街場の天皇論

街場の天皇論

1,650円 (税込)

8pt

ぼくはいかにして天皇主義者になったのか。
立憲デモクラシーとの共生を考える待望のウチダ流天皇論。

【ウチダ流「天皇論」の見立て】
◆天皇の「象徴的行為」とは死者たち、傷ついた人たちと「共苦すること」である。
◆「今」の天皇制システムの存在は政権の暴走を抑止し、国民を統合する貴重な機能を果たしている。
◆国家には、宗教や文化を歴史的に継承する超越的で霊的な「中心」がある。日本の場合、それは天皇である。
◆安倍首相が背負っている死者は祖父・岸信介など選択された血縁者のみだが、今上陛下はすべての死者を背負っている。
◆日本のリベラル・左派勢力は未来=生者を重視するが、過去=死者を軽視するがゆえに負け続けている。

【本書の概要】
2016年の「おことば」から生前退位特例法案までの動きや、これまでの今上天皇について「死者」をキーワードとしてウチダ流に解釈。

今上天皇による「象徴的行為」を、死者たち、傷ついた人たちのかたわらにあること、つまり「共苦すること(コンパッション)」であると定義。

安倍首相が背負っている死者は祖父・岸信介など選択された血縁者のみだが、今上陛下はすべての死者を背負っていると指摘する(「民の原像」と「死者の国」)。

さらに日本のリベラル・左派勢力は生者=現在・未来を重視するが、過去=死者を軽視するがゆえに負け続けていると喝破。

同時に日本は「天皇制」と「立憲デモクラシー」という対立する二つの統治原理が拮抗しているがゆえに、「一枚岩」のロシアや中国、二大政党によって頻繁に政権交代する米仏のような政体にくらべて補正・復元力が強いとも論じる。

天皇主義者・内田樹による待望の天皇論。

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街場の天皇論 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    2018.5.3
    あまりというか、ほとんど考えてこなかった天皇という存在。これほど日本人そして世界の安寧を強く願い、行動してる人はいないですね。
    本当にそれしか考えていない。それだけを考えてる。ありがたい存在です。

    0
    2018年06月07日

    Posted by ブクログ

    人間が生きるために要るのは「もの」ではない。知識でも技能でも情報でも道具でもない。風儀である。作法である。必要なものを必要なときに「はい」と取り出すことのできる力である。

    0
    2018年05月03日

    Posted by ブクログ

    マジメに天皇の問題について論じているのは前半のみで、この部分は天皇という存在を考察するのにとても役に立つ。しかし、予想の範疇を超えるような内容ではない。漠然と感じていた天皇という存在に対する畏怖や畏敬の念に根拠を与えてくれるといった感じ。
    後半は天皇論を離れて日本人論というところまで風呂敷が広がる。

    0
    2017年10月18日

    Posted by ブクログ

    死者とか敗者、忘れされれようとしている者、なかったことにされている者への想いを持つことが、今、自分が生きるために必要なのだ、と言われた気がした。

     読んでいて、気持ちが軽くなった。気持ちが軽くなったことで、俺は自分を死者、敗者の側に置いていたのだと気づいた。

     誰かから、負けや死を宣告されていた

    0
    2020年04月30日

    Posted by ブクログ

    40 街場の天皇論
    共同体にとって、広く死者を悼み、苦しむ人によりそう人間がいかに、求心力を持っているのかというところから、始まる。なぜ内田樹が天皇主義者になったのかということにも納得できる。内田樹も良く言っているが、動物と人間を隔てたのは、死者をそこにいるかのように扱い、その人を悼む、生物学的奇習

    0
    2018年12月01日

    Posted by ブクログ

    「おことば」から展開する天皇制のみかた。その視点ははなかった。源平合戦や日本書紀に遡り梅原猛とつながってるのが面白い。

    0
    2018年08月18日

    Posted by ブクログ

    2016年8月の天皇の「おことば」について内田さんの考えは新聞等で読んでいたので大枠はわかっていたけど、初めて読んだ内容もたくさんあった。
    これは改憲を考え直すよう促したものだと諸外国では報じられていることとか。

    後半の天皇論以外の文章が意外と(?)めっぽう面白かった。
    吉本隆明の「大衆」について

    0
    2018年03月11日

    Posted by ブクログ

    今の世の中で
    起きていることを
    自分なりに
    すっきり
    させたい時には
    内田樹さんの本が
    とても良い

    読みながら
    考えたり
    考えながら
    読んだり

    思考のストレッチを
    させてもらっているような
    気がしている

    0
    2018年03月05日

    Posted by ブクログ

    今上天皇の退位を来年に控え、天皇や天皇家の報道や
    様々な天皇論が語られていますが。
    確かに民族の特殊性を下手にとらえると大変なことに
    なるとは思いますが、天皇が存在するという日本国の
    特殊性はあるのだろうと思います。
    そこに立憲民主と天皇性の2項対立の中の矛盾や、
    そこからくるであろう抑止力というの

    0
    2018年01月07日

    Posted by ブクログ

    興味深い、しかし読みづらい。
    本書は書き下ろしではなく、月刊誌やブログにある天皇関連記事をまとめただけの天皇本である。1つの項で興味を惹かれたとしても、次の項では全く繋がりのない内容が書き綴られており、思考の整理が上手くできない。しかし筆者の考える天皇論は非常に興味深いので、入門書として本書の半分ま

    0
    2019年08月25日

街場の天皇論 の詳細情報

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