琴坂将広のレビュー一覧
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『新興国の企業が、多様多種な手段を駆使して引き抜きにかかる現状において、競争力の源泉たる「グローバル統合に対応できる人材」を、集団としてのつながりや、日本人としての責任感というような、重要ではあるものの、弱まりつつある日本独自の価値観のみで縛り続けることが、果たしてこれからも持続可能なのでしょうか。
国際的に競争力のある人材に対して正当な対価を与えることができないのであれば、正当な価値を与えることができる企業に人材が流出するのは当然の成り行きにも思えます。』
非常に勉強になった一冊。
「グローバル統合に対応できる人材」と「ローカル適合を実現させる人材」の違いに納得。
日本人で、日本語が出来て、日本文化を理解して、英語がそれなりに話せて、少し海外経験がある人材は、後者でしかなく、前者にはそう簡単になれない。この違いを日本企業が明確に意識して人材獲得競争に本気で臨んでいるようには思えない。という筆者の意見にものすごく納得。 -
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ネタバレ今をときめくスタートアップ起業家達の立上げ時や黎明期の苦労話を取材によって解き明かした本。著者は、Yahooグループのベンチャー投資ファンドであるYJキャピタル代表の堀氏である(他2名の凄い経歴方との共著でもある)ことから、その立場からしか知り得ない貴重な経験談が満載となっている。
本書で扱われている主な企業とサービスは、いずれもTVCMやネットで話題となっている企業ばかりである。
- メルカリ
- BASE
- ビズリーチ
- グノシー
- SPEEDA
- クラシル
起業の成功方法を一般化することは難しいが、経験者から学ぶ事を放棄する事は愚策である。本書は優れた起業家達の姿を間近で見てきた第三者が客観的にまとめた本であり、よくある成功者の自慢話に溢れたものではない。むしろ失敗談やそこからどう這い上がってきたかといったサバイバルのケーススタディと言って良い。起業を目指す人達にとって本書は必読書だろう。
以下、印象に残った文
◆ 優れた起業家の特徴、アイディア出しと検証を高速で回している、1つ目のアイディアで当たる人は殆どいない
- クラシルの堀江は当初フードデリバリーサービスを企画しVCにプレゼンしたが投資は見送られた。その後同サービスはピボットし、動画レシピサービスのデリッシュキッチンを始めた。
◆ 誰も気付いていない顧客獲得方法の発明 (既存の広告を使うと競合と同じ料金表を見る事となる)
- フリルの堀井はFacebookの広告管理画面がまだ英語で国内代理店がまだ扱っていない時代に法人アカウントを開設。自前で手作業により広告を運用しCPA8円で獲得に成功
- サイタの有安は、チラシを2000枚配ったが成約はゼロ。ロングテールのSEOで活路を見つけた。ドラム スクール 渋谷 初心者 というキーワードで1ヶ月に10人の申込みがあったという。
◆ なぜ自分たちがその課題を解決できるかを簡単に説明できる事
自社がリプレースする市場の以下を説明する
TAM: Total Addressable Market
SAM: Serviceable Available Market
SOM: Share of Market
課題解決のプロセルが複雑だと投資は見送られる
◆
MAU: Monthly Active User
WAU: Weekly
DAU: Daily
ビズリーチの南さんは、創業時に人集めに苦労したという。モルガン・スタンレーや楽天球団で活躍したのだから、順風満帆の起業だったのではと思っていたが意外にそうではなく、他の起業成功者達と同様、初期は苦労をしたという。そこで思いついたのが「草ベンチャー」という言葉だ。メンバーはそれぞれ平日は仕事を持っているが、週末になると集まって野球をする草野球のイメージで人を集めたという。 -
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経営戦略について、社会科学としての普遍的な法則性の面と、実学としての最適な処方箋の面と両面で書かれている。経営戦略が作られてきた、変わってきた歴史から学べる点が勉強になる。
戦略策定においては、商品や業界のニーズの変化の歴史を追っていくことが大事であるが、その中で作られてきた経営戦略の歴史も理解できるという点で有効であると考える。
学びメモ
・現代の戦略は必ずしも人間の完全合理的な判断を前提にすることもなく、外部要因と内部要因の論理的な検討のみで編み出されるものではない。人間的な要素が盛り込まれ、感情などの不確定性の高い要因が影響を与えることもある。
・戦略は、実行される前に計画立案されるものであるとも限らず、実行の中から次第に形作られるものでもある。創発的戦略。
・プロイとは戦略を目の前に直面する競争相手とのやり取りの中から決定していく戦略策定のあり方、読み合いのゲームにおいて意思決定者のバックグラウンドや突発的な要因だ方向性が左右されることもある。
・一つの産業内にも、その行動特性ごとに異なる企業の集団があり、そのグループは別の競争構造に置かれる。同じ産業構造の中でも企業のポジショニングによってパフォーマンスは変わる。特定のポジションを選択し移動障壁を作ることで優位性を見出すことが大事。
・参入を試みる企業が産業内やグループ内の企業と同じ戦略を実行することができない状態を作る必要がある。
・BSCは、財務、顧客、業務プロセス、学習と組織の視点に注目し、その作成の過程を通じて戦略の方向性を伝達する、戦略は連続した手続の一つのステップである、戦略が財務の視点のみならず、顧客の視点、内部ビジネスプロセスの視点、学習と成長の視点と論理的に因果関係が接続される。
・リーンスタートアップの三つの要点、事業モデルに紐づくし仮定や前提条件を構造化して理解する、創業期においてはその検証へ中略する、顧客を巻き込み市場で行う。ビジネスモデルキャンパスという戦略フレームワークを活用すると、前提条件を設定しなければならない要因について整理できる。
・ビジネスモデルの探索の段階が目指すものとしてプロダクトマーケットフィットを目指すのが大事だが、その構造を発見するために、プロブレムソリューションフィットを見出すのが定石。
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Posted by ブクログ
起業のお勉強。
多くの起業家が「社長の仕事は雑用です」と言う。創業者以外のメンバーは明確な役割を期待されてチームに加わっているため、与えられた役割を全うすることに一生懸命になる。結局、最後の頼みの綱は社長なので、社長自らが役割を限定しないことが重要だ。
共同創業者がプログラミングしかできない人であれば、社長自らが法務局に行って登記をしないと会社は始まらない。お金もなく、採用ができない内は、最終的に、社長が能力の有無の関係無しに手を動かさなくてはならない。
財務、経理、人事、労務、法務、総務、庶務などのすべてに、それらの設計と運用がまだ複雑ではないこの時期に関わることは、経営者としての成長につながる。
ビズリーチの多田(現ビズリーチ社長)はリファラル採用成功のポイントに次の3点を挙げている。
1 トップの熱量(自ら率先して行動することで、全社員がリファラル採用に主体的に参加)
2 数値の可視化(ランキングなどを導入して、社員同士が楽しみながら競い合う)
3 表彰制度(全社に対する貢献として表彰する。副賞として学習支援補助を出すなど)
本章の冒頭に紹介した、Appleのスティーブ・ジョブズの言葉にもあるように、優秀な人材は優秀な人材を紹介する。このポジティブ・スパイラルを構築できるようになると採用力は格段に高まる。自社のことを愛する優秀な社員が、さらなる優秀な仲間を集める。このループの構築をせびとも目指してほしい。
ミラティブ 赤川
「大前提として、今は "プロダクトの時代" だと思っています。ユーザー体験が悪いモノを作って勝ち続けている企業は世界にほぼ存在しない状態になってきているし、いいモノはスモールチームでもメガスケールする事例がここ10年でもたくさん出た。たとえば、WhatsAppは社員4人で10億ユーザーを抱えているし、Facebookだって一人から始まった。なので、創業初期から、もっとも重要視するべきはユーザー体験を作れるプロダクト人材だという思想でチームを作っていきました」
「採用面接の最初によく『人生、どうですか?』と聞きますね。これはアイスブレイクなんですけれど、回答でその人の人となりや、現状への不満や向上心・野心の度合い、人生に何を求めている人なのか、ということがわかったりします。あとは、いろいろ話して打ち解けた後に『ところで○○さんには闇(の部分)はありますか?』という質問をすることも多いです。
面接っていいことばかりを言いがちなんですが、なんだかんだ人間って甘える部分・弱い部分とか、自分が嫌だと思うポイントがあるじゃないですか。正直に自己開示してくれる人は信頼できるしミラティブに合うなと思います。闇が深い回答をしたらダメだというわけではありません。コンプレックスがエネルギーの源泉になっている人もいる。少しでも本音に近づいて相性を見たり、組織全体のバランスを取るために、この質問をしています」
ユーザーヒアリングでは、回答する側は思ったこと・感じたことを素直に答えるように求められる。しかし、ヒアリング相手が家族や友人であれば否定的なことは言いづらくなるものだ。また、口では「便利」や「使いたい」と言っていても実際に使わない・購入しないケースはごまんとある。顧客の声はアイディアを創出する際のきっかけとしては活躍するが、アイディアの検証には役立たない。
アイディアの検証時に見極めなくてはいけないなにより重要なポイントは、実際にお金を払ってプロダクトを購入したり、サービスを利用してくれるかどうかの「課金ポイント」。そして既存プログクトやサービスに戻らず、新しい自社のプロダクト・サービスを使い続けてくれるかどうかのリピートポイント」だ。
サイタの有安は、初月の利用客がたったの10人しかいなかったが、翌月継続率が100%だったことから勝負に出ることを決めた。継続率がもっともカギになる変数だという仮説があったからこその判断だった。
Pairsの赤坂は初日で20人、1ヶ月で1.5万人のユーザーが集まりはっきりと手応えを感じた。
それぞれクラシル、サイタ、Pairsのサービスにたどり着くまでに、各社でボツになったアイディアは山ほどある。ただし、起業家の誰もが、最後のアイディアにたどり着いたときには「今までにない感覚。これはイケると思った」と口を揃えて言う。まさに電流が走るような感覚だ。
すでに紹介したZOZOTOWNでは、ツケ払いというサービスをリリースしたことによって、今まで購入したくても購入できなかった層を取り込むことに成功した。リリース記事によれは、開始10ヶ月でツケ払い利用ユーザーは100万人まで拡大したそうだ。
CACを下げる方法は3つに分類される。
1 ターゲット顧客に限定したアプローチを探す
2 Non-Paidを活用する
3 誰も気づいていいない獲得方法を発見・発明する
デリー 堀江
「30億ぐらい資金調達するまで、僕が自分で広告運用画面全部いじってましたからね。だからこそ、CPIの下げ方や、ユーザーの獲得の仕方に死ぬほど詳しくなっていったんです。多分そのとき、僕は10分に1回ぐらい広告をチューニングしていましたね。『CPIが一瞬高くなったから、こいつ落として』みたいな。デイトレーダーみたいに、夜中じゅう張り付いてやってましたね」
「広告の入れ替えって、1時間遅れるだけでCPIが10円変わったりするんですよ。1円でも1000ダウンロードだったら、1万円じゃないですか。昔(前フードデリバリーサービスにおい て) 1万円稼ぐのに、どれだけ大変だったか。だったらCPI下げようぜって思う。いまだにケチな精神が根付いていますよね」
メルカリ 小泉
「事業はよくクルマに喩えられます。プロダクトとマーケティングが両輪で、ハンドルを持っているのが人、マネジメントチームです。そしてファイナンスはガソリン。ないとクルマが走らない」 -
Posted by ブクログ
500ページにもなる分厚い本だけど、事例も豊富でとても読みやすかった。
スタートアップや企業に興味がある人にはお勧めできる本。
コンサル出身の大学の先生と有名コンサルの息子で今はVCで働く二人が
スタートアップ成功の普遍法則と有名起業家のコメントをもとに機能的に補足した内容です。
結構、有名起業家の事例が多くて、ふわふわした一般論だけでなく、
具体的な内容に踏み込んでいてとても参考になります。
個人的に意外だったのが、成功した起業家は、
結構海外の事例や競合の事例をリサーチして調べているということ。
自分のプロダクトやサービスのトライ&エラーに時間を使っていると思っていたのですが、
それだけじゃなかったのはよい学びになりました。
今このご時世で起業したいなんて稀有な人は中々いないのかもしれませんが、
そういった人には北極星となって道を照らしてくれる本かもしれません。 -
Posted by ブクログ
課題を感じてたとしても、お金を払わないことが
たくさんあるというのがめちゃくちゃ腹落ちした。
これ意識してフィジビリするか本当に大切。
メモ
・自らが戦う領域において、誰よりも詳しくなるまで情報収集をしていた
・とにかく海外の事例を見続ける
・MVV浸透のために、普段から口にできるように会議室名にする
〇仮説の検証方法
2つの不発
・課題を感じてても、お金を払う人がいない
・市場が大きくても、解決するセグメントが小さい
・構想段階のアイデアを利用するかどうかについて、
顧客の声を聞くことに意味はほとんどない
→実際にサービスを使うかで検証しないといけない
・必要最低限のプロダクトで検証する
Omiaiで課金するユーザーがいることは知っていたので
スマホのUI設計に特化させたフィジビリをした
SPEEDAの場合は、新しい付加価値なので
本当にお金を測ってくれるかをまず見極めた
・既存サービスを使って検証できないかを考える
・必ずベンチマークの企業がいるので、何が何でも情報を取る
・自分がやりたいかどうかもとても重要な指標 -
Posted by ブクログ
企業倫理が未来を変える
グローバル企業の経営について書かれた本。
「企業倫理が未来を変える」という章は新鮮であった。
その章では、ヨーロッパに展開するスターバックスの節税スキームが記述されていた。三つの国をまたいでビジネスをする事で税を回避するという話である。これは倫理的に正しくない事であるが、相対的な判断しかできないこともある。例えば、先進国側から見たら間違っているが、発展途上国側から見たら正しいという場合である。Appleの例では、端末製造の下請けとして中国の労働者が雇用されていて、その人たちは先進国の人からすると、刑務所の様な所で生活している。しかし、現地の人からすると仕事や住む場所が与えられて、満足しているという例だ。価値基準が異なる国や地域で事業を行なっている場合、企業自身による自制が求められると感じる。