琴坂将広のレビュー一覧
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経営戦略学史。実務との乖離が指摘される経営学だが、事例を統合史一般化する作業には時間が必要で、実際は企業経営の環境の変化に合わせ、経営学も大いに変化している。
ここでは、戦争の戦略における予算と目的遂行から始まり、テイラーなどの大量生産技術をどのように生かすかということで、安定した需要環境の中で経験曲線をどれだけ先に進めるかというBCGマトリックスが生まれた。オイルショックを経て単純な大量生産による業績拡張が難しくなってくると産業間の利益率の差異から、外部環境を詳細に分析するポーターのファイブフォーシズは生まれ、差別化/コストリーダーシップ/フォーカス戦略が誕生する。情報技術や国際化で
外部環 -
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本書の目的は「経営学の学問的価値の底上げ」にあるようで、いわゆる経営ノウハウ本の類とは全く内容を異にしている。従って、実際の現場における意思決定にすぐに役に立つというものでは少なくともない。
経営の現場に役立たないものは経営学とはいえないのではないか、という声も聞こえてきそうだが、こうした学問としてのアプローチは、学問領域における本質を理解する、という意味で極めて有効だと思う。本書においては、経営学の本流をなす学説とその成り立ち、更にそらら成立の背景や境界を接している学問との関連などをかなり網羅的に論じており、経営学の領域での知見を広げるという目的においてはよき手引書だと思う。
思えば、15年 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ・気鋭の経営学者による「国際経営という旅のガイドブック」。
・経営学という「学問」であるため、止むを得ないところかもしれませんが、抽象論が多く、実際の業務で直接役立つという部分は少なかったかもしれません。
・一方で、視野・視座というところでは、ヒントになるような部分も多かったように思います。
■原材料から最終製品に至る価値連鎖の中で、力を持つことができるのは誰なのか。
■グローバル統合への圧力とローカル適合への圧力のそれぞれの強弱で、取り得る戦略の方向性が異なる
などなど。
・少なくとも、自分自身の知見がまだまだ不十分だと思い知らされるきっかけになりました。