子供のころに読んだ小説。
当時はタツオや萩原さんのような大人になろうと思っていたけれど、実際に大人になってみると保雄が一番近いのかもしれない。
奥田にはなってないといいな。そう信じたいな。そう生きていきたいな。
>「夢を 叶える事よりも、夢を見る事で、人間は人間になれるんだっ、お前なんかに分ってた
...続きを読むまるかっ」
表題の『青空のルーレット』と『多輝子ちゃん』の二作品を収録。
前者は、夢を持ち、夢を見て窓拭きをする者たちの友情物語。
正しさや能力・才能には言及してないところがポイントかもしれません。何かを得るのではなく、心を開いてく作品だと思います。作品の清涼感が、時には冷静さを取り戻させてくれ、時には蟠りを吹き飛ばしてくれます。
『多輝子ちゃん』は、あとがきを見るに「青空派」の『青空のルーレット』と対照的な「星空派」の物語でしょうか。多輝子ちゃんが恋を知る物語。実は青臭いのはこちら。
どちらも夢そのものではなく夢が人(自身・他者)に与える影響を描いてるように思えました。都合の良い展開が目立ちますが、物語を締めるためであってハッピーエンドかどうかも本作にとっては重要ではないでしょう。夢を諦めた人、夢を見ている人、誰にでもオススメできる作品でした。
>「………人生はきっと、〝人生は何だろう〟って問われるために僕達に有るんじゃないのかな………」萩原さんは、そんな事を言った。 「………人生は、そう問われたくて、そこに有るんだろうと思う………それを問わずに生きていける人は、確かに幸福なんだろうけど、―――でも幸福は、それを問わずに居られない気持で生きている人の毎日の中にこそ、有るんだろう、と―――人生というのは、きっと、そういうものだろうと、僕は思ってるよ………」