大森荘蔵のレビュー一覧

  • 青色本
    巻末の野矢茂樹の解説がありがたい。まずこれを読んでから本編に挑戦。そして再度野矢の解説を読んだ。本編も何とか読み通せたし、ある程度理解できたように思う。本編を読んだことで得られた収穫は、ウィトゲンシュタインの思考の息遣いのようなものを感じ取れたことだろうか。粘り強く、というか、どちらかといえば執拗に...続きを読む
  • 物と心
    大森荘蔵さんのさんの本は以前読んだときあんまり面白くなかったのだが、これは違う。断然違う。超一級のおもしろさを持つ哲学書だ。
    もとは別々の論文であったものを、著者自身がうまくまとめ直して一冊の書物にしている。とはいえ、後半の方とか、トピックは様々だ。
    私が非常に興奮させられ、感銘を受けたのは第1部「...続きを読む
  • 青色本
     初期『論考』の「世界ー言語並行論」に基づく意味論的発想を離れ、中期の「文法」すなわち規則を重視する立場から後期『探求』の「言語ゲーム」への移行期における、ウィトゲンシュタイン(LW)の講義の口述録。ここではすでに「言語ゲーム」という言葉は表れているが、あくまで中期LWの特色である「文法」「ルール」...続きを読む
  • 新視覚新論
     1982(昭和57)年著。
     以前読んだ大森荘蔵さんの著作は結構面白く読めて共感する部分も多かったのだが、本書の前半、「視覚」現象を巡って常識を覆すような論が展開される部分は、どうも首肯できずに苦しかった。文章は哲学書としては恐ろしく平易・明解な方で、言っていることは理解できるのだが、どうしても「...続きを読む
  • 青色本
    後期ウィトゲンシュタインの思考の端緒。「語の意味とは使用である」という主張を掲げ、語の背後に何らかの実体を想定する本質探求を批判していく。語の意味は具体的実際的な語の使われ方にあるという考え方は今日様々な社会科学の基本的前提をなしているが、そうした「言語論的転回」の根源にあたる記念碑的著作。
  • 青色本
    ヴィトゲンシュタインの中期作として捉えられるべき作品。
    彼はあらゆる哲学的探求、会話は言葉ゲームであると云っているが、個人的には「そんなことを考えてどうするのか」と思わせるところも多い。
    ただ、人であれば一度は考えることも多いし、「云われてみれば」と思わせるあたり、ヴィトゲンシュタイン哲学の魅力があ...続きを読む
  • 青色本
    全集版で持っているが、電車通勤の友として購入。お馴染みの議論であるが、ていねいに読むと何か発見があるかもしれない。
  • 青色本
    [第6刷]2013年12月10日
    訳文は読みにくい、が、野矢先生の解説は分かりやすい。
    ネットで見つけた、別の訳を読んでみようと思う。
  • 大森荘蔵セレクション
    どうも自分は大森荘蔵と相性が悪いようだ。
    彼の書く文章は平易だし、思想内容もそんなに極端に難しいわけではないのに、どうもストンと落ちて来ない。よほど私と考え方や感性が異なるのだろう。
    とはいえ、まったくつまらないというわけではなく、刺激的だし、うならされる部分もある。ただ、二元論を排するために一元論...続きを読む
  • 青色本
    腰巻きの「もっとも読みやすいウィトゲンシュタイン」というキャッチはあんまりではないかと思う。昔読んだときもそう思ったが、訳は大森荘蔵の思い入れが強すぎはしないだろうか?そしてもう一つ気になったこと。この本の冒頭に出てくる茶色本の保有者P.スラッファは、リカード全集の編者であり、経済学者として極めて著...続きを読む