Posted by ブクログ
2019年06月03日
著者もあとがきに書いているが、社長の周りにいる良質な人々に焦点を合わせたことが、結果的にその社長の能力の高さと魅力を浮かび上がらせている。読後、結局印象に残っているのはご本人よりも社長であり会社なのだが、それこそが彼らの、そしてブックライターという立場を生業とする著者の、望んでいるかたちなのだろう。...続きを読む
いろいろいい言葉が拾ってあるが、母親でもあるサニーサイドアップ社長室谷村氏の”オフという時間を作らない”という考え方はとくに腹落ちした。
P26 (カルビー松本氏は)お金の数字が好きなんです。認知率とか、ブランドイメージとか、そういう数字にはこだわりはない。でも市場規模とか、どこどこの売り上げがいくらとか、そういうことにはアンテナが立ちますね。「僕はどうでもいい事を記憶できないから、記憶してほしいことは全部お金で表してくれ」なんて冗談で言われたことがあるんですが」(藤原氏)
P44 経営者本人の中に、今どこに興味が向いているか、という流れがなんとなくあるんですよ。あっ今中国に来た、というときもある。そういう時はコミュニケーション量が増えます。
P49 言われていないのにやる、くらいがちょうどいいと思いますね。(笙氏)
P63 ToDo管理などは一切やらないですね、メモもあまり取らない。忘れるようなことは優先順位が低いと思っています(笑)リストのメンテナンスに毎日30分1h使うくらいだったら、さっさとやっちゃったほうがいい。
P76 現場にいるときと、経営者から見たときって、会社はぜんぜん違って見えてくる、ということを知りました。まだ感じられる、くらいかもしれませんけど。風速はこれくらい違うんだ、ということはようやく見えてきました。(中井氏)
P91 一般にオーナー経営者は思いつきでどんどん発言したりもする。すべてを真に受けていれば、思い切り振り回されてしまう。結果としてメンタルをやられてしまう人もいる。「どんどんどんどんボールが落ちてくるので、どんどんさばいていく一方で、優先順位を見極めるようにしています」電話にしても緊急事態かどうかはちゃんとわかるものだという。(篠永氏)
P118 一方で長く一緒に仕事をしているからこそ、気をつけなければいけないことがある。「石川は常に変化してますから1週間後には変わっていることがある」それなのに「社長はこうだ」と思い込んでしまうと、やっぱり本質からぶれていってしまうということだ。「これでいいよな、と思ったときほど、確認を入れるようにしています」(岡田氏)
P152 「事務方はほとんどそうだと思います。私の業務でわざわざ時間を作り場所をとって打ち合わせすることはまずない。だいたいメールか電話です」(稲葉氏)
P203 「既存のルールを上手に無視しそう、みたいな事は最初から社長にいわれていましたけど、やろうと思っていました」(緒方氏)
P219 「私が決めたのは、オフという時間を作らない、ということだったんです。それは、会社のため、社長のためというより自分自身のためです」オンオフという発想で仕事を考えてしまうと、どうしても時間に追われることになる。オンの最中に子どもに何かあれば恩なのに、ということになる。オフの時間に仕事の連絡が来れば、オフなのに、と思ってしまう。オンオフという考え方をなくせば、そういうストレスはなくなる、ということだ。
P224 「突然質問されたりすることがよくあるわけですが、私が答え始めたときにはもう違うことを考えているんですね(笑)答えを聞いていないんです」〔中略〕「こういうときは、気にしないことにしています」無事に進んでいるのであれば、答えはどうでもよくて、効いたことに意味があった、ということ。そして問題ないとわかる、という目的が果たされれば、思考はすぐに次に進んでいくのが超多忙な社長の姿なのである。
P228 「結局、人生を楽しんで生きるんだ、という意志の強さだと思うんです。どんな道を選んでも実はつらいわけです。それでもとにかく人生を楽しむ、というベースをもてるかどうか、なんです」そこで最近気づいたキーワードが「鈍感」だったのだという。絶対にいいものだ、本気でやるべきだ、と判断したものに関しては「鈍感」になることにしている。「え?そうですか、ぜんぜん気づかなかった、見たいな(笑)次原はそれを「あきらめさせる力」といってますけど。」(谷村氏)