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Posted by ブクログ
NHK「クローズアップ現代」のキャスターを1993年の初回から2016年まで23年にわたり務め終えてまもない頃の国谷さんの著書。彼女が出てる番組を何度かは見たことがあるけれど、一方で絶賛する人がわりと身近にもいながら番組の進行役としてしか認識していなかった自分。
ところが、この本を読むと彼女が23年もの間、真摯に伝えることをまっとうしようと番組に向き合ってきたことがわかる。この本では「キャスター」といっているけど、彼女自身が本書中で紹介しているように、米国ではこういう立場の人は、メディアの情報を視聴者に渡す最後の走者という意味で「アンカー」という。彼女はその責任を十分に認識しながらアンカーを務めていたんだなあ。
「クローズアップ現代」が23年も続いていたんだということも、数えればわかることながらもっと短い印象だった。そしてこの23年を振り返る本書の終盤を読んで、日本が世界が経済の停滞とか安全保障の均衡とかいろんな意味であんまりよくない方向に向かいつつある感じを強くもった。漠然とした印象では、世界はだんだんよくなっているものと(このコロナ下の2年くらいを除いては)思っていたんだけどそうではないのか。
国谷さんの人物像にしろ、日本経済や世界情勢にしろ、漠然とした印象だけで物事をとらえてるのっていかん、いかん。
Posted by ブクログ
そんなにずっと見ていたわけではないが、私はNHKの「クローズアップ現代」という番組が大好きだった。
時事ネタもあれば、必ずしもそうでないものもある。
基本的には固い内容が多かったようにも思うが、時々スポーツや柔らかいテーマの時もあった。
この番組は23年続いていて、その期間はほぼ私が働き始めてからの期間と重なるのでいろいろな見方もしていた。
一時期は「クローズアップ現代」を文字起こしするという人がおられてそのメールマガジンを購読していたこともある。
この本は、その「クローズアップ現代」のキャスターを務めてこられた国谷裕子さんのキャスターとしての自叙伝のような形になっている。
キャスターとしての自覚を持つに至るまで、そしてキャスターの自負を持って取り組んできた時代、そして番組から降板するに至った時までの記録でもある。
一番印象に残っているのは、「クローズアップ現代」の番組の作り方である。
いろいろな部署が取材等で持ち寄ったものを素材に関係者が全員集まって試写が行われる。
見ているとこれがこの番組の肝だったようだ。
その試写は前日に行われるものと当日に行われるもの。
これが戦いの場であり、いいものを作り上げようとする生産の場でもある。
これがあったから、30分に満たない時間で濃厚な内容を楽しむことができたのだ。
本当に感謝したい。
また、インタビューにおいてフェアであることを信条としてきたとある。
ここのところ日本には明らかな「同調圧力」なるものが存在している。
その中でもNHKとして聞かなければならないこと、触れなければならないことに触れた米国大使とのインタビューは圧巻である。
報道する側としておかしなことは権力側に対して聞かなければならない。
何と言われようと。
最後にSDGsの話が少し出てくる。
今自分の周りではようやく用語として登場するようになってきたSDGs。
その「誰一人取り残さない」という考え方をこの番組は2015年に取り上げている。
何という早さだろうか、いやこちらが遅いだけなのだろうか。
現在も「クローズアップ現代+」という番組は続いているが、NHKのアナウンサーが担当しているのと国谷さんが担当しているのではやはり掘り下げ方に違いがあるように思う。
とはいえ、その番組の精神は受け継がれているはずでもう一度見てみようかという気にさせてくれた、そのくらい影響力のある一冊である。
Posted by ブクログ
NHKクローズアップ現代のキャスターであった国谷裕子氏が23年に渡る番組を振り返りつつ、キャスターという職業への矜持を述べる1冊。著者が地に足のついた国谷氏、しかも出版が岩波新書という組み合わせ。内容は期待を裏切りません。
原稿を忠実に正確に伝えるのがアナウンサー、伝える言葉を自ら探し出すのがキャスターという明確な区別から始まり、キャスターとして守り続けた事を番組制作の裏側を紹介しつつ述べています。平日に毎日4日間連続で放映された「クローズアップ現代」の舞台裏は非常に興味深い描写でした。
国谷氏が述べるキャスターの仕事とは1.視聴者と取材者との橋渡し、2.自分の言葉で語ること(自分の主観を表現するのではない)、3.新しい価値観を持った事象に的確な言葉を探すこと、4.インタビューの4つです。それぞれへのこだわりが明確に理路整然と述べられています。
「人気の高い人物に対して批判的に切り込んだインタビューをすると想像以上の反発があるが、それでも訊くべき事は聞かなければならい」、「安易に視聴者の感情に寄り添うばかりに問題の複雑さを切り捨て、”分かり易さ”ばかりを追い求めていないか」等々、示唆に富む文章が満載です。
民放が芸能人ゲストを集めてクイズ形式みたいなニュース解説番組を放映し続ける昨今、改めて報道番組とはどうあるべきかというテーマについて正面から切り込んでいるのが非常に好感を持てました。
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