琴坂将広のレビュー一覧
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経営戦略学史。実務との乖離が指摘される経営学だが、事例を統合史一般化する作業には時間が必要で、実際は企業経営の環境の変化に合わせ、経営学も大いに変化している。
ここでは、戦争の戦略における予算と目的遂行から始まり、テイラーなどの大量生産技術をどのように生かすかということで、安定した需要環境の中で経験曲線をどれだけ先に進めるかというBCGマトリックスが生まれた。オイルショックを経て単純な大量生産による業績拡張が難しくなってくると産業間の利益率の差異から、外部環境を詳細に分析するポーターのファイブフォーシズは生まれ、差別化/コストリーダーシップ/フォーカス戦略が誕生する。情報技術や国際化で
外部環境も大きく変化して分析が間に合わなくなってくると、内部環境にフォーカスがあたり、企業内資源の異質性・固着生に注目した資源ベースの理論が台頭してくる。また同時に企業の成長段階に合わせ、多角化をどう評価運営していくかという事業戦略を超えた全社戦略も同様に発展していく、そこでバランスとスコアカードによる自社評価がされ、人事、財務、といった機能別の戦略も同様。また実行の度合いを担保することも当然求められており、KPI管理などで対応するが、この対応は戦略と従業員の意識のアラインメントが重要である。
現在では、新興企業に対し、外部内部の詳細な分析をしている余裕はないので、はしりながら,A/Bテストのような実験をしつつ戦術の完成度を高めていく仮説思考計画法が出てきた。 -
Posted by ブクログ
本書の目的は「経営学の学問的価値の底上げ」にあるようで、いわゆる経営ノウハウ本の類とは全く内容を異にしている。従って、実際の現場における意思決定にすぐに役に立つというものでは少なくともない。
経営の現場に役立たないものは経営学とはいえないのではないか、という声も聞こえてきそうだが、こうした学問としてのアプローチは、学問領域における本質を理解する、という意味で極めて有効だと思う。本書においては、経営学の本流をなす学説とその成り立ち、更にそらら成立の背景や境界を接している学問との関連などをかなり網羅的に論じており、経営学の領域での知見を広げるという目的においてはよき手引書だと思う。
思えば、15年ほど前に某大学で経営学という学問を初めて学んだときには、「量的適応」という極めてミクロな領域がテーマであったが、本書は国際経営論という、まさに対極であるマクロ経営学とでも呼ぶべき内容で、私にとってはこれまでもっていた学問としての経営学に対するイメージを修正する内容であった。
ただ、残念だったのは、想定する読者層が今一つ明確でないことだ。内容としては、最大手の企業関係者ではなく、そのフォロワーのポジション向けと思われるのだが、提起されている戦略理論を実務に落とし込んでいくには、フォロワーの組織能力レベルではかなり厳しいと思われる。特に、バリューチェインの中で影響力を行使できるポジションをとれるようにするというのは、現実的には最大手でも難易度が高いと思われる。やはりマッキンゼー流というところなのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・気鋭の経営学者による「国際経営という旅のガイドブック」。
・経営学という「学問」であるため、止むを得ないところかもしれませんが、抽象論が多く、実際の業務で直接役立つという部分は少なかったかもしれません。
・一方で、視野・視座というところでは、ヒントになるような部分も多かったように思います。
■原材料から最終製品に至る価値連鎖の中で、力を持つことができるのは誰なのか。
■グローバル統合への圧力とローカル適合への圧力のそれぞれの強弱で、取り得る戦略の方向性が異なる
などなど。
・少なくとも、自分自身の知見がまだまだ不十分だと思い知らされるきっかけになりました。