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おとぎ話のゆくえ
情景描写は美しく、私も思わずその街をそぞろ歩きたいと思ってしましました。自分の境遇を悲観しているわけでもないが、寄る辺もなく、虚ろな心に、確かな故郷を見つけ変わっていく主人公の様子。せつない別れにキュンキュンして涙が止まりませんでした。読後あったかい気持ちになれました。いいもの読ませていただきました。
深いですねぇ。
一穂さんのお話ってリアリティあって過分な派手さがない分、途中までは結構退屈だったりするんですが(すいません)山場の見せ方がめちゃくちゃ上手いので結局辞められない(笑)だってココって場面で必ず心打たれるんですよ。本作の渇き切って何も欲してない手応えのない隼人が若く純粋ながらも泰然としてる湊に絆されてくとゆーか熱くなっちゃう件は読んでて胸が苦しくなるくらいギュときます。楽観視出来ない2人の立場には障害が多く先行き明るいとは決して言えないのにそれでもどーにか希望を見出したいって思わせる魅力あるお話でしたね。
真っすぐで、純粋で、一途できれいな湊(受け)がとても好きだったので、今までたくさんのBL本を読んできたんだけど、初めて隼人(せめ)と結ばれないよう願ってしまいました。だって、隼人君は、その場しのぎに適当に生きてきた受とは正反対の人でしょう?
でも、ちゃんとハッピーエンディングになって心のどこかでは、ほっとしたし、頷けてイます。
*愼ちゃんの恋話も読んでみたいです。
**BL本の中の女性キャラの中、桜ちゃんが一番好きです。
Posted by ブクログ
だらしない根無し草男と古くからの言い伝えの残る土地の純真な若様。出会うはずのなかった身分違いの二人が、恋という不確かだけれど強くあたたかな結びつきでゆっくりと結ばれていくタイトル通りの優しいおとぎ話。
過去作をどれから読もう、と悩んで重版されたというこちらを。
一見噛み合わない生まれも育ちも価値観も違う二人が、それゆえにゆっくりと気持ちを重ねあい、自分に課せられた役目を当たり前のこととして受け止めて生きてきた湊の「息苦しさ」をやわらかに掬い上げる隼人、自分が得てこなかったものすべてを持って穏やかに受け止める湊の温もりに包み込まれていく隼人、必然のようにゆっくり染み渡っていく二人の心の行方が丁寧でやわらかな言葉できらめきに包まれて紐解かれていくのは一穂ワールド全開。
文章が、言葉運びがとにかく心地よくてさらさらと流れていく感覚に酔いしれるよう。
脇に至るまでの人間関係の描写、何気ない小道具の使い方、情景の切り取り方ひとつひとつがきらめいてみえます。
家族や社会との折り合いのつけかた、自分の立ち位置をきちんと見つけて生きていくにはーーと、現実的な「おとぎ話」の中で、優しいハッピーエンドが用意されていることに安心感をおぼえました。
なににも執着しないはずだった隼人が帰る場所、自身を受け止めてくれる相手の温もりに違和感と、それ以上の安らぎを見つけられてよかったなぁと。
幼馴染三人の関係性が描かれるもうひとつの結末もとても優しい。
しかしまぁ、十和子と佐伯さんと義時……「さみしさのレシピ」にもその片鱗は見えたので、「off you go」で決定打のように描かれるまで一穂さんの中で根付いていたテーマなんだなと。
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