水谷千秋のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
武烈天皇が跡継ぎを残さずに死んだあと、畿内を遠く離れた近江・越前を拠点とし、「応神天皇五世の孫」と称する人物が即位した。
継体天皇である。
この天皇にまつわるさまざまな謎―血統・即位の事情、蘇我・物部・葛城などの大氏族との関係、治世中に起きた「筑紫君磐井の乱」との関わり、「百済本記」に記録された奇怪な崩御のありさまなどを徹底的に追究し、さらに中世の皇位継承にその存在があたえた影響までをも考察した、歴史ファン必読の傑作。
[ 目次 ]
第1章 継体新王朝説
第2章 継体出現前史―雄略天皇、飯豊女王の時代
第3章 継体天皇と王位継承
第4章 継体天皇の即位と大和定着
第5章 磐井の -
Posted by ブクログ
継体天皇の父祖の系譜を近江の古墳の考古学の成果を受けて比定し、応神天皇の子孫がいかに近江に根を張り、土着していったかを明らかにした。また継体天皇の大和入りに年月がかかった理由を東大和と西大和の豪族の対立があったからだと考え、具体的には反対勢力の葛城氏が没落し蘇我氏が取って代わった為、大伴、物部といった東大和の豪族に擁立された継体天皇が大和に宮を構えることができた。この考えは面白い。何故、蘇我氏が葛城氏に代わる形で歴史の表舞台に出てきたのかが納得いく。五経博士のくだりも面白かった。ただ対外的な部分や磐井との関係、秦氏との繋がりなどは引っかかるところもある。
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Posted by ブクログ
大和朝廷の歴史に燦然と異彩を放つ継体天皇。
今までの大和育ちではなく、近江の国に生まれ即位後も20年かけて大和に入る事ができた彼の生涯とその歴史的意義を解き明かしていくとても興味深い本です。
記・紀に記されている事とその裏側にある思いを読み解きながら継体天皇が即位する事になった理由や彼の権力構造、そして彼の即位が後の武家政権による天皇擁立につながっていく事等、歴史の教科書からは読み取れない古代の実像がその元になる出典と著者の解説でわかりやすく書かれています。
地方の時代と言われている現代に地方から中央に駆け上っていった彼の事が注目されている中で入門書としておすすめです。