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現代の物理学は、人間の思考を根底から支配している常識を捨て去ることで進展してきた。人間の見た目通りの世界は、本当の世界の姿なのか。人間の存在は、その物理的世界の中でどのような位置を占めているのか。近代物理学の誕生の経緯、そして物理学に大きな革命をもたらした量子論と相対論の成り立ちを概観。物理学とは、常識に対する挑戦である――。日々の生活のヒントにもなる、数式・図表を用いない物理学の入門書。
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Posted by ブクログ
松原先生の本は2作目だが、説明がうまくて面白い。 物理学の発展を俯瞰的にざっと説明した内容だが、今一度復習するのにちょうど良い
スピ系の話を読むとよく「人間の思考が現実の世界をかえる。それは最近の量子力学では常識となっている」といった趣旨のことが書かれている。では最新の量子力学とはなんだ、ということでわかりやすい本を探していたら良書に巡り合えた。 数式も難しい計算もいっさい出さずに、ニュートン力学から相対性理論、量子物理学な...続きを読むどの考え方が出てきた背景やその意味をわかりやすく書いている。 なんとなくわかっているつもりだった相対性理論についてもニュートン力学との対比などとても腹落ちする説明。 スピ系の本の言う「思考」(この本では観察という言葉で表している)が物理的現象を固定することについても記載あり。その不思議さとまだまだわからないことの多さ、通常の世界観では理解できない現象があることが改めて認識できる。
オリビア・ニュートン・ジョンのおじいさんがマックス・ボルンだとか,万有引力のニュートンは人間的にはとっても嫌なやつだったとか,のちょっとした裏話が楽しめた。
量子力学が、人間の常識の通用しない世界であるということがとても印象的であった。 また、人間の意識があるせいで、本来の世界を捉えられないということも衝撃だ。 ますます理系分野の本を読んでいこうと考えた次第である。
数学も物理も統計学も、兎に角数字には弱い文系なんだけれども、この手の理系の書物に引かれてしまう。世の中には自分の思い通りに出来る何か根本的な法則があるのではないか?もしその法則を知って、理解したら、もしかしたら成功してお金持ちになるのではないか?という邪な考えでついつい惹かれるのが、この本で解かれて...続きを読むいる相対性理論や量子力学。物理の本なのに数学音痴が目を回す数式が一切出ることなく、なんとなく解った気にさせてくれる。当たり前だけど著者の物理の知識、その理解度、そして文章力が半端ないものだからだろう。ついつい読み進めるスピードに加速がついてしまった。しかし、相対性理論から量子力学の深遠な世界へページが移る後半は、ニュートン力学の世界でいうところの慣性の法則で、解ったようで解ってないままスルスルと読み進めてしまった。そうブラックホールに引き込まれた。
物理を苦手と思っている人のための数式を使わない物理学の本ということですが、物理学を学びながらも全く畑違いの分野に進んだ元理系オヤジの原点回帰読書として速攻読み!正月で緩んだ頭が少しはシャキッとしたかな?でも、計算が有ろうが無かろうが、学生時代に引っかかったところは、今でもムムムです。それは「シュレジ...続きを読むンガーの猫」にあたる波束の収縮の瞬間の解釈のあたりから…でも、ここら辺が、物理の面白いところです。コペンハーゲン解釈の現実主義が、昨今の量子コンピュータに繋がることも改めて。著者は、もしかしたらサイエンス・コミュニケーター役を買って出てるかも。人工知能に負けるな、物理学!と、言いつつ、結局、普遍を考えるということは、考えている人間を考えること、と宇宙論における人間原理にも思いを馳せ、シャキッどころかモヤモヤの正月明けでした…
物理学の歴史を、その誕生から万物の理論まで通史的に浅く書いた本。切り口がなく、のっぺりした感じで、どれも聞いたことのある話しばかりだった。 用途としては、辞典的に使うか、頭の整理に使うか。または、物理学略史を学ぶためか。 記述は数式は出てこないものの、この手の本にありがちな逸脱した喩えなどなく、...続きを読む正確を期している。
著者の松原隆彦氏は、統計的宇宙論を専門とし、宇宙に関する一般向け書籍も多数著している科学者。 著者は冒頭で、本書について「主に文系出身者など、これまでほとんど物理学には縁がなかったという人々に向けて書かれた物理学の入門書である。・・・物理学とはどのようなものなのか、数式だけでなく難しい図表も一切使わ...続きを読むず、ひたすら言葉だけで書くことにした」と語っている。 そして、まず、物理学の目的(本質)を「複雑で予測不可能にも思える現実の現象について、そこに秩序を見出すことにある」とし、物理学の研究・進歩の歴史を辿る形で、コペルニクスの地動説に始まり、ガリレオの天体観測、ニュートンの運動法則、原子論と更に微小な世界、ハイゼンベルクの行列力学、シュレディンガー方程式と波動力学、量子力学に対するコペンハーゲン解釈、アインシュタインの相対性理論、マックスウェル方程式、未完成の量子重力理論等々、物理学がこれまでに何を解明してきたのかを解説している。 そして、最後に、「本書で最も伝えたかったことは、この世界が人間の常識的な感覚で思うようなものにはなっていない、という事実だ。・・・その理由は物理学者にもよくわかっていないのだが、自然はなぜか美しい理論によって説明できるように作られているようなのだ。・・・人間の見た目通りの世界は、本当の世界の姿なのではなく、そうではない何か別の世界のようなものから現れ出てきたようなのだ。そうでなければ、見た目通りの雑多な世界の中に、どこでも成り立つ物理法則というものを見つけることはできないだろう」とし、“目に見える世界は幻想か?”と言っているのである。 私はまさに著者がターゲットとした文系出身者であり、これまでに佐藤勝彦氏らの物理学・宇宙論関係の新書を数冊読んでいる程度で、正直なところ本書の説明についていけない部分は多々あったが、物理学の歴史の大きな流れを掴み、著者が物理学の未来に期するものを感じることはできたように思う。 (2017年4月了)
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目に見える世界は幻想か?~物理学の思考法~
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