辻内智貴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだか読み終わって甘酸っぱい気分になる作品だった。
清々しい気持ちだけじゃなくて、社会の厳しさとかも感じさせてくれる本。
あぁ、いるんだろうな、こういうやつ。奥田みたいな悪役。
ホワイトカラーの人間が立派ってどこかで私も思ってしまってるけど、夢を追いかけ続けることも格好良いなぁ。
私も悔いのないように生きたいと思った。
たきこちゃんも読んでいて幸せな気分に。
そうだよなぁ、思春期の子供の気持ちって大人はわかってくれないよなぁ、なんて思いながら。
お母さんになったら読み直したい作品。
まさかあの爽やかで幸の薄い男の子が死んじゃうと思わなかったから、新幹線で読みながら泣きそうになってしまった。
どちらも悲しくも爽やかなお話でした。 -
Posted by ブクログ
映画を観てから原作を読みました。
原作は思っていたより短くて、あっという間でした。
短編だからか、映画の中の核の部分があっさりしてて、ちょっと残念。
小説では、あっさりしてるのに映画ではあれだけの表現が出来るのはやっぱり映像ならではなのかも。
所々、映画と異なる部分アリ。
もう一つの話。「竜二」。
竜二は、兄弟の想いを描いた作品。
こっちも、生きるとは何か…というようなモノをテーマにしている。
お互いが一生懸命で思いやりを持ってるのに。お互いを理解してるのに。上手く表現できない。
思いやるって、素敵なことだけど、伝わらないのは辛いだろうなーと強く感じました。
★新しく築いてゆく何かがあればこそ、失ってゆく大切なものたちを見送ることも出来る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書を知ったのは、俳優としても実績のある伊勢谷友介さんが監督を務め、西島秀俊さんと森山未來さんが主演した同書原作の「セイジ〜陸の魚〜」という映画を見たのがきっかけでした。
先に、映画について書くと、二度観ました。
二度目に見に行ったとき、一緒に行った連れには、この映画をよく二回観ようと思ったね、と意味深なことを言われましたが。
いいとか、悪いとか、面白いとか、つまらないとか、そんな単純な言葉では割り切れないものがあって、とにかくよくは分からないけれどもかき乱されるような、引きつけられるような、そんな何かがある映画でした。
好みで分かれると思うので、人にお薦めできるかどうかは分かりませんが、とにかく映像と音楽が美しいです。
ストーリーの合間合間に、奥日光の自然がふっと写されるのですが、それを観ていると泣きそうになるくらい、綺麗でした。
映画全体が、キラキラ光るガラスのかけらを川の中で掌に掬いとったような感じ。
それが希少価値の高い宝石か、ただのガラス玉かなんて査定は大して重要なことじゃない、そう思える映画でした。
もう少し、このストーリーの出来た背景を知りたくて、買ってみたのがこの原作の小説です。
辻内智貴さん、という作家をそれまで知らなかったのですが、読み出してみると、面白いほどするっと違和感なく読めました。
文章が格別巧いという人ではないかもしれませんが、本人の人柄と独特な人生観のようなものが簡素な描写の中にも滲み出ていて、書かれたのはだいぶ前のはずなのに、小説自体はまったく古びた感じがしません。
映画よりも、ストーリー展開が言葉によるせいか、かなり各場面の説明が親切な気がしました。
それぞれの脇役の思いや主人公・僕のことも、セイジのことも、きちんと分かるように、書かれているというか。
なぜセイジが陸の魚なのか、というところも、祥子さんがきちんと説明してくれています。
映画は映画で良いし、原作は原作で良いなと思いました。
個人的には、『セイジ』はもちろん良かったのですが、同じ本におさめられていた『竜二』の以下の一節が衝撃的でした。
現実の世界に馴染めず、何をやってもだめで、これ以上生きていく理由を見つけられなくなった竜二のことを描写したシーンの抜粋です。
『底知れぬ虚無への埋めあわせの様に、せかいは時折、輝くようなうつくしさを、竜二に表せた。虚無は、或いは豊饒な何かと一体の者なのかも知れなかった。その豊饒さの中に立つ時、(〜中略〜)全ての意味が理解る気がした。自分は誰よりもこのせかいを知っているとさえ思った。このせかいの全てが、ただもう、泣きたい程に、いとおしかった。しかしそれが、自分に生活というものを続けさせる力を持っている訳でも、当然、無かった。』
こういう感覚で生きてきた人がいたのかと、衝撃でした。
自分だけではなかったと、思ったというか。でも、きっとそう思った人は沢山いたんだろうなと。
多くの人が思っていても、それを適切な言葉に起こせる人は少ないのではないかと思います。
どんなに世界が美しくたって、日常世界で生きていくということは、まったく別の次元にあるんですね。
切ないけれども、真理だなと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ併せて収録されている「竜二」は未読。
伊勢谷友介監督、西島英俊、森山未來出演、2月18日公開の原作ということで、本当は読まずに作品を見ようと思っていたが、本屋で出会ってしまったそれが、すでに映画版の表紙になっていたので思わず手にとってしまった。
原作はえらく短い。しかしながら、確かに、映像にするのはなかなか興味深い。原作を生かすか、殺すか。伊勢谷君のお手並み拝見。
気になっていた「ある出来事」を、知ることとなるが、
これをどうやって映像にしてくるのか、
いろんな意味で気になる。
本当は☆☆☆☆☆でもいいくらい、
わたしは「あり」
なぜだろう。すごく共感してしまうのは、わたしもある種の
「陸の魚」なんだろうか・・・
西島さんも、森山くんも、原作読んだ段階ではナイス配役。
伊勢谷君の力量に注目。
映画への期待をこめて今は☆☆☆☆★
これをTOHOでやるのか・・・なかなかやるな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今かなり見に行きたい映画、
『セイジ 陸の魚』の原作。
映画記念特別カバーも勿論いいんだけど、
やっぱり通常版の方が
セイジ にしっくり来る気がします。
一部抜粋
わしが思うに、そういう奴は頭が良すぎるのかも知れんなーーー」
「そういう奴って、誰よ?」とカズオさん。
「そういう、何もせん奴よ」
(略)
「わかんねえな。何で頭が良いと何もしなくなるんだよ。東大を卒た奴が皆んなグータラになっちまったらニッポンはエライ事だぞ、先生」
というカズオさんの言葉に、
「いや。そういうんじゃ無いんだ」
先生は、またプカリと煙を吐いた。
「わしの言うのは、つまりものごとが、見えすぎる、わかりすぎる、そういう神経を持った人間の事だ。感じすぎてしまう人間の事だよ」
そして先生は、こんな事を続けた。
「ものごとが、みえすぎる、感じすぎるというのは、これは、まあ、不幸、と言えば不幸であるかも知れんな。人間は或る意味じゃ鈍感だからやっていけるんだろう。だからこそ社会というものも成り立っていけるんだろうと思う。みえすぎる目で眺めてみると、この社会なんてのは汚れと欺瞞のカタマリなのかも知れない。不可解でやりきれないものの巨大なカタマリなのかも知れないな。それを感じてしまう心は、不幸だろうな」
ここまでは、友達と高校生の頃によく話したなぁって思う。世の中とか、人間とか、とにかく生きてる自分と他人とか、分かれば分かるほど落ち込むというか。
なんか、こんなことわかんない人はわかんないわけで、
気付かない人は気付かないわけで、
その方がよっぽど幸せなんじゃないの?
って思うんだよ、そう、幸せなのはどちらなのかな?って。
なんにも悩んだりしないでとりあえず騒いで見えないように深く探らないようにして
とにかく楽しく楽しく生きる上っ面の人生と、
いちいち疑問抱いちゃったり見て見ぬフリできなかったりして
とにかく悩むばかりの先の見えた諦めと妥協?というか変にそういったことに納得している人生と、
本の話からは逸れるけど、
こんな歌詞がある。
何も知らない方が 幸せというけど
僕はきっと満足しないはずだから
(『君は僕に似ている』See-Saw)
これが凄くしっくりくるというか、
どちらが幸せかはわからないけれど
私は知らないままでは満足できないだろうなっ。
ていう一連の流れを思わずにはいられない文章でした。
ただ、そのあとにこう続くのね
「・・・・・・・・・ただ同時に鈍感な者には見えないキレイなもの、ウツクシイものも、またそこには見えてくる事も有るだろう。それは逆に大変幸福だということも言えるかも知れない」
私が知る側でいたいと思うのはさっきも書いた通りやっぱり幸せになれるかじゃなくて
自分に向き合うというか逃げないためだったから、
そういう私にとってこの文書は斬新でした。
しかしそれも割合ではないかなとも思う。
いくらキレイなものに触れられる可能性が高くてもやっぱり苦しさのパーセンテージが多すぎたら潰れるんじゃないかな。
むしろたまに会えた綺麗なものへの衝動で全部捨ててしまいそうで怖い。
更につづいて引用したいところもあるけれど口説いので一言だけ。
『むきだしの孤独』
凄く適切で的を射た表現です。
知りたい方は是非読んで見てくだされヾ(@⌒ー⌒@)ノ
同時収録されている『竜二』も含め、
作者は散々、とことん、人間というものを突き詰めて考え悩んだのではないかと思わせる一冊。
綺麗事でしめることもなく、
かと言って絶望のドン底に突き落とすだけということでもなく、
ただ乱雑な極論を使って読者を惹きつけるのではなく
真摯な姿勢で作られた物語だとおもいます。
ストーリー自体はびっくりすることも!
おすすめです。