【感想・ネタバレ】百人一首で読み解く平安時代のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

小倉百人一首の、入門書より一歩踏み込んだ内容を、ということでこの一冊。
しかし読んでいる途中で、「私にはまだ入門レベルが相応しいのでは……」と薄々感じている。
とはいえ、百人一首はじめ文中さまざまな歌集から引用されている和歌を口に出しながら読むのは楽しい。
五七調のリズムが心地よいと感じる感覚は、生...続きを読む来備わったものなのか、少しずつ日本の歌文化に触れる中で培っていくものなのか。

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Posted by ブクログ 2013年01月14日

百人一首はご存知、藤原定家が撰んだ和歌集です。
様々な人の様々な解釈本が古今通じて出版されていますが、
今まで、個人的にはそのような解釈本は避けてきました。
競技かるたから百人一首に入った自分としては、
百人一首は声で、音で楽しむもので、
詠み人や撰者の撰歌意識などはあまり考えずに、
素直に感じたま...続きを読むま楽しむのが好きだったからです。

ただ、百人一首はそれぞれの歌人の代表歌を撰んだものではなく、
詠み人が詠んだときの解釈と撰ばれたときの解釈が異なっているものなどもあって、
深く読み込むと、それはそれで面白そうだ、
ということがこの本を読むとわかってきます。

百人一首は選者・藤原定家の秀歌意識や当時の時代背景のほか、
詠み人の詠んだあとの人生をも包括しています。
当時は承久の乱後の、武家政権が確立した時代。
公家衆はすでに政治の表舞台にはいませんでした。
それゆえ、上級貴族であった定家らは、
王朝全盛期であった平安時代を懐かしみ、
かつ厭世的になっていたことでしょう。
滅びゆく者たちの歌に、我が身を重ねていたのかもしれません。
この本は「百人一首で読み解く平安時代」という書名ですが、
それ以上に「百人一首で読み解く鎌倉時代の貴族社会」、
という感じがします。

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Posted by ブクログ 2017年06月24日

百人一首とは何か。
―和歌で綴る平安朝の歴史―
これが筆者の答えだ。
巻頭の天智・持統天皇と巻末の後鳥羽・順徳院はともに親子天皇として対をなしている。
また、筆者曰く、桓武天皇の曾祖父にあたる天智天皇は平安朝天皇の始祖、一方の巻末は、承久の乱で鎌倉幕府に敗北した平安朝終焉の天皇である。
この対によっ...続きを読むて百人一首は、平安朝という歴史を作品の中に封じ込めている。

また、百人一首は、勅撰集から撰ぶという原則が存在するらしい。なお『古今集』の編纂方針は、『万葉集』歌は除く、というものだった。そして『万葉集』は百人一首の撰集資料ではないため、額田王・山上憶良などの一流歌人は撰入されていない。
ところが、99番「人もをし」歌と100番「百敷や」歌は、百人一首成立時期において勅撰集撰入歌ではなかった。このことから逆算して、実はこの二つの歌は当初『新勅撰集』に撰入されていたにも関わらず、鎌倉幕府への政治的配慮から外されたと考えられている。つまり、定家にとってはれっきとした勅撰集撰入歌であり、それを外さざるをえなかった無念さが、百人一首成立の原動力になったのだと。

本書の特徴は、一首または歌人を他の秀歌撰の評価と比べている点で、百人一首に撰ばれていない代表歌なども引き合いに出し、百人一首の特異性、なぜこの歌人・この歌を撰んだのかを考察している。

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