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Posted by ブクログ
著者はこれまでに多くの『万葉集』にかんする入門書を刊行しており、『万葉集』という作品の性格をさまざまな観点からわかりやすく解説をおこなってきたことで知られています。これに対して本書は、冒頭でいきなり「『万葉集』をどういうものだと考えるか?」というストレートな問いが提起されており、この問題に正面からこたえようとする試みがなされています。著者の『万葉集』の理解の中心にある考えかたが明確に語られている入門書といえるように思います。
上の問いに対する著者のこたえは、「東アジアの漢字文化圏の文学としての性格を有する」「宮廷文学としての性格を有する」「律令官人文学としての性格を有する」「京と地方をつなぐ文学としての性格を有する」という、四つにまとめられます。とくに近代以降の『万葉集』の再発見がなされて以来、この作品を国民文学の嚆矢とする見かたがくり返し語られてきましたが、現在の研究成果を押さえながら、『万葉集』という作品の真相がわかりやすく解説されています。
終章および「あとがき」では、上で述べたような『万葉集』をめぐる近代的な言説が、ふたたびひろく語られつつある現在の状況に対して、著者が専門家として危機感をおぼえているのだろうかと思われるようなことばが見られます。ただ、なんといっても本書は、著者の多くの著作のなかでも一般の読者にひろくとどけられる新書形式で『万葉集』という作品の中核的な性格を解説している本なので、多くのひとに手にとってほしいと感じました。
Posted by ブクログ
最近、日本的なものの源流として、和歌や俳句などを少しづつ読んでいる。そういう源流のもっとも源流といえる万葉集もすこしづつ学んでいるところ。
が、この「日本的」なるものが、実は、そんなに簡単な話しではない。万葉集はのちの技巧をこらした和歌にくらべて、素朴な直情的なもので、ここに日本の魂の源があるのだ、というような読みはもはや成立しないのだ。
つまり、万葉集は、古代の中国の詩歌に影響されたもので、その影響をなんとか言語化しようという先人の努力なのだ。
つまり、外来のものをなんとか日本のものにしようとする悪戦苦闘の歴史である、という意味において、とても日本的なもの。
ということが、かなりわかりやすく説明してある。
同様の論旨は、品田さの議論で十分に論じられているわけだが、こちらの本では、もう少し柔らかく、優しいトーンで諭してくれる感じ。
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