原田信男のレビュー一覧
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ネタバレ歳を重ねるごとに「読書にも体力は使うのだな」と感じ始めた今日この頃、たまには手に汗握る弩級ストーリーではなく、ただただ知識を己に流し込みたい時があるのです。少なくても、私には。
そんな時におすすめなものはレシピ本なのですが、こちらは江戸時代の料理がずらりと並びます。
その奇想天外さたるや!
今と通ずる食材や手法ではあるものの、驚きメニューが目白押しです。
大体、「貝でも魚でも鳥でもなんでもいいからみじん切り」とは、流石に味や食感が違いすぎる。
鯛の子籠のような名前(今手元にないのでうろ覚えです)でいながら、腹に詰め込まれるのは鮒。こいつぁどこの子よ! と脳内で鯛夫婦が大喧嘩。
「その他なんで -
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ありふれた食材なのに
同じ著者の「日本の食はどう変わってきたか」「日本人はなにを食べてきたか」を読んだことがあり、両方ともなかなか面白かったので本書も読んでみた。豆腐という一見単純な食材について一冊の本を書けるほどに様々な材料を調査する苦労がしのばれる。特に日本と中国の間で独特の進化を遂げた沖縄の豆腐の話が面白かった。
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大豆タンパク質の摂取方法として優れているという豆腐につい様々な面から語られている。豆腐の起源は中国にあることは間違い無いが、その時期、場所は文献からは確かめられないらしい。日本への伝来も詳しく分かっていない。日本での豆腐の受容と拡散の歴史が江戸時代の豆腐料理書「豆腐百珍」の詳しい紹介を交えて語られている。江戸時代は豆腐料理のピークだったようだ。明治以降の豆腐の歴史も製法の変遷も含めて詳しく語られている。著者の正確な豆腐製造に関する知識により記述が安定している。江戸時代の労働集約的な製造から明治以降に製法の機械化、動力化が進んだというのは興味深い。少し前までに標準であった家族経営が可能で有ったの
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豆腐は、スーパーに行くと安く手に入る。
それでいて栄養があるので、財布にも身体にもやさしい食品。
そんな豆腐は大豆からできている。
大豆は、中国北部から朝鮮半島さらに日本に自生するツルマメ原種で、東アジア原産であることは、ほぼ疑いないが、起源地については諸説あるそうだ。
近年の日本考古学において、土器に残された痕跡から分かることがある。
土器に残された穀類や豆類のレプリカ法を用いる圧痕研究が進んだことにより、1万年以上も前の縄文創成期の遺跡からツルマメの圧痕を発見できるようになった。
豆腐が日本の史料に登場するのは、1183年のの「中臣祐重記」だ -
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「米」中心
日本古代から記録に残っている食文化や食生活を比較的わかりやすく列記した作品である。「米」を作り始めて以降、どれほど日本の食生活が「米」中心だったのか改めて思い知らされた。他国と比較して特徴的なのは「肉食」に対する考えである。仏教という宗教上のタブーもあっただろうが、畜産業が発達しなかったor衰退した という要素のほうが大きい気がした。
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日本の「食」の歴史にスポットを当てた本。
食に関する歴史を紹介した本はあまり見かけないが、この本では、政治や社会情勢を絡めながら、武士や貴族の食生活及び庶民の食生活をそれぞれ説明している。
食生活を考えるうえで、政治・社会情勢を理解しておくことは不可欠であるので、まずは、その時代の社会情勢をしっかり理解することが大切である。その上で食生活について考えると、理解しやすいのではないか。
また、全体を通じて、日本の食生活では、「米」が特別な存在であったことが伺える。
パン食やハンバーガーが普及してもなお、日本人の食生活は米が中心であるだろうし、それは今後も変わらないだろう。 -
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神の食事から魚肉ソーセージまで、日本の食はどう変わってきたか。気候から米食を主食とし、できるだけ加工・調理を避けるのが基本。神に供えた食事の「おさがり」をいただいていた古代から、宗教(例:仏教の推進に伴う肉食禁止令→魚中心に)や文化(例:茶の湯の流行→懐石料理の開花)、政治(例:脱亜入欧→肉食再開宣言※ここで登場したのが魚肉ソーセージ)の変化に伴って、外国からの影響を強く受けながら、柔軟にその姿を変えて今に至る。特に、江戸時代は参勤交代によって人/モノ/情報が江戸に集まり、総合的な「会席料理(反語は即席料理=アラカルト)」と単品的な「鮨/天ぷら/すき焼き、など」に分かれて進化を極めた。いつの時
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95年発行の「木の実とハンバーガー」(NHKブックス)を補筆したもの。著者の通史の中でも最も日本史の枠組みを押さえていると、自身があとがきで記しているとおり、縄文時代から現代までの日本人の食について丁寧に紹介している。
特に、米と肉食に対する日本人の姿勢が記述の全般を通して貫いている。肉食の忌避を穢れや稲作への力を注ぐためという理由で説明しているが、それだけでは納得できない。環境や人口の変化、疫病などの背景があったのではないかと勘ぐってしまう。
後半は飛ばし読み。
縄文時代
・縄文時代、前期には屋内に炉が設けられた。後期には高い温度で焼かれた土器が出現し、後期から晩期にかけては漁労の技術 -
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Posted by ブクログ
古代から現代までの和食文化の流れが分かりやすく説明されています。
現在の会席料理の源流が、古代神事の神饌があり、神様のお下がりを皆で食べるところから、饗応料理(本膳料理)となったこと。
平安~鎌倉時代の寺院で開発された精進料理が、調理技術の発展に大きく貢献したこと。
酒宴の席で饗される饗応料理から酒を省き、より食の本質をストイックに追及して生まれたのが、お茶席にて饗される懐石料理であること。
食を楽しむ文化が、江戸時代に大いに発展したこと。
などなど……。
和食に対する薀蓄盛りだくさん。
その時代時代の料理の在り方はなんとなく知っていたのですが、例えば精進料理が調理技術を飛躍