生田武志のレビュー一覧
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大阪市西成区でホームレス問題に長年関わっている著者が記したルポタージュ。ホームレスと日雇い労働は切っても切れない関係にあるが筆者も日雇い労働者としての経験があり、現在は日雇い労働者を支援する側として働いている。
ホームレスに対して「よく言われるセリフ」にも根拠を示した論理的な説明がなされている。
「みんなが使う場所にいるのは迷惑だ」→世の中には公有地か私有地しか無い。行き場のないホームレスが公有地に野宿するのは必然。
「家に帰ればいいのでは」→家族の絆が切れているためにホームレス化、もしくはホームレスになると同時に家族の絆が切れる。
「福祉に相談に行けばいい」→福祉事務所はホームレスに対して十 -
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丁寧な描写で野宿者の実態が非常によく理解できた。また、実体験に基づく内容であるだけに、これからの対応策に関する提言も非常に説得力のあるものだと感じた。
この本を読んですぐ自分に何ができるというわけではないかもしれない。しかし、少なくとも今まで持っていた野宿者の人達に対する間違った情報、思い込み、偏見などは改善することができるのではないかと思う。積極的・能動的に活動を起こすことはできないかもしれないが、今後例えば子供たちとこうした社会問題について話す機会があった時、あるいは何らかのかたちで野宿者の人達との接点が生じた際に今までとは違う言動をとることができるのではないかと思う。
・市場の失敗、国 -
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ワーキングプア、ネットカフェ難民、不安定雇用など様々な問題が取り上げられ、どんどん深刻化している今の世の中だからこそ!いつどんなきっかけで、この「最底辺」に陥ってしまうかもわからないため、決して他人事では済まされない、明日は我が身です。なんとこの著者は同志社大学の学生である頃から、大阪の釜ヶ崎で野宿者支援活動に長年携わっている。支援する側にまわるだけじゃなくて、自らも釜ヶ崎の日雇い労働者になり、野宿者と同じ生活を送るという経験もしている。すごい行動力・・。そんな著者の渾身ルポタージュ。読み応えは抜群。衝撃的なデータやエピソードが満載。夢中になって読みました。
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この本を読むまでは、路上生活者は気楽な自由人で、
一日寝て、のんびりとした生活を送っていると
思っていたが、思い違いをしていたかもしれない。
野宿をしている人が何気ない人から、理由もないのに
暴力を振るわれて、生命を失い、また、不貞になることもあり、また、不貞になると、野宿から抜け出すことが難しくなる。また、生活保護も役所から、なかなか、受けることができず、最終的に路上で、命を失うこともあることが分かった。しかし、でも、新宿の動く歩道で、浮浪者がたむろして、においがすごくて、地下道を歩く人も少なくなり、スラム化しつつあったので、天幕の撤去は、今では、正しかったと思っている。それら、野宿の人は、 -
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ネカフェ難民 寄せ場 ホームレスとhomeless(意味が全く異なる) 釜ヶ崎 シモーヌ・ヴェイユ ドヤ街 コンドラチェフの長期波動 釜ヶ崎暴動(1961) 結核(釜ヶ崎は世界最悪の感染地とも呼ばれた事がある) シノギ(路上強盗) みやうち沙矢『勉強しまっせ』(西成について差別的な説明がなされ、話し合いの場が生じた) 加藤組(かつて存在した暴力的な土建会社。同様の会社に山梨県の朝日建設がある) カイザ南津守(建設中に崩壊したマンション) アスベスト除去 アジアンフレンド(アジアからの出稼ぎ労働者のための支援組織) 90年釜ヶ崎暴動 エコノミークラス症候群(車中に住んでいる人がたまになる) 『バ
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今、この本を読んでいる私だって「貧困」に陥らないと断言はできない。
様々な条件が重なれば、今の日本では、富裕層を除いては、貧困が自分の問題となるのではないか。
自分がそうなっては困るからという、ずるい考え方からでもいいから、貧困について、一人でも多くの人が関心を持っていけばと思います。
そしてまた、人とのつながりというものを大切にしていくこと、周りの人に心を配るということを心がけていきたいと思います。
西成区、あいりん地区での子ども達の実状が報告されていますが、本当に心が痛みます。
そのような現実がすぐ近くにある。
貧困の連鎖を止めるために、私は無力だと思う。
でも、だからと言って無関心で -
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[ 内容 ]
野宿者(=ホームレス)問題が深刻化している。
失業した中高年、二十代の若者、夫の暴力に脅かされる母子。
いま、帰る場所を失った多くの人びとが路上生活に追い込まれている。
他方では、多くの若者がフリーターや派遣社員として働いている。
その数およそ400万人。
遠くない将来、彼らも「若者」ではなくなる。
そのとき、社会はどうなるのか…。
大阪・釜ヶ崎で野宿者支援活動に20年間携わってきた著者が、野宿者とフリーターの問題を同じ位相でとらえ、日本社会の最底辺で人びとが直面している現実を報告する。
「究極の貧困」を問うルポルタージュ。
[ 目次 ]
はじめに 北海道・九州・東京、その野宿 -
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またこの手のテーマの本を読んでしまいましたがこの際ふっきれました。「貧困」「格差」を極めていこうと思います。これでゼミ論も安泰です。藤村万歳(笑)この著書は著者が大学生のときからフィールドワークをしてきた大阪の釜ヶ崎の野宿者に焦点を当てた質的調査の本、ルポルタージュである。釜ヶ崎は日本最大の寄せ場であって全国の1/4〜1/3ぐらいの野宿者がいるのでフィルドワークには最適だったんだなと思った。このテーマを極めたい僕としては在学中に1度ぐらいは行ってみたいと思う。その釜ヶ崎では病気が貧困に繋がり貧困が病気に繋がる悪循環の発生、「野宿者は普通の人とは何か違う」という偏見に悩む人、日雇い労働が建築や土
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あいりん地区や釜ヶ崎という地名を聞いても、遠くに住む人にはあまりピンと来ず馴染みがない。そうした場所がどんな様子かは、ニュースや本を通じて想像するものの、実態はどうなのだろうか。
本著はホームレスの実態を取り上げたルポだが、著者自らホームレス体験をした上で、ホームレスに好意的な立場から書かれている。これらの人に対し、自己責任論を押し付けるのは間違っていて、これは椅子取りゲームの結果としての構造的問題だろうと。
しかし、個人の感想として、やはり自己責任論は拭えない。ホームレスの状態を、誰にでも起こりうる仕方ないものと100パーセント言い切るのはおかしな論理で、それが正しいならば、窃盗なども、