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第34回講談社エッセイ賞受賞作家こだま
場所と記憶をめぐる、笑いと涙の紀行エッセイ
「俺はたった今刑務所から出てきたんだ」
私たちは「えっ」と発したまま固まった。刑務所と監獄博物館のある街特有の冗談だろうか。膝の上に載せた「かにめし」に手を付けられずにいた。(中略)
別れ際、おじさんが「これやるよ、餞別だ」と言って渡してきたものを広げてみた。それは首元や袖口の伸びきったスウェットの上下だった。
第34回講談社エッセイ賞受賞のエッセイストこだま、待望の新作は自身初となる紀行エッセイ。
どの場所でも期待を裏切らない出来事が起こり、そして見事に巻き込まれていくこだま。笑いあり、涙あり、そしてドラマチックな展開に驚く内容も。
網走、夕張、京都などにとどまらず、病院や引っ越し、移動中のタクシーなど「自分と縁のあった場所」について全20篇を収録。
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Posted by ブクログ
待ちに待ったこだまさんの新刊。
読んでいる時間は、たまらなく幸せな時間だ。
書き下ろし以外のエッセイはサイトで読んでいたけれど、やはりスマホで読む横書きの文章と、紙の本で読む縦書きの文章では、自分の中に入ってくる感じが全く違う。こだまさんの文章は絶対に紙で縦書きでじっくりと味わって読みたい。
相変わらず面白くて、今回はさらに読んだ後心があたたかくなるものばかり。
旅の記録をこんな風に綴れたら、思い出の残り方も全く違うだろうな。
写真に撮ったシーンだけをなんとなく思い出として残してきた自分は、なんだかとってももったいないことをしてきたんだと思う。忘れたくない瞬間や感情がもっとあったはず。
次の本も楽しみに待ってます。
Posted by ブクログ
個人的に旅は退屈になりがちだ。
ガイドマップに載っている名所を巡るのは情報を消費しているだけに思ってしまうし、
かと言って全然知らない路地に行って何か発見するほど感性が研ぎ澄まされているわけではない。
というのは極論かもしれないけど、まあそんなような事を思っている。
そういう意味では本作「縁もゆかりもあったのだ」は一筋の光明だった。
まさに本作の巻末に次のようにある。
「自分とは無関係と思いこんでいた人や土地が、その細い糸を辿っていくと、つながっていた。何気なく通り過ぎた場所が数十年の時を超えて急に意味を持つ瞬間もある。そんな過去の記憶とのつながりもまた、旅ではないか」
旅する土地を通して、自分の過去、家族、夫、身近な人に思いを巡らせ、その土地に縁とゆかりを見出していく。
こういう旅の仕方もあったんだと素直に気付かされた。散々自分探しをdisってきたけど、旅の中、自分と景色を重ねて見えるものもあるかもしれない。地球の歩き方としては邪道かもしれないけど、やっぱり自分は素敵だと思う。
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小説・文芸
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