水谷千秋のレビュー一覧

  • 日本の古代豪族 100

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    古代日本の分散した権力の一端を垣間見ることができた気がする。本書では記紀を中心の出典としつつ、豊富な情報量で各地の豪族の記述を書き上げている。そのため、
    古代日本に興味のある方や飛鳥・奈良時代にかけての豪族模様を流れで理解したい方におすすめである。
    特に多くの地方豪族が大和朝廷に対し、幾度も戦いを挑んでいることに驚いた。記述に残っている話は天皇支配体制確率後に編纂されていることもあり反乱とされているものが多い。しかし実際には反乱ではなく、より対等な立場同士での権力闘争であったということが示唆されている。
    現代に伝わる書物が少ない分、古代史はロマンがあると個人的に思う。古墳時代に興味を持つととも

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    2024年02月26日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    タイトルから「教養」について語っている本かと思ったが、「人類史」の方を語っている分量の方が多かった。教養としての人類史というところ。歴史についてこのぐらいのことは知っておけよ、という意味での教養か。
    特に新しい知見を得たりはしなかったし、厳密な意味で正しいかというと微妙な書き方の部分も多かったが、歴史を大掴みにするにはちょうど良く、大学の一般教養で教える内容としては十分なのではないかと思った。

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    2024年02月12日
  • 継体天皇と朝鮮半島の謎

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     古墳時代の六世紀、遠い血縁、地方の出身と言う背景にもかかわらず、大王となった継体天皇。
     なぜ継体天皇でなくてはならなかったのか。どのような勢力が継体天皇を支持したのか、と言う問題を通じて、朝鮮半島と日本列島にまたがって活動していた、当時の有力者達の姿を説明する一冊。
     河内馬飼首が渡来系の豪族ではないかとか、江田船山古墳の有名な鉄剣には、筑紫君磐井を中心とする有明の豪族連合を牽制する狙いがあったのでは、などなど。言われてみれば…… と言う話が多く、興味深い内容でした。

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    2025年11月20日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    人は古来から自らに問いを投げかけてきた。「私とは何か」「世界はいかにあるべきか」。これらの問いは哲学者だけでなく詩人や宗教家、科学者たちによっても考えられてきた。東西の知恵、古代から現代までの思考が交差し私たちが今抱く疑問がすでに歴史の中で問われてきたことを教えてくれる。問いを重ねることで私たちもまたその連なりの一部となる。過去の思索に触れることで私たちの内なる問いもより深まる。問い続ける姿こそが人間らしさの証なのだろう。

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    2024年12月13日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    著者は日本古代史が専門。人類の進化、神話・宗教・文明の誕生、精神革命、人類史の構造、現代史といったテーマを概観している。

    司馬遼太郎は太平洋戦争中に兵役につき、なぜ日本がこのような戦争を起こしてしまったのか、国民の生命を軽視する陸軍がどうして生まれたのかという疑問に答えるために、終生学び続けた。

    神話は、この世界がいかにして生まれたのか、我々人間がこの世界でいかに生きて行くべきかを教えてくれるもの。神話の役割は哲学が引き継ぎ、文学、絵画、彫刻、音楽など、あらゆる芸術作品のイメージの源泉になっていった(野田又夫「哲学の三つの伝統」)。

    柄谷行人の交換様式論
    交換様式A:贈与とお返しの互酬の

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    2024年12月07日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    大きくは歴史の観点で過去の偉人や知識人らの思考をさらっと辿る本。それぞれ名が知れた著名人ではあるものの、どういう社会的文脈の中で何に影響を受けてどんな言葉を残したかが知れるため、今後読んでみたい本の目星をつけるのにとてもよかった。

    J.Sミルの“the deeper and more varied interest you will feel in life” は真理をついた言葉だなと感じた。

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    2024年05月04日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    知の探求とは何か?それは何の役に立つのか?
    それを読者に考えてもらおうと、材料を提供してくれる書なのかと思いながら読み進めた。

    知の欲求に囚われたような巨人がいる。
    身近な人として、立花隆、司馬遼太郎、井筒俊彦、松本清張が紹介されているが、古くはBC500年、あるいはBC800年からBC200年頃、中国、インド、ペルシア、パレスチナ、ギリシアにおいて、時を同じくして偉大な思想家による現代にも通じる思想が生まれた。これを枢軸時代と名付けている。

    人類の進化を動物と比較しながら、いかにヒトとは特別な存在なのかを表し、そのヒトは宗教・哲学・芸術、そして科学を生み出してきたと話しを進める。
    しかし

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    2024年02月18日
  • 継体天皇と朝鮮半島の謎

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    その血統に???がつく第26代継体天皇。それまでの仁徳朝がいったん途絶えた後、はるか5代前まで遡って「ぢつは親戚だよ〜」とやってきたストレンジャー(もちろん大伴氏、物部氏のバックアップあってのことだけれど)にいったいどんな強みがあったのかを、朝鮮半島との関係を鑑みながら書かれた本。

    学校の日本史の時間では、この時代には任那という日本のテリトリーが朝鮮半島にあり、継体天皇はそれを失ったことになっている。

    けれどこの本では、そもそも継体天皇がベースとしていた(今の)琵琶湖北岸、東岸には鉄器等の外来文化が強く根づいており、彼の重要な経済的地盤となっていたこと、そしてさらに琵琶湖から桂川経由で(今

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    2023年12月17日
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?

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    自分をメタに、つまり今在る周囲からではなく、世界から人間の1人として見つめると、自分の"病み"もどうでもよくなるし、客観的なものになり、なすべきことが見えてくる(気がします

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    2023年12月08日
  • 日本の古代豪族 100

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    日本古代の豪族100についての事典。記紀を中心とした起源伝承、主に奈良時代頃までの史書に登場する一族とその事跡、基盤とした土地や職掌といった事項が列挙されている。知らない氏族も結構あったので勉強になった。

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    2023年06月29日
  • 日本の古代豪族 100

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    古代豪族、氏族、氏姓などの変遷に絡めて概説し、古代豪族について中央、地方、渡来系などに分けて網羅的に個別に記載されています。
    辞典的な感じのする本です。

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    2023年05月06日
  • 日本の古代豪族 100

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    まずは「概説 -古代豪族とは何か」で全体像をおさえられるので、続く各氏を個別に取り上げた部分についても入っていきやすい。
    考古学の成果も重要な点は最低限紹介しているので、文献史学の世界だけで通用する論理にとらわれることなく理解しやすい。
    それぞれの集団に祖先伝承があり、盛衰があり、政争への関与があり…とドラマチックな面も見れるので、単に勉強になりますってだけでなく、新書として、読み物としてのたのしさも感じられると思う。
    本文中で「誰それの説」と名前をあげているところは巻末の参考文献リストで具体的な論文名がわかるようになってるのかと思ったら、漏れてるものも結構あるのは惜しい。

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    2022年10月15日
  • 謎の大王 継体天皇

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    中世以降、問題のある皇位継承が起きるたび、「このような先例もある」と引き合いに出される天皇がいる。その名は継体天皇。皇位継承者が居なくなる異常事態を受けて、はるか地方、はるか遠縁から、群臣に乞われて即位した天皇。その継承の異常さから皇位の簒奪者との説まであるこの人物、しかしその伝承はどこまでが真実なのか? 古事記、日本書紀その余の文献を検討しながら、継体天皇の真の姿を推定する。やや古い本ですが、同著者の本を読むための基礎として。

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    2020年11月21日
  • 継体天皇と朝鮮半島の謎

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    継体天皇は朝鮮半島から渡来した王位簒奪者だったっ!
    なんていうトンデモ本ではなく、『古事記』『日本書紀』を
    読み解き、古墳や出土品から継体天皇のルーツを
    探るというとっても真面目な本である。

    皇統から限りなく遠い応神天皇5世孫である継体天皇が
    何故、天皇として即位することになったのか。

    朝鮮半島からの渡来人と、地元の豪族との住み分けが
    なされていた土地での渡来文化の普及等、興味深い
    話ばかり。

    継体天皇のことがもっと分かれば、現在の皇室に繋がる
    流れも判明するんじゃないか?あ…もしかして、何か
    都合の悪いことがあるのかなぁ。

    しかし、いかんせん読んでいる私に古代史の知識がないっ!
    あ…

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    2017年08月19日
  • 謎の大王 継体天皇

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    王朝交代説もある謎の大王、継体天皇とはどのような人物だったのか。即位の経緯や出身母体などを探ることで、古代社会の考え方や大王のあり様が見えてくる。エキサイティングで興味深い内容だった。特に、その後、継体天皇の故事を引いて、天皇の即位を配下が決められるようになったという指摘は、古代の出来事がその後の歴史に大きなインパクトを与えたという鋭い観察だった。

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    2016年03月17日
  • 継体天皇と朝鮮半島の謎

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    古代史にはそれほど興味はなかったのですが、本書は面白かったのであっという間に読み切ってしましました。本書では継体天皇という謎の大王とその継体天皇の出自や支持勢力についての考察が書かれています。本書の著者、水谷さんは古代史が専門で過去に「謎の大王継体天皇 (文春新書)」、「謎の豪族 蘇我氏 (文春新書)」などの著書を世に送り出しています。まさにこの時代のスペシャリストといってよい方だと思います。それゆえに内容はかなりハイレベルで、想定される読者も日本の古代史についての基礎知識がある人だと思われます。しかし、僕のような門外漢でも興味を保ちつつ読み進めることができたのは、面白いトピックを織り交ぜつつ

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    2014年10月24日
  • 継体天皇と朝鮮半島の謎

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    『謎の大王 継体天皇』(2001年)の続編。
    前著と違って内容が各論的なのだが、専門的な難しさを感じさせない平易な文で読みやすい。

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    2013年09月25日
  • 謎の大王 継体天皇

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    出自がハッキリしない継体天皇について、論点を整理しながら進めていて読みやすい。エピソードも知らないものが多く、例えば、葛城氏の凋落と蘇我氏の台頭は、古代にあった下克上じゃないの。他にも、早くも、母系外戚による政治運営など知的好奇心が刺激された。

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    2013年06月25日
  • 謎の大王 継体天皇

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    ネタバレ

    武烈天皇が跡継ぎを残さずに死んだあと、畿内を遠く離れた近江・越前を拠点とし、「応神天皇五世の孫」と称する人物が即位した。継体天皇である。この天皇にまつわるさまざまな謎―血統・即位の事情、蘇我・物部・葛城などの大氏族との関係、治世中に起きた「筑紫君磐井の乱」との関わり、「百済本記」に記録された奇怪な崩御のありさまなどを徹底的に追究し、さらに中世の皇位継承にその存在があたえた影響までをも考察した、歴史ファン必読の傑作。

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    2013年05月01日
  • 謎の大王 継体天皇

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    ネタバレ

    古代史学者である筆者の研究成果がまとめられた本書。物語的な脚色はほとんどなく、歴史的文献の研究や考古学の知見から継体天皇の来歴や当時の政治状況についての推論が積み重ねられている。その意味で、読み手を選ぶ本ではある。
    単なる歴史好きでしかない自分が読んでみたわけだが、それでも興味をつないで読み進められる程度に話の流れは整理されていて、1つの読み物として成立している。最後の継体天皇の人物像についての筆者の見解には、長年の研究対象である継体天皇への愛情というか敬慕というものを感じた。

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    2012年12月22日