたのはその通りなのだろう。30年間も不良債権処理ばかりだったのだから。しかし、そう言う銀行になった責任については特定の誰かが悪かったと言う話ではないと思う。

0
2013年12月19日

Posted by ブクログ

政治の世界の頭の悪い人たちに絡まれたせいで評価は分かれるでしょうが、この人の経営者としてのレベルは他業種と比べてさえ頭二つは飛び抜けたものだと思います
その氏の力量ゆえに、この本が比較してつまらぬ内容になってみえるのは残念です

0
2013年06月08日

Posted by ブクログ

住友銀行頭取、日本郵政社長を務めた西川善文の回顧録。

あまり中が見えない銀行の内幕が分かるという点で面白かったが、知見・教訓として得られる部分があまり無かった事が、少し残念。

以下、面白かったところ。

・安宅産業の伊藤忠への売却における瀬島龍三式交渉。
 ‐複雑な物事を複雑なままつかまえて見るのではなく、非常に簡潔にポイントを絞り込んで見ていた。
 ‐伊藤忠からの回答は非常にシンプルであった。

・サービスのスピードは最も高い付加価値である(頭取就任時の草稿)

0
2013年03月10日

Posted by ブクログ

本邦のトップバンカーが、回顧録を書かれました。様々な出来事が実名入りで書かれております。ポールソン回顧録、ルービン回顧録との違い等に思いをはせながら読み進めております。

0
2013年02月11日

Posted by ブクログ

読み物としては面白かった。
内容としては、特に住銀頭取に就任された辺りから何かがおかしくなっているように思えた。
自己の採った方針と根拠への言い訳と自己肯定の嵐で、最終的に何事も成しえず中途半端に日本郵政社長を辞任した、というと言いすぎだろうか。
この本の前に読んだユニクロの柳井社長の主張と共通する点は、「立ち止まれば即死する」という点。
異なっていたのは、「衰弱した企業を維持するべきか否か」という点だと感じた。
企業の寿命をできるだけ維持しようとするのは、やはり金を貸している立場だからだろうか。

それにしても何兆何千億の債権放棄のニュースが乱れ飛ぶ時代、人々がたかだか数十万数百万のローンに対して、「借金は返すのが当たり前」という意識が希薄になってしまうのもある意味仕方がないことなのかもしれない。

0
2012年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

p45 良いレポートに必要なのは明快な結論。無難でリスクを追わないレポートは不要。出世もできない。
p131 1971年のニクソンショックを機に銀行は逆風。
p187 本当に必要なことだけを繋ぎ合わせてみると、プロセスは大幅に削減される。付加価値をもたらさない無駄な介在者を徹底的に排除する。そして現場に権限委譲を行う。これがスピードを生み出す。

0
2012年12月11日

Posted by ブクログ

三分の一は郵政での話。住友の話は意外とコンパクト。
住友銀行の話は古い時代の銀行の話だな~という感じ。
仲間意識が強いというか?
安宅産業やイトマンの話は、よく知らなかったので、参考になった。
こういう本って、本人が口述して誰かが書いてるんだろうな。文章が簡潔なので、読みやすい。

0
2012年09月09日

Posted by ブクログ

不良債権と寝た男、西川善分の手記。
経済史に刻まれた経済事件の中心人物の手記となれば興味深いが、全体的に総花的で核心に触れる事もなく(当たり前かw)、裏事情の暴露を期待しただけにちょっと物足りない。
しかし、出来事の中心人物の告白としてサラッと触れられている背景には凡人には想像出来ない出来事が多々あったに違いない。住友銀行をキーワードに、日本経済の変遷と共に変わって行った銀行業界の変遷を知るには面白い本だった。

0
2012年09月05日

Posted by ブクログ

自分も昨年から郵政問題に振り回されており、後半の部分の背景は一部理解できる。
仕事のできる人なんだろうと思う。

0
2012年08月20日

Posted by ブクログ

SMBCの元頭取、西川善文の回顧録。「不良債権処理」という失われた20年の主題となる部分に、当事者として携わっていた著者の話に興味があって読み始めたのだが、ゆうちょ改革の内容も経営論が主題となっている感じもあり、非常に面白かった。GEのジャックウェルチと同じく、著者も経営で大事なのは「スピード」だと述べている。自分はどうか?その付加価値をつけられているか?

0
2012年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

元住友銀行頭取〜日本郵政初代総裁による自伝。
独特の住銀文化、磯田天皇、安宅産業問題点、イトマン事件、郵政民営化につき、ぶっちゃけながら語っている。さすが、元頭取だけあって、文章は洗練されており読みやすい。
但し、書けないコトもイロイロあるんだろうね。

この人は、エリート街道まっしぐら、の印象があったが、以外に苦労人だ。

特に、
鳩山邦夫元総務相とのバトルが面白い。かんぽの宿売却問題を含め、現職時に言えなかったことが、漸く言えた、ってことだろう。筆者もスッキリしたんではなかろうか。

0
2013年09月16日

「ノンフィクション」ランキング