辛島昇のレビュー一覧
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小学生のいじめみたいな事が国家的に行われてるって怖すぎるし、差別、偏見、いじめって本能なんだよね。こういう事は人間の本能のどこかにあるんだよ。いじめる方が悪いみたいな綺麗事では済まないよ。人間の理想とか綺麗事しか言わない左翼が大嫌い。
辛島/昇
1933年東京に生まれる。南アジア史を専攻し、東京大学・マドラス大学大学院に学ぶ。現在、東京大学・大正大学名誉教授。著書History and Society in South India(Oxford University Press)により日本学士院賞受賞。文化功労者
大村/次郷
1941年旧満州に生まれる。多摩芸術学園写真科・青山学院大学卒業 -
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本書は複雑なインドの歴史が、文庫本の少ないボリュームで簡潔にわかりやすくまとめまれています。主要な王朝と地方勢力の流れだけではなく、その背後にある文化の移り変わりを結びつけて解説してくれるので驚くほど理解しやすいです。
しかし、それでもやはりインド史は捉えにくいです。ヴァルダナ朝まではまだ北インドの覇権王朝の流れがイメージしやすいですが、ムガル帝国までのラージプート諸王朝とデリースルタン朝の時代はまさに混沌としてます。群雄割拠の戦国時代が700年も続いてるイメージです。ムガル以後も、実際は地方勢力やイギリスが絡んで一筋縄ではいきません。
この多様な地域と文化をみると、イギリスの支配に立ち向 -
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インドの多様なトピックが15章に分けて書かれていますが、どれも分かりやすくて面白いです。民族、カースト、宗教、結婚、歴史研究、カレー、芸術など、気になる話題が少し変わった視点から解説されるので引き込まれます。
以下、個人的に気になったトピック。
事前にラーマーヤナの再話本を読んで、地域や時代によるバリエーションの多さについては知っていました。そのように固定した解釈がないことから、宗教対立における主張への見方が変わるよね、という視点が面白かったです。
カースト制度はいろんなところで解説されていて、理屈ではなんとなく理解しているつもりですが、実際にインド人の生活にどう影響しているのかは見えに -
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放送大学のテキストをそのまま文庫化したそうだが、文章だけでも非常にわかりやすく読みやすい。放送大学は働いたり子育てしながらの学生さんが多いだろうし、うっかり放送を見そびれてもきちんと読めば判るような教科書を作るようにしているのだろう。
南インドを中心にインドの文化について語られる。結婚相手を探す新聞広告から現代の身分制度を考え、その次の章(回)ではインダス文明の話と、章ごとに完結しており様々な観点で飽きない。一章=講義一回分とボリュームが定まっていて、疲れない程度でひとつの話題が納まる。空いた時間に少しずつ読むのにも向いていると思う。
映画産業と政治のつながりも予想外だったし、ローマ帝国の滅 -
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この本は、まったく難しい本ではない。
著者の体験と、各地方の“カレー”の特色、そして簡単なレシピが掲載されている。
各地方の“カレー”は、同じ名前で括っていいのかと思うほど多様。材料も違えば、見た目も違う。
そこに著者は、それぞれの特色がどうして生まれたのかを歴史的・地理的な背景を含めて説明している。ここがこの本の最大の魅力だと思う。
例えば、ヴィンダールーというワインビネガーをふんだんにつかった料理は、もとはポルトガル料理だとのこと。
その背景には、この料理が生まれたゴアという都市が長らく(1961年まで)ポルトガルの植民地だったことが大きく関係している。
その歴史が無ければ生まれ得なか -
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ネタバレまさしくインドを知るためのとっかかりとしては良い本だ。
インドは海のシルクロードの中心に位置し世界から集まったスパイスがカレーとして南インドから北部に広まり、北からインドに入った遊牧であるアーリア民族が乳製品を持込んだそうだ。菓子やスナックの名称にその名残が残されており、辛いものはドラヴィダ語、甘いものはアーリア語に由来すると。遊牧民であるアーリア人がインドに入ったのが紀元前1500年頃、海のシルクロードは紀元13世紀以降(マルコ・ポーロ以降)だ、なんとも気の遠くなる話だ。
さて、インドもイギリスとフランス、当時の帝国主義の争いに翻弄される。そんな祖国を憂い、マハトマ・ガンディーが立ち上 -
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インドについて、主として文化面からトピックを取り上げ、その多面性を語った入門書である。
『ラーマーヤナ』について考察する第1章から始まり、続く各章では、多言語国家インドにおける言語と民族の関係、カースト制度の具体的内実の解説、新聞の求婚広告から窺えるバラモン社会の流動化の様相が説明される。第5章からは、インダス文字とその解読作業について、寺院壁の刻文研究、インドとスリランカの仏教の歴史、デリー・スルタン朝とムスリムについて、それぞれ論じられる。
第9章は、東西交流の海上ルートの中継地として発展した南インドについて、第10章はカレー、第11章は西洋画の衝撃への反応として共通の環境下にあっ -
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専門家が、自分の学問とかその周辺のことについて、素人にわかりやすく語る、という私の好きなパターンの本。著者の専門は南アジア史だそうで、インドのカレーについて紹介しつつ、インド文化についてもわかりやすく語られている。平易な語り口だけど、深い専門性がにじんでいて読みごたえがあった。
本書には「東アジアを飛び立った飛行機が、ミャンマーとインドとをへだてるアラカン山脈を越えれば、そこにはちがう世界が出現する」というくだりがある。著者は若い頃研究者として、奥さんと幼い子どもとともに数年間インドに滞在し、二人目の子どもはインド生まれだそうだ。異国の地、しかもインドという「ちがう世界」で、さぞいろいろな苦 -
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