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借金完済を前に、新たな試練が男を襲う! 新薬《元気丸》の商いも評判となり、借財の完済も目途が立ってきたある日、 文吉は樽乗り曲芸師の娘とその祖父に出会う。 芸の最中に樽から落ちた娘を庇い、祖父が大怪我をしたのだ。 調べてみるとどうやらふたりは何者かに狙われていたらしい。 しかもその背後には文吉への妨害も絡んでいて……。 借財篇完結となるシリーズ第三弾!
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Posted by ブクログ
借金返済の追われるただの振り売り文吉が、これでもかと窮地に陥れられ、暴力と殺意に晒されながらも、犯人探しを仕事をしながら地道に行って黒幕を突き止めて、というミステリー時代小説 人情ホロりほのぼの小説っぽい装画なのに、振り売りを妨害され、瓦版で嘘をばら撒かれ、襲われてズタボロにされ、闇討ちで殺されそ...続きを読むうになり、家は燃やされる寸前、というハードな人生を送る文吉なのに、淡々としている所に味があります 時代劇ドラマで、天秤棒担いで商品売り歩くスーパーモブ主人公! 主人公の設定とか性格とかが平凡で、文面も淡々粛々としているのが特徴 そこが私は好きです(笑)
〈出世商人〉シリーズ第三作。 亡き養父の店〈三川屋〉を継ぐと共に多額の借金も背負うことになった文吉。医師・手塚良庵が調剤した『元気丸』を売ることで借金返済への道筋が出来たかと思われたが、大店の薬問屋〈福江屋〉と〈越前屋〉による営業妨害で度々売上は落ち込んでいく。 今回は樽をいくつも重ねながら乗って...続きを読むいく樽芸をやる娘ナオと助手役の祖父・作造が何者かに襲われることから始まる。 ナオと作造が樽芸を行っていた場所の元締めは文吉がかつて借金していた〈相馬屋〉。〈相馬屋〉は借金の取り立ては厳しいが、借金している者の窮地を救ったり情報屋の熊を通じて様々な事情を教えてくれたりと義侠心もある。 ナオと作造が襲われた理由には〈相馬屋〉の縄張りを奪おうとする同業者の思惑があるようだが、そこに文吉が売る『元気丸』の営業妨害も絡んでいるようだ。 前作でも思ったことだが、読売やらサクラやらを使って『元気丸』の評判を貶めたり破落戸を雇って文吉たちや樽芸芸人を襲わせる知恵や手間隙やお金があるなら、『元気丸』より良い薬を作ったり商売に身を入れたりすれば良いのに…と思うのだが、それが出来れば苦労はしないというところだろうか。 今回は更に人を傷付けたり火付けまでしてエスカレートしている。バレれば重罪は免れないのにそこは考えないのが浅はかだからだろうか、それとも意地になっているのだろうか。 文吉側は今回も熊や宗助、与力の渋谷らと共に闘っていく。 一方でナオの存在が文吉とお邑の距離を近付けた感もある。襲われたショックで樽芸が出来なくなったナオを慰め励ましてあげるお邑を、文吉はあることがきっかけで女性として意識してしまう。お邑の方もまんざらではない感じで今後に注目。 この三作を以て、文吉の借金問題や営業妨害問題は一旦道筋がついたようだ。 手塚良庵は大坂に行くが『元気丸』は残った家族が作るらしいのでこれまで通り売ることは出来るらしい。 これからが本当の『出世』の道。どんな道が展開するのかに期待。
千野隆司「出世商人(しゅっせ あきんど)(三)」、2021.5発行。今回は、作造64歳と娘ナオ7歳が行う、樽をいくつも重ねた上に乗る曲芸の話です。薬・元気丸を売る文吉16歳に妨害をする者たちが、曲芸をする二人にも妨害をし・・・。
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