吉海直人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一気に読もうと思っていたので、しばらく源氏物語系統が続きます、ご容赦。
で、まずは桐壺からと思い、この一冊。
角川ソフィア文庫、強し。
物語全体の注釈を扱えば、ボリュームがすごいことになるから、どこ扱う? そりゃ、桐壺でしょ!ということで、『源氏物語』の小宇宙たる桐壺巻をかなり丁寧に解説してくれています。
ありがたい。
桐壺を単に悲劇のヒロインとして見るではなく、裏返すと、その悲劇のヒロイン性を強かさとも重ねながら描いておられる所も、面白い。
現代の結婚観とはかけ離れて…などいなくて、令和の今でさえ、ある立場の方が誰と結婚なさるかということは、秩序の対象なんだなぁと思うのです。
お金ということも大きいだろうけど、私たちがそこに「関係」している意識が働くんだなぁと。
後宮の憎悪が、宮中の男性官僚に、そして都に住む人々に及び、不安に揺れる様。
一人の男のタブーからの、恐ろしい幕開け。
てか、紫式部、これ書いて無事だったんだね…。
そんなわけで、まだ光源氏が台頭する前であるのに、いや個人的にはこれがあるから本編が、面白く読めるのだと思います。 -
Posted by ブクログ
声に出して読みたくなる本。
心の機微に触れて、ハッとする気づきがたくさんあった。スマホばかりいじってたらダメだなって思った。
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★概要
「百人一首」に詠まれているのは、今に通じる人の思い。美しい桜に感動したり、出世できずに嘆いたり、浮気な恋人を恨んだり…。そこに詠み人の“思い”を感じれば、難しい勉強などしなくても、和歌に親しむことができるのだ。本書では、歌の成立背景から詠み人の人となりまで、「百人一首」を味わうためのポイントを紹介。楽しみながら、古典をぐっと身近に感じられる一冊。
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百人一首は、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの代表的な歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた秀歌撰(しゅうかせん)のこと。
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秀歌撰とは「優れた歌を集めたもの」という意味だそうです。
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日本の四季や花鳥風月の美しさ、男女の出逢いと別れ、旅先で観た景色など、幾つかのお題目を五・七・五・七・七の三十一文字の短い言葉に込めて詠います。
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奥山に (おくやまに)
もみぢふみわけ (もみじふみわけ)
なく鹿の (なくしかの)
声聞く時ぞ (こえきくときぞ)
秋はかなしき (あきはかなしき)
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奥深い山の中で、一面に散りしいた紅葉をふみわけて鳴いている鹿の声を聞くときは、この秋の寂しさが、いっそう悲しく感じられる。
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はじめ意味が分からない歌でも、意味を知ってからもう一度読み返すと、その読み人の気持ちや聞いていた音や風景が想像できて、ゆっくりと染みてくる面白さがあった。
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ほととぎす (ほととぎす)
鳴きつる方を (なきつるかたを)
ながむれば (ながむれば) ただありあけの (ただありあけの)
月ぞ残れる (つきぞのこれる)
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ホトトギスが鳴いたと思って、そちらを眺めると、そこには何もなく、ただ有明の月だけが空に残っているよ。
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耳で聴いて、次には視線が移って、読み人たちの心の豊かさに驚かされた。自分は周りで起こっていることにどれだけ気がつけてるかなって思いました。
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あしびきの (あしびきの)
山鳥の尾の (やまどりのおの)
しだり尾の (しだりおの)
長々し夜を (ながながしよを)
ひとりかもねむ (ひとりかもねむ)
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オスの山鳥の、長く垂れ下がった尾のように長い長いこの秋の夜を、私はひとり寂しく寝ることになるのだろうか?
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リズム良く次へ次へと読んでいると、ある時からちょっと口に出して読んでみたくなって、電車でボソボソと小声で呟いてた。
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君がため (きみがため)
惜しからざりし (おしからざりし)
命さへ (いのちさへ)
長くもがなと (ながくもがなと)
思ひけるかな (おもひけるかな)
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あなたのためなら惜しくはないと思った私の命が、あなたに会った今では、少しでも長くあってほしいと思うようになったのです。
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夜もすがら (よもすがら)
もの思ふころは (ものおもうころは)
明けやらぬ (あけやらぬ)
ねやのひまさへ (ねやのひまさえ)
つれなかりけり (つれなかりけり)
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一晩中訪ねてこない恋人のことを思っているこの頃は、夜もなかなか明けず、朝日の差さない寝室の戸の隙間さえつれなく思えます。
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どんな立場で、どんな状況で、何を大切にして生きていたのか、読み人たちの「生き様」が見えてきて、風流とか趣があるという平安時代の人たちにも今と変わらない気持ちがあって、思ったより堅苦しくなかったことは新たな発見。
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けど、一番驚いたのは実際には景色を見ていないで想像で詠っている作品があったこと。東北から九州まで日本の景色がたくさん出てくるけど、インターネットもカメラも無い時代、その場所に行くことも困難なのに、想像力とユーモアを持って実際に観てきたかのように詠んで、聴いた人たちにも感動を与えるってすごい!!
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実際に言葉で表現できるということは、本人たちは眼前に見えて、本当に聴こえているんだと思った。
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舞い上がる (まいあがる)
古雅の言の葉 (こがのことのは)
あざやかに (あざやかに)
見聞きし学ぶ (みききしまなぶ)
在りし日のこころ (ありしひのこころ)
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最後に、百人一首の面白さを伝える短歌にチャレンジしようと、アレコレと景色を眺めて、周りの音を聴いて、気持ちを伝える言葉やリズム良い言い回しを調べたり考えて考えてたら、、、2時間経ってた。。。考えるのは難しかったけど、とても楽しい時間でした。
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スマホは便利で楽しいけど、自分の周りにも面白いことがたくさん転がっていることに気づかせてくれた。
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Posted by ブクログ
百人一首はご存知、藤原定家が撰んだ和歌集です。
様々な人の様々な解釈本が古今通じて出版されていますが、
今まで、個人的にはそのような解釈本は避けてきました。
競技かるたから百人一首に入った自分としては、
百人一首は声で、音で楽しむもので、
詠み人や撰者の撰歌意識などはあまり考えずに、
素直に感じたまま楽しむのが好きだったからです。
ただ、百人一首はそれぞれの歌人の代表歌を撰んだものではなく、
詠み人が詠んだときの解釈と撰ばれたときの解釈が異なっているものなどもあって、
深く読み込むと、それはそれで面白そうだ、
ということがこの本を読むとわかってきます。
百人一首は選者・藤原定家の秀歌意識や当時の時代背景のほか、
詠み人の詠んだあとの人生をも包括しています。
当時は承久の乱後の、武家政権が確立した時代。
公家衆はすでに政治の表舞台にはいませんでした。
それゆえ、上級貴族であった定家らは、
王朝全盛期であった平安時代を懐かしみ、
かつ厭世的になっていたことでしょう。
滅びゆく者たちの歌に、我が身を重ねていたのかもしれません。
この本は「百人一首で読み解く平安時代」という書名ですが、
それ以上に「百人一首で読み解く鎌倉時代の貴族社会」、
という感じがします。 -
Posted by ブクログ
百人一首とは何か。
―和歌で綴る平安朝の歴史―
これが筆者の答えだ。
巻頭の天智・持統天皇と巻末の後鳥羽・順徳院はともに親子天皇として対をなしている。
また、筆者曰く、桓武天皇の曾祖父にあたる天智天皇は平安朝天皇の始祖、一方の巻末は、承久の乱で鎌倉幕府に敗北した平安朝終焉の天皇である。
この対によって百人一首は、平安朝という歴史を作品の中に封じ込めている。
また、百人一首は、勅撰集から撰ぶという原則が存在するらしい。なお『古今集』の編纂方針は、『万葉集』歌は除く、というものだった。そして『万葉集』は百人一首の撰集資料ではないため、額田王・山上憶良などの一流歌人は撰入されていない。
ところが、99番「人もをし」歌と100番「百敷や」歌は、百人一首成立時期において勅撰集撰入歌ではなかった。このことから逆算して、実はこの二つの歌は当初『新勅撰集』に撰入されていたにも関わらず、鎌倉幕府への政治的配慮から外されたと考えられている。つまり、定家にとってはれっきとした勅撰集撰入歌であり、それを外さざるをえなかった無念さが、百人一首成立の原動力になったのだと。
本書の特徴は、一首または歌人を他の秀歌撰の評価と比べている点で、百人一首に撰ばれていない代表歌なども引き合いに出し、百人一首の特異性、なぜこの歌人・この歌を撰んだのかを考察している。